世界の財務リーダーを対象とした調査: CFO が最高コラボレーション責任者も兼任する必要がある理由

最高財務責任者 (CFO) は、マーケティング、オペレーション、人事、営業、IT などの各部門のリーダーたちと効果的にコラボレーションしているでしょうか。当社の「財務の再定義: 世界の財務リーダーを対象とした Workday の調査」では、670 人を超える世界中の財務部門のシニア リーダーの見解を評価しています。その回答の多くが、「いいえ」であることが明らかになりました。CFO が他の経営幹部とのコラボレーションを強化するために重要となる 3 つの要素についてご紹介します。

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ビジネス環境では、顧客の行動の変化、新たな規制、絶え間ないテクノロジーの変化、破壊的なビジネス モデルがますます複雑化し、気が遠くなるほど複雑に絡み合っています。その結果、組織はアジリティを高めて効率的なコラボレーションを促進することが必要になりました。サイロ化した組織内で作業していては、これらの複雑な課題に必要な専門知識やソリューションを統合してひとつにまとめることはできません。

それでも一部のチームはコラボレーション能力を高めることができました。個々のリーダーについてはどうでしょうか。特に、CFO は、マーケティング、オペレーション、人事、営業、IT などの各部門のリーダーたちと効果的にコラボレーションしているでしょうか。

当社の「財務の再定義: 世界の財務リーダーを対象とした Workday の調査」では、670 人を超える世界中の CFO と財務部門のシニア リーダーの見解を評価しています。その回答の多くが、「いいえ」であることが明らかになりました。コラボレーションの度合いは役割によって異なるものの、他部門の経営幹部と「シームレスなコラボレーション」を行っていると報告した CFO は、わずか 3 分の 1 程度であることがわかりました。たとえば、最高営業責任者と「シームレス」にコラボレーションを行っていると報告した回答者は 37% に上りますが、最高情報責任者 (CIO) と同じレベルのコラボレーションを行っていると回答したのはわずか 27% でした。

進化する経営幹部の役割

経営幹部のあるべき姿や任務は、年月を経て著しく変化しました。Deloitte 社の金融サービス業界リーダー (ヒューマン キャピタル) の Rob Dicks 氏は、「C-suite 1.0 (経営幹部第 1 世代) は、最高経営責任者 (CEO) が統轄するそもそものモデルです。CEO が今後の方針を述べ、全員がそれに従います」と説明しています。「C-suite 2.0 (経営幹部第 2 世代) は、私たち全員が共に育ってきたモデルです。経営幹部の役割が広がり、CEO は各領域で責任を負う経営幹部に問題を委任するようになりました。人の問題の場合は、最高人事責任者 (CHRO) に委任しました。技術に関する問題の場合は、CIO に委任しました。財務に関する問題の場合は、CFO に委任しました。これは非常に明解であったため、40 年近くにわたり機能していました」

Dicks 氏が述べているように、現在私たちは C-suite 3.0 (経営幹部第 3 世代) の時代に移行しつつあります。ますます複雑化するビジネス環境において、さらに幅広いグループの人に権限を委譲しています。Dicks 氏は次のように説明しています。「技術の問題を CIO に委ねようとすると、データの問題が絡んでくることがあります。そのために、最高データ責任者がいます。しかし、これにはリスクの問題も含まれている可能性があるため、最高リスク管理責任者 (CRO) が関わる必要があります。人財面や財務面に影響が及ぶ恐れがあります」そのため、「私たちが注目している経営幹部というのは、いっそう統合され、行動的で、コラボレーションを主導するエグゼクティブの集合体です」と述べています。

コラボレーションのメリット

経営幹部に対して効果的にコラボレーションを行うことができる CFO は、真のメリットをもたらすことができます。Deloitte 社の調査によると、経営幹部が長期にわたり相互に依存し合う業務において定期的に連携している組織では、今後 1 年間で 10% を超える成長が見込まれる可能性が高いことが明らかになりました。

コラボレーションの度合いが増すほど、組織を率いる経営幹部たちが同一の優先事項を共有するようになります。

CFO と CHRO の関係を調査した EY 社のレポート「Partnering for Performance」(連携によるパフォーマンスの向上) によると、従業員と財務リーダーのコラボレーションが促進されている企業では、利払い前税引き前償却前利益 (EBITDA) が増加し、業務の生産性が向上して社員の意欲が高まるなどのメリットがあることがわかっています。

EY 社の CFO と 最高マーケティング責任者 (CMO) の関係に関する調査では、「財務部門とマーケティング部門が強固な連携関係にあるかどうかで、高成長を遂げる組織と、停滞または取り残される組織との差が明らかになります」と述べらています。

