効果的なサプライヤ マネジメント プログラムの 4 つの柱

サプライヤ リレーションシップ マネジメント (SRM) プログラムの構築に不安を抱く必要はありません。このブログでは、成功をもたらす SRM プログラムの 4 つの柱と、サプライヤのパフォーマンスを向上させるベストプラクティスについて考察します。

リスクの軽減やビジネス継続性の確保を目指す調達部門のリーダーにとって、効果的なサプライヤ マネジメントがこれまでにないほど重要になってきています。1 年以上続いた予測不能な需要や不安定なサプライチェーンによって、より強固なコラボレーションや戦略的なサプライヤ パートナーシップが必要であることが明らかになりました。

ハーバード ビジネス レビューの調査によると、ビジネスリーダーの 95% が、今回のコロナ禍でソーシングや調達のプロセスに混乱が生じたと答えています。また、調達部門のリーダーの大多数が、事業継続計画においてサプライヤ マネジメントが重要な役割を果たすという考えに同意しているものの、強力なサプライヤ データ分析機能を持っていると回答したリーダーはわずか 21% でした。 

新たな人権法案や継続的な物価上昇といった課題も新たに生じ、調達部門のリーダーに課せられた責務は拡大し続けています。また、一般データ保護規則やオーストラリアの現代奴隷法のような法規制の下で、ソーシング チームには、かつてないほど多くのサプライヤ データを収集し、責任あるソーシング プラクティスを確保することが求められています。一方、米国の消費者物価指数はここ 10 年来の最高値となっており、サプライヤと調達チームが負担するコストも増加しています。加えて、サプライチェーン問題は 2022 年前半まで続くとみられていることから、調達部門のリーダーには、データドリブンな意思決定を行ってバリューチェーンに対するストレスを緩和する能力が求められています。各チームは、効果的なサプライヤ マネジメント プログラムを導入することで、ベンダーと効率的にコミュニケーションをとり、将来に向けた戦略的な計画を行い、必要なイノベーションを促進することができます。 

「調達部門のプロフェッショナルをいかにトレーニングし、サプライヤ主導のイノベーションを活用できるようにするのかが主な優先課題です。実現するには、サプライヤと連携するための適切なインフラが必要です。また、サプライヤの専門知識を正しく利用しているという、十分な信頼を築く必要があります」

Shashi Mandapaty 氏 コーポレート ティア、最高調達責任者 (CPO) Johnson & Johnson 社

リモート ワークやハイブリッド ワークがニューノーマルとなった世界で、地理的に分散しているサプライヤ パートナーと密接に連携することは簡単ではありません。しかし、これはビジネスにとって不可欠なことです。では、調達部門のリーダーがサプライヤとパートナーを組みながら、各ビジネスニーズのバランスをとるにはどうすればいいのでしょうか。 

効果的なサプライヤ マネジメント プログラムの 4 つの柱

サプライヤ リレーションシップ マネジメント (SRM) を重視する、優れた調達部門チームならば、不確実性にうまく対応することができ、ディスラプションに直面しても、優れたパフォーマンスをあげることができます。不安定なサプライチェーンや変化し続ける消費者行動に対応する中、ソーシング リーダーにとって不可欠なことは、以下の点を念頭に置きながら SRM 戦略を構築することです。

  • オープン コラボレーション: 調達部門のリーダーはサプライヤとステークホルダーとの「橋渡し役」となり、コラボレーションを優先した SRM プログラムを策定する必要があります。その方法の 1 つは、サプライヤとステークホルダーの両方に、ニーズや基準を互いに伝達できるセントラル ハブを提供することです。実際のところ、長い E メール チェーンの途中で重要情報が紛失することがあまりも多いのです。こうしたプロセスを排除することによって、調達部門はコミュニケーション ラインをオープンにし、最新情報を常に把握することがでます。 

  • シンプルなコンプライアンス: 専用のプロセスがなければ、サプライヤのコンプライアンスを継続的に追跡するのはほぼ不可能です。また、コンプライアンス違反に対するペナルティや金融リスクが増大していることから、ソーシング リーダーはサプライヤだけでなくそれらの広範囲に及ぶバリューチェーンも明確に把握しておかなければなりません。多くのリーダーがコンプライアンス プロセスをオートメーションによってシンプル化し、テンプレート化されたフォームを利用して大量のコンプライアンス情報をサプライヤから収集・集約しています。 

