ERP が今すぐ変わるべき 3 つの主な理由
ERP が登場して以来ビジネスがどのように変化してきたか、そして財務や人事を管理する従来のテクノロジーによるアプローチがなぜ通用しなくなったのかを Chano Fernandez がご説明します。
ERP が登場して以来ビジネスがどのように変化してきたか、そして財務や人事を管理する従来のテクノロジーによるアプローチがなぜ通用しなくなったのかを Chano Fernandez がご説明します。
Enterprise Resource Planning (エンタープライズ リソース プランニング)、すなわち ERP は25 年ほど前からあった言葉であり、テクノロジー業界で使用され始めてからかなりの時間が経ちました。それが悪いと言うつもりはありません。業界用語やバズワードが次々に登場するマーケティング業界で、あるコンセプトやアプローチがこれほどまでに長い間消えずにいたということは、それだけ有効性があったということでしょう。実際、エンタープライズ ソフトウェアを取り巻く状況に ERP が変革を起こし、現在では約 400 億ドル相当の市場となっていることが、その証しとも言えます。
しかし、過去に成功を収めたからといって、今後も成功し続けるということにはなりません。また、企業にとって業務の全貌を把握するための最良の方法かどうかを問いただす必要が生じることもあります。ビジネスの観点から見ると、私たちは変化の激しい時代に生きています。私は、現代のビジネスにとっての ERP の意味について、またいくつかの大きなマクロ要因がビジネス アプリケーションをめぐる議論全体を根本から変えつつあることについて、もう一度考え直すべき時が来ていると感じています。
従来の ERP システムはデジタル時代を念頭に構築されたものではありませんでした。
1. グローバル ビジネスの根本構造の変化
ERP のルーツを考えてみれば、デジタル エコノミーやサブスクリプション エコノミーの台頭が、このレガシー テクノロジーにも大きな圧力となっているのは当然のことです。そもそも ERP というものは、企業の人財よりはむしろ商品の製造や流通に重きを置いていたということを思い起こすべきです。このようなモデルでは、社員は単なる労働力であり、最小化すべきコストであるとみなされることが多く、そのため ERP では在庫管理と財務の統合を主な関心の対象としていました。しかし今日、最も大きな価値の推進要因は「モノ」ではなく人財です。
この数十年、世界中の先進国はよりサービスベースの経済へとシフトしてきました。またこの動きと並行して、サービスベースのビジネスを行っていない企業であっても、全面的なイノベーションの新たな形を模索する中で、人財をより重視するようになってきました。
価値創造の中心的活動が、物理的な「モノ」に価値を加えていくことであるならば、財務をサプライチェーンや資材と緊密に結びつけることは妥当なアプローチです。しかし、価値創造の中心的活動が知的財産、イノベーション、サービス (つまりは人財) といったものを中核に据えて行われるのであれば、まずは財務と人事を緊密に結びつけることの方がはるかに理にかなっています。
このように第一の目的が変わるのであれば、使用するツールも変えていく必要があります。
2. 各部門に対するビジネス要件の変化
ビジネス要件が変われば、ビジネスリーダーが組織の各部門に求める要求も変化します。CEO は、データドリブンな意思決定をこれまで以上に迅速に行えることを望んでいます。したがって財務や人事などの各部門に期待されるのは、より迅速に行動し、ビジネス戦略を策定するパートナーとしての役割を果たすことです。
従来の ERP システムはデジタル時代を念頭に構築されておらず、分量の限られた重要なデータセットを取り込んで、その情報を主にトランザクション ベースで処理するように設計されていました。こういったシステムには、情報量の豊富な新たなデータ タイプを取り込んでレポートを作成したり、ビジネスの全体像を把握するために必要な外部ソースを管理したりするための機能がありません。
