経営企画とは？基礎から2024年の最新動向まで重要ポイントを解説

「経営企画って、そもそも何をするのが正解なのだろうか？」
このような疑問にぶつかっているところかもしれません。

近年、ビジネス環境が急速に変化するなかで、経営企画の重要性が高まっています。効果的な経営企画なくして、企業の持続的成長は望めません。

しかしながら、「経営企画」と一言にいっても予実管理から社内調整まで、業務は多岐にわたります。その概念は漠然としており、実務に役立てにくいのが実情ではないでしょうか。
そこでこの記事では、経営企画の基礎から最新動向まで、組織成長の鍵を握るポイントを体系的に解説します。これからの時代に求められる「経営戦略」の重要なエッセンスを凝縮しました。
本記事を通じて、経営企画の役割と可能性を再認識していただき、変化の時代を勝ち抜く戦略立案のヒントをお持ち帰りください。

1. 経営企画の基礎：変化の時代における役割と重要性

まずは、経営企画に関する基本事項から概観していきましょう。以下を解説します。

1-1. 経営企画の定義と主要な機能

経営企画とは、企業の持続的成長を実現するために、中長期的な視点から経営戦略を立案・遂行する部門や職種を指します。
その主要な機能は以下の4点に集約できます。

このように、経営企画は社内の “頭脳” として、戦略立案から実行まで一気通貫で企業経営を支える重責を担っていることがわかります。

1-2. 経営企画部門の組織上の位置づけと他部門との関係

経営企画部門は通常、社長直轄の組織として位置づけられます。これは、経営トップの意思決定を戦略立案に迅速に反映させ、全社戦略の実効性を高めるためです。

他部門との関係において、経営企画は以下のような役割を果たします。

経営企画は、全社をつなぐハブ（中心的な役割）として、社内の隅々まで経営戦略を浸透させ、その実行をサポートする存在です。

1-3. 経営企画に不可欠な5つのスキル

経営企画に求められるスキルセット（必要とされる能力の組み合わせ）は多岐にわたります。なかでも重要なのは以下の5つです。

経営企画の仕事は高度な専門性が要求されますが、同時に幅広い知識と柔軟な思考力も必要とされる、非常にチャレンジングな職務だといえます。

1-4. 成功する経営企画の特徴と共通点

優れた経営企画に共通する特徴としては、以下の4点が挙げられます。

これらの特徴を備えた経営企画は、トップの信頼を得て、社内の求心力となり、組織を成長へと導く推進力となるのです。

2. 経営企画の近年の動向：新たな課題と変化する役割

経営企画を取り巻く環境変化は加速しており、従来の役割に加えて新たな課題への対応が急務となっています。
経営企画が直面する新たな役割と課題について、以下4つのポイントを見ていきましょう。

2-1. デジタルトランスフォーメーション（DX）と経営企画の進化

1つめは「デジタルトランスフォーメーション（DX）と経営企画の進化」です。
DXとは、“デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する” という概念です。
企業においては、単なるIT化ではなく、デジタル技術を活用して事業モデルや組織、企業文化そのものを変革することを指します。
経営企画は、DX推進の全社的な司令塔として、以下のような役割を担います。

DXは、経営企画の役割を大きく拡張しつつあります。ビジネスとITの双方に通じた知見を持ち、デジタルシフトを加速する原動力となることが期待されています。

▼ さらに深めたい方向け
DXに関しては、以下の記事もあわせてご覧ください。
DXを進める課題とは？多くの企業が失敗しがちな5つのポイント

2-2. アジャイル経営：急速な環境変化への適応力強化

2つめは「アジャイル経営」です。
アジャイル（Agile）とは、もともとソフトウェア開発の手法を指す言葉でした。素早く適応しながら開発を進めるこの手法を、経営の領域に適用したのがアジャイル経営です。
VUCA（変動性・不確実性・複雑性・曖昧性）と呼ばれる時代にあって、アジリティ（俊敏性・適応力）は、企業に不可欠な要素となりつつあります。
アジャイル経営の実践に向けて、経営企画には以下のような取り組みが求められます。

変化適応力を高めるアジャイル経営への転換は容易ではありませんが、経営企画のリーダーシップが鍵を握ります。

▼ さらに深めたい方向け
組織のアジリティに関しては、以下のページが参考になるはずです。
継続的なプランニングが組織のアジリティを強化 - 電子書籍

2-3. データドリブン経営：意思決定プロセスの高度化

3つめは「データドリブン経営」です。
ビッグデータ時代と呼ばれる今日、企業が持つデータの量は爆発的に増加しています。そのデータを戦略的に活用し、経営の意思決定に役立てようとするのが、データドリブン経営です。
データドリブン経営の推進における経営企画の役割は、大きく以下の3点です。