  • 優れた可視性: もはや 1 次サプライヤを把握しているだけでは不十分です。今や調達チームがビジネス プランニングを効果的に行うためには、サプライヤにとってのバリュー チェーンも熟知していなければなりません。さらに契約上の義務や更新に関して言えば、こうした知識なしで済ますことはできません。SRM の各プロセスに可視化機能が組み込まれていれば、チームはサプライヤへのインパクトをより包括的に把握できるとともに、各リソースをより効果的に割り当てることができます。

  • データドリブンなリレーションシップ: 指標に基づいた会話をサプライヤとできる調達部門のリーダーは、改善点をより正確に把握し、成果をさらに高めることができます。こうした会話を主導する最初のステップは、パフォーマンス履歴を集計し、トレンドと成長機会を把握することです。基盤となるサプライヤ データがあれば、チームはステークホルダーと協力して定性的フィードバックを収集することによって、どのようにすればサプライヤ パートナーがさらにビジネスに貢献できるのかを理解することができます。 

調達部門リーダーの大多数が、事業継続の原動力となるのはサプライヤ マネジメントであることに同意しています。ところが、10 人中 4 人が、プランニングにサプライヤ マネジメントが組み込まれていないと答えています。2021 年が終わりに近づく中、一部で懸念されるサプライチェーン問題がホリデー シーズンの盛り上がりに水を差すとみられるため、ビジネスリーダーは優れたサプライヤ マネジメント ツールを獲得することを最優先にするべきでしょう。 

「急拡大している会社には、自社の成長に合わせて各プロセスを迅速に変化させる能力が不可欠です。Workday ストラテジック ソーシングを利用することで、システムを容易に変更し、翌日にはそれを反映させることができます」

調達部門バイス プレジデント 金融サービス会社

SRM プログラムを構築するためのベストプラクティス

信頼性の高いサプライヤ マネジメント システムを利用している調達チームは、サプライヤとパートナーを組みながら、サプライヤの多様化、戦略的なコスト削減、管理下での支出増加といった重要なビジネス目標を達成しています。では、プログラムを構築し、そこから成果を上げるにはどうすればいいのでしょうか。 

  • 初期段階から主要なステークホルダーを関与させる: どんなに優れた SRM プログラムであっても、ステークホルダーが参加していなければ意味がありません。プロセスの初期段階でキー パートナーを引き込み、SRM プログラムに対する彼らのニーズを確実に把握します。また、ステークホルダーと早めに連携することで、どのカテゴリーのパフォーマンスを評価すればいいのか判断できるほか、サーベンス オクスリー法 (SOX 法) への準拠や過去の財務情報といった必須のサプライヤ情報を把握することもできます。最後に、ビジネス ステークホルダーを初期段階で関与させることによって、プロセス エバンジェリストを育成するチャンスを得ることができます。新しいプログラムを周知し、ビジネス エンゲージメントを促進する際、このエバンジェリストが助けになってくれます。 

  • サプライヤ データを一元管理する: プログラムを構築する前に、基盤となるデータを収集しておくことが非常に重要です。多くの会社では、サプライヤ データは別個のデータベース、E メール チェーン、デスクトップ、さらにはデスクの引き出しなどさまざまな場所に保存されています。既存のデータを集約すると、既存のサプライヤ プロセスをより包括的に理解し、ギャップを明らかにすることができます。 

  • 社内外のトレーニングを準備する: 新しいプロセスをステークホルダーとサプライヤの両方に導入してもらえるかどうかは、チェンジ マネジメントの効果的な実施にかかっています。SRM のスムーズな導入には、複数回のトレーニング セッションが行われることが多く、これにより、新しいプログラムの使用方法やメリットについてパートナーに理解してもらうことができます。また、トレーニング セッションの副次的メリットとして、エンゲージメントの増加や調達業務に関する認識の広がりにより、他のビジネス部門との関係が深まることがあります。 

SRM プログラムをゼロから構築するのは、不安を感じるであろうことは確かです。業界トップクラスのある金融サービス会社のケースでは、サプライヤのパフォーマンス データを含む既存のスライドを使って、自社の SRM プログラムをリバースエンジニアリングしなければなりませんでした。 

しかし、会社の規模が拡大したとき、データの一元化とオートメーション化を実現することができました。これにより、組織全体の可視性が向上しただけでなく、サプライヤとの関係に対するアクショナブル インサイトを得ることができました。言い換えれば、適切に準備し、ビジネス部門とプロアクティブに関われば、関係を強化してパフォーマンスを向上させる効果的な戦略を構築できるということです。 

SRM プログラムをゼロから構築するための実践的ヒントにご興味がありましたら、サプライヤ マネジメントのガイドをご参照ください。SRM を強化するための 7 つのステップを紹介しています。 

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