コラボレーションの度合いが増すほど、組織を率いる経営幹部たちが同一の優先事項を共有するようになります。そうすることで、目標の達成に向けて体制を整えることができます。

効果的な関係を築くための秘訣

コラボレーションが損なわれる可能性のある領域は多く存在します。CFO と CMO の関係に関する EY 社のレポートによると、共通のツールとプロセスの欠如が、この 2 つの部門のリーダーが密接な関係を築くうえでの最大の障壁となっており、加えて、財務実績とマーケティングの目標を紐づける明確な KPI がないことが指摘されています。その他の障害としては、文化の相違や、この種のコラボレーションの知覚価値の不足などが挙げられています。

より効果的に他の経営幹部と連携するには、財務リーダーは以下に示す 3 つの要素を重視する必要があります。

1. 他の経営幹部の抱えるプレッシャー、優先事項、目標を十分に理解する。さまざまな部門が、CEO や取締役会などの主要なステークホルダーからのさまざまな期待に直面しています。他のリーダーの背景事情を理解することは非常に重要なことです。

定期的に会議や電話をすることは、経営幹部のコラボレーションを高めるのに非常に効果があります。他の経営幹部を特定のプロジェクトに積極的に参加させ、能力や経験を発揮してもらうこともできます。また、他の経営幹部の意思決定に役立つデータを提供することで CFO がどのように彼らをサポートし権限を委譲することができるのかを、検討してみる価値はあります。たとえば、セルフサービス ベースで他のビジネスリーダーに特定の KPI を提供することができます。

2. お互いの言葉を理解していることを確認する。お互いの目標を理解することに加えて、CFO は他のリーダーのコミュニケーションの取り方を理解する必要があります。それにより、仕事上の協力関係をさらに効果的に築くことができます。ここでは、同じ言葉で話し合えることが重要になります。ビジネスの場面において、表向きは 2 人が同じ言葉を話しているようであっても、それぞれの役割上、高度に技術的で異質な用語を使用していると、コミュニケーションの効果が薄れる恐れがあります。

実際、Workday の調査によると、財務部門のリーダーの 68% が、「IT 部門と財務部門が同じ言葉を話していないため、CIO と CFO のコラボレーションの効果があまり上がらない」と答えています。

スタンフォード大学の財務分野の教授を務める Ilya Strebulaev 博士は、よりデータドリブンな組織を構築するうえでの CFO と CIO のパートナーシップの重要性を強調しており、そのためにはお互いをより深く理解する方法を学ぶ必要があると述べています。

「このデータドリブンな変革への取り組みにおいて、CFO は CIO と密接に連携して、自分たちがどのようなデータを求めているのかを理解してもらう必要があります。これまでは双方の言葉がかみ合わないことが多いという課題がありました。そのため、コミュニケーション チャネルを改善することが重要になるでしょう」と Strebulaev 博士は説明しています。

3. 次世代のリーダーに向けて部門の壁を超えたキャリアパスを探る。効果的なコラボレーションへの道筋は、エグゼクティブが経営幹部になるよりずっと前から始まっています。これまでに機能横断型の業務を経験したことがある人なら、コラボレーションのメリットを理解してそのメリットの実現に必要な手段を講じる用意ができているかもしれません。

Deloitte 社のレポートによると、さまざまな部門で幅広い経験を持つリーダーは、定期的に連携を取っており、実際、彼らの経営幹部が定期的に連携を取っていると回答する傾向が見られます。そのため、企業は、現在の経営幹部全体のコミュニケーションを改善するだけでなく、部門の壁を超えたキャリアパスにより今後を担うリーダー同士のコラボレーションをさらに促進していくことも検討する必要があります。

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「財務の再定義」についてグローバルに行われた調査結果の全容については、こちらのレポートをご覧ください。

「財務の再定義: 世界の財務リーダーを対象とした Workday の調査」では、2017 年 9 月から 2018 年 1 月にわたって 10 の主要なセクターを対象に、米国、欧州、アジア太平洋、南アフリカに所在する 670 人を超える財務リーダーを調査しました。回答者の 3 分の 1 以上 (38%) は年間収益が 10 億ドルを超える大企業に所属しており、35% は年間収益が 5 億ドルから 10 億ドル、27% は年間収益が 2 億 5 千万ドルから 5 億ドルの企業に所属しています。また、回答者の 3 分の 1 以上は CFO、財務担当ディレクター、最高会計責任者/コントローラーを務めており、その他の回答者は財務計画責任者、財務分析責任者、財務管理担当バイス プレジデントなどを務めています。

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