このような不足した機能を補うために、従来のプロバイダーは複数の新しいシステムを後付けで統合し、それぞれのシステムからデータを抽出して、その後別々のレポート ツールと分析ツールでデータをまとめるという方法で対応しました。それが招いたのはシステムの複雑化です。数多くの統合、接続、ミドルウェアを組み合わせた寄せ集めのようなアーキテクチャとなり、使用、管理、変更、運用いずれの点でも煩雑でコストのかかるものになってしまいました。このようなシステムは、唯一の正しい情報源を見出すための調整も非常に難しく時間がかかります。
過去のシステムで未来の問題を解決することはできません。
クラウド コンピューティングと低コストのデータ ストレージの出現により、インメモリ データ構造を利用できるようになりました。これにより、トランザクション処理を高速で実行し、ビジネス上の意思決定に関するニーズに応えることができます。これらすべてが、使いやすいシステムの中で、唯一の正しい情報源に基づいて行われます。
この唯一の正しい情報源は、企業に戦略的価値をもたらすために、財務部門と人事部門が相互に協力する方法にも変化を生み出しています。最も基本的な部分では、企業は従来のエンタープライズ ソフトウェアを使用したこれまでの環境から抜け出すことができます。たとえば、財務部門と人事部門が、それぞれに使用するシステムから引き出した別々のデータを使って「議論」することに会議の半分を費やすのではなく、合意済みで一貫性のある一意のデータを使用してより戦略的な課題に迅速に取りかかることができます。
3. コア ビジネスに対する要求の変化
これはジグソー パズルの最後のピースとなります。考えてみれば、ERP は産業化時代において、一時代を築いた重要なテクノロジーの 1 つとして位置づけることができます。そして、これこそが問題の根源と言えます。つまり、過去のシステムで未来の問題を解決することはできない、ということです。
この 25 年間でビジネスのスピードは飛躍的に加速し、エンタープライズ ソフトウェアはより速く、より柔軟で、よりアジャイルであることが求められており、この要求は先進的で未来志向の企業にとっては譲れないものとなっています。ビジネスに対する CEO からの要求はますます大きくなり、さらに積極的で革新的な成長戦略が求められています。たとえば、30 〜 60 分あれば新しい地域でオフィスを完全に稼動できるシステムがあるのに、同じことをするのに 4 ~ 6 か月かかるシステムを使用していたら、企業のイノベーションの活力が内部から奪われていることになります。
経営陣は、組織の基盤となるテクノロジーが、遅さや複雑さのために企業の活力を削ぐことなく、柔軟性とアジリティで企業を後押しするものであることを求めています。
このようなさまざまな要因により、「古いビジネス」の基盤となっていたプロセス、プラクティス、テクノロジーの再定義が求められています。従来の ERP システムの時代は終わりました。人財を基礎とした急速な経済の変化に対応するためには、アジリティを追求し、意思決定を民主化し、今日の人々の働き方に合わせて設計されたビジネス システムが必要です。
さらに読む
Workday はビジョンの完全性と遂行能力が評価され、ファイナンシャル プランニング ソフトウェア製品に関する Gartner® 社のマジック クアドラントにおいて、再びリーダーに認定されました。
Workday はマジック クアドラント レポートにおいてリーダーに再び認定されました。Workday Illuminate には、Workday プラットフォーム全体に AI を導入することを目指す当社の揺るぎないコミットメントが反映されています。このツールを使用すると、お客様は優れた効率性や高度なインサイトを活用し、新たな成長機会を獲得できます。
グローバル競争が激化し、経営環境の不確実性が高まるなか、従来の手法では、経営判断に必要な情報を適時に提供することが難しくなっています。そこで、注目されているのがFP&Aの存在です。この記事では、FP&Aの定義や役割から導入の進め方まで、体系的に解説します。ご一読いただくと、FP&Aについて理解し、自社への導入を具体的にイメージできるようになるでしょう。FP&Aを通じて、財務部門が経営の意思決定により深く関与し、企業価値向上に貢献する道筋が見えてくるはずです。