データに基づく意思決定を組織全体に浸透させる推進役としての重要性は、ますます高まっています。この役割を担う経営企画部門の責任は、今後さらに大きくなると予想されます。

▼ さらに深めたい方向け
データドリブン経営に関しては、以下の資料に詳しくまとめていますので、お役立てください。
データドリブン経営に向けたCFOの役割

2-4. サステナビリティ経営：長期的価値創造へシフト

4つめは「サステナビリティ経営」です。
サステナビリティとは、「持続可能性」を意味する言葉です。
企業は株主のためだけでなく、顧客・従業員・取引先・地域社会など、あらゆるステークホルダー（利害関係者）に価値を提供する存在へと進化することが求められています。
短期的な利益追求から、社会課題の解決を通じた持続的成長へとシフトする経営が、サステナビリティ経営です。経営企画には、このサステナビリティ経営の推進で中心的な役割が期待されます。

サステナビリティ経営は、従来の枠組みを超えた価値創造を目指すものであり、経営企画の役割の大きな転換点となるはずです。

▼ さらに深めたい方向け
WorkdayのESGソリューションは、企業が持続可能なビジネスを実践し、社会的責任を果たすための包括的な支援を提供します。
持続可能性と ESG 目標を達成

3. 効果的な経営企画手法：3つの最新アプローチ

ここからは、先に述べた経営企画の新たな役割・課題に対応するための、具体的な手法について見ていきましょう。
経営企画の質を高める、最新の3つのアプローチを紹介します。

3-1. ERPを活用したリアルタイム分析と戦略立案

1つめのアプローチは「ERPを活用したリアルタイム分析と戦略立案」です。
経営企画の生命線ともいえるのが、社内外のあらゆるデータを統合的に把握・分析する力です。
そのための強力なツールとして欠かせないのが、ERP（Enterprise Resource Planning：統合基幹業務システム）の活用です。

※ERPの詳細を知りたい方は、「ERP システムとは何か」を先にご覧ください。

ERPを自在に使いこなすことは、経営企画のデジタルシフトにおける第一歩といえるでしょう。単なるデータの可視化に留まらず、戦略策定や経営管理での実践的な活用が鍵を握ります。

EPRで何が実現できるのかを具体的にイメージしたい方は、以下のページにてご確認ください。
先を行く企業のための人事＆財務プラットフォーム

3-2. 人財管理システムを用いた業績評価フレームワークの構築

2つめのアプローチは「人財管理システムを用いた業績評価フレームワークの構築」です。
戦略を着実に実行するためには、戦略と連動した業績評価の仕組みづくりが不可欠です。
人事部門との密接な連携が欠かせませんが、人財管理システムの活用が、その実現を大きく後押しします。

業績評価の設計は人事部門の役割と思われがちですが、経営戦略の描き手である経営企画がイニシアチブ（主導権）を取ることも、状況によって必要です。

人財管理システムについて、より詳しく学びたい方は、以下のページをご覧ください。 基礎を理解する: 人財管理ソフトウェアとは

3-3. EPMを活用したシナリオ分析と経営意思決定の高度化

3つめのアプローチは「EPMを活用したシナリオ分析と経営意思決定の高度化」です。
不確実性の高い時代においては、単線的な計画立案ではリスクが大きすぎます。さまざまな未来シナリオを想定し、それぞれに対応した戦略オプションを準備しなければなりません。
その実践において、EPM（Enterprise Performance Management：企業業績管理）システムが大いに力を発揮します。
とくに、強力なAIと機械学習を活用したEPMシステムは、シナリオ分析の精度と速度を飛躍的に高めてくれます。
経営企画におけるEPMシステムの活用イメージは、以下のようなものです。

高度な分析技術を経営企画の武器として使いこなすことが、今後のスタンダードになるはずです。

EPMシステムの具体的な製品を確認されたい方は、以下のページをご覧ください。 Adaptive Planning: EPM ソフトウェア

なお、テクノロジーの選定に迷うときや、どのような選択肢があるのかについて情報収集されたい場合は、Workdayまでお気軽にご相談ください。

4. まとめ

本記事では「経営企画」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

経営企画の基礎知識として、以下を解説しました。

経営企画の近年の動向として、新たな課題と役割が生まれています。

効果的な経営企画手法として、3つの最新アプローチをご紹介しました。

激動の時代だからこそ、経営企画の役割は、これまで以上に重要となるでしょう。本記事で論じたさまざまな視点が、これからの経営企画の針路を考える一助となれば幸いです。