変化に強い IT 組織の構築

この先何年もイノベーションを継続していくために、IT 組織には何が必要でしょうか?テクノロジー リーダーが自身のチームで養うべき 4 つの資質について、Workday の最高情報責任者 (CIO) である Sheri Rhodes が説明します。

去年の春に Workday の CIO に就任して以来、我社の IT 組織がこの先の 10 年もイノベーションを続けていくにはどうすればよいか色々と考えてきました。自分への大きな問いかけの一つが「近い将来、さらにその先でも必要になるスキルはどのようなものか」というものです。 

専門化が進む時代とはいえ、IT 組織で個人に求められるスキルはさらに幅広いものになるはずです。現在の IT の世界には多くのレイヤーがあります。いくつか例をあげるだけでも、Infrastructure as Code (IaC)、セキュリティ バイ デザイン、そして人工知能 (AI)、機械学習、パーソナライズなどの利用があります。SoE (Systems of engagement、エンゲージメントのためのシステム) は SoR (Systems of record、記録のためのシステム) との結び付きを強めています。あらゆるところでデジタル化が進み、その多くが相互に依存し合っています。 

こういったすべての変化により、IT 組織の成功に必要なスキルと知識の理想的な組み合わせが変化しています。1 つずつ見ていきましょう。

方法や過程を重視する。強固な企業文化を構築し、ポジティブなコラボレーションの重要性を強調することが、業務の遂行に必要なハード スキルやソフト スキルと同じぐらい重要です。コミュニケーションとコラボレーションについては、デジタル ネイティブである Z 世代がワークフォースに加わることを考えると、アナログ (対面) とデジタルの両面でスキルの高い人財を採用して定着させることが特に重要であり、あらゆる世代がお互いに心地よくコミュニケーションをとれることが不可欠です。

それぞれの社員には必要なスキルと適性がすでに備わっていますが、それでも最も優先すべきアセットである「人財」に対して、継続的な投資を行う必要があります。継続的なトレーニング (何を行うかだけでなく、どうすれば建設的かつ前向きに行えるかを重視) は、当面は廃れることはないでしょう。

デジタルに習熟する。IT リーダーである私たちは、広がり続けるテクノロジーの世界に対する深い理解を反映したスキル セットをチーム内に構築する努力を続けなければなりません。IT リーダーは、セキュリティや AI のようなものを、後から簡単に追加できる技術と考えるべきではありません。これらは企業のアーキテクチャに組み込まれたものであるべきです (Workday では、セキュリティと AI/機械学習はソリューションの基盤となる構成要素です)。会社のシステムを使用する社員やお客様、パートナー様は、コンシューマー向けのテクノロジーと同様のシンプルなアプローチを求めています。そのため、チーム メンバーが個別のソリューションにおけるアーキテクチャの評価方法をよく理解し、AI やセキュリティなどの技術において設計を最初から行えるだけのエンジニアリング知識を持つことがこれまで以上に重要になります。

データのコンテキスト化。データが社内のどこにあるのか、そのデータがどのように、誰によって、いつ使用されているのか、といったことを把握することが不可欠となっています。IT チームは、ユーザー、インタラクション、または一連のイベントにコンテキストを提供するあらゆるデータ要素に対し、基本的なマッピング、トラッキング、保護を絶えず行える必要があります。会社がデータにどのようにアクセスするか、ユーザーに付加価値のあるエクスペリエンスを提供するためにデータをどのように使用できるかといったことも考えると、問題は一層複雑になりますが、この複雑さこそ IT チームが理解して制御すべきものですしたがって、IT チームはトランザクションにコンテキストを組み込む方法を理解している必要があります。しかし、それは有益な場合に限ったことで、混乱を招くような場合には避けるべきです。

アクション志向。テクノロジーはまたたく間に進化します。新しいトレンドにいちいち抵抗せず、ビジネスに競争優位性をもたらすトレンドやテクノロジーには常にアンテナを張っておく必要があります。既存の技術の改良であれ、新しいものの導入であれ、IT チームは常に進歩を目指しています。素早いアクションは、社内ステークホルダーの信頼を得ることにつながります。なぜなら、常に変化するお客様のニーズに会社としてどう対応していくべきか、私たちが理解していると示すことにもなるからです。

ここに書いたことは、最終的な結論でも究極の真理でもありません。この先も私自身きっと他の IT リーダーや同僚たちから学ぶことが多いでしょう。ともあれ、ビジネスにイノベーションを起こし続け、お客様にクラス最高のソリューションとテクノロジーを提供できる IT チームを築き上げるために、ここ Workday で過ごす時間を楽しみにしています。