社員は職場での AI についてどう感じているか、そして企業ができることとは

AI に対する社員の視点を理解することで、AI のメリットを享受できるようにチームを導きましょう。詳しくは、Workday からの委託で Forrester Consulting 社が実施した調査「A Human-Centered Approach to Al in the Workplace (職場における AI への人間中心のアプローチ)」をお読みください。

このブログでは以下についてご紹介します。

AI (人工知能) はもはや最先端技術ではなく、日常業務に欠かせないものとなりました。

AI は、欧米全体で業務タスクの 4 分の 1 に取って代わると予想されており、プロセスの効率化、迅速な分析、複雑なタスクの自動化などを可能にする AI の能力は、生産性を大きく上昇させることが示唆されています。

しかし、こうしたメリットを享受するためには、単にテクノロジーを導入すればいいというわけではありません。重要なのは、AI を最大限に活用できるよう、社員をリーダーがいかに導くかです。

Workday からの委託で Forrester Consulting 社が 2023 年に実施した調査「A Human-Centered Approach to Al in the Workplace (職場における AI への人間中心のアプローチ)」では、人事関連のプロセスで社員が自ら AI を活用できていると実感するためには何が必要かを考察しています。社員が AI を活用したテクノロジーにアクセスできるようにすることが第一歩であることは間違いありませんが、リーダーは社員のためらいや懸念に対処するためのプランを練る必要があります。今回の調査結果は、社員の抱く懸念はリーダーが考えているようなものとは異なることを示しています。 

多くのリーダーが考えている以上に社員は楽観的

本調査では、世界中の HR テクノロジーの意思決定者 1,124 名と、現場やオフィスで働く 1,340 名を対象に、AI が社員の育成や採用などをどのように変化させているかについて見解を聞きました。

調査に参加したグローバル リーダーたちは、今後 AI が人事業務の基本的な要素になるという点で見解が一致しました。実際、テクノロジーの意思決定者の 3 分の 2 (70%) は、AI が今後 5 年間で候補者のマッチングからキャリアやスキルの開発に至るまで、人事業務をサポートする重要な存在になると述べています。地域別に見ると、AI に対する熱意が最も高かったのは北米のリーダーで 75%、最も低かったのはアジア太平洋地域で 66% でした。

しかし、社員が AI をどのように受け止めているかについては、多くのリーダーが悲観的です。職場での AI の導入に社員が積極的だと考えている意思決定者はわずか 31% しかいません。

ところが、現実の社員の大多数は AI の活用に前向きで、71% が AI によってより速く、簡単に情報にアクセスできるようになるだろうと答えています。この傾向を裏付ける別の数字として、社員の約 4 分の 3 (73%) が、会社に AI を導入する方法をさらに模索して欲しいと考えています。 

社員は自身の業務の一環として AI を利用することを受け入れていますが、私たちの調査によると、AI に関連するプライバシーや仕事のセキュリティについては大きな懸念を抱いており、多くの社員はそのテクノロジーを十分には理解していません。 

社員が AI を活用できるようにするための 4 つのアクション

AI に対する社員の見解や心情をめぐっては、社員とリーダーの間で明らかな隔たりがあります。リーダーは、社員が AI の活用に乗り気でないことが、組織内で AI の導入が進まない原因であると誤解している可能性があります。しかし実際には、今日の社員は AI の可能性に関心を持ち、むしろ積極的に活用したいと考えています。注意すべき点は、AI よって活用されるデータがどのように使用されるのか、仕事がなくなる可能性はないのか、テクノロジーに関する知識が不足している、といったことを社員が懸念していることです。

AI のメリットを享受するためには、単にテクノロジーを導入すればいいというわけではありません。重要なのは、AI を最大限に活用できるよう、社員をリーダーがいかに導くかです。

AI が最大限に普及するためには、リーダーたちがこうした懸念に効果的に対処できなければなりません。そのためにも、リーダーは新しい AI 機能の導入と並行して、チェンジ マネジメントのアプローチを取り入れる必要があります。 

社員が革新的なテクノロジーを積極的に受け入れるのは良いことですが、人事リーダーは調査に裏打ちされた以下の 4 つの推奨事項を念頭に置いておくべきでしょう。

1.透明性を大切にする

社員は、AI が自分の役割や仕事のやり方をどのように変えるのか、またなぜ変える必要があるのかを知っておくべきです。社員の 3 分の 2 以上 (69%) が個人データが悪用されることを懸念しており、53% が AI によって職を奪われることを心配しています。 

人事リーダーは、こうした懸念があることを認めた上で、その懸念に組織がどのように対処しているかを詳しく説明する必要があります。今はまだ理想と現実の間に大きなギャップがあります。AI がどのように利用され、社員にどのような影響を与える可能性があるかについて、会社が透明性を保っていると答えた社員はわずか 39% でした。これは特にアジア太平洋地域において顕著であり、企業が透明性を保っていると感じているのは日本の回答者では 33% で、これは欧州の回答者の 39%、北米の回答者の 40% を大きく下回っています。

全体では、64% の社員が人事における AI の使用に関して明確なガイドラインがあれば懸念や不安が軽減されると答えています。

透明性とは正直であることです。組織が求めるコスト削減についても例外ではありません。デリケートな話題であるのは間違いありませんが、人事リーダーは Forrester 社の調査のある特筆すべき結果に注目するべきでしょう。社員の 3 分の 2 は AI によるコスト削減が実現すれば、その分を他の領域にまわすことができ、職場での経験にプラスの影響を与える可能性があることに同意しています。 

AI が今後数か月、数年のうちにワークフォースをどのように変えていくかを正確に知るのは不可能ですが、人事リーダーは自身が知っていることについて共有することを避けるべきではありません。その理由は明らかです。組織が AI の利用に関して透明性を保っていると考える社員は、AI の導入に前向きな気持ちになる可能性が高いからです。 

2.十分なトレーニングを用意する

当然ながら、新しいことや未知のことは人を不安にさせます。意思決定者の 3 分の 2 近くは、社員が AI の仕組みを理解していると考えているにもかかわらず、過半数以上 (66%) の社員は AI がどのように機能するのか理解していないのが現実です。

トレーニングはその隔たりを埋めるのに役立ちます。社員のスキルアップのために適切なトレーニングを提供することは、人事における AI の活用を成功させるために最も重要となる要因です。社員が AI に関するトレーニングを受けることで、テクノロジーについて理解を深め、懸念の度合いが下がり、エンゲージメントが高まることに 75% のリーダーが同意しています。

そのためには、多くの組織でリーダーの知識をレベルアップさせる必要があります。リーダーの 3 分の 2 近く (64%) が、AI を活用するための十分なトレーニングを受けていないと答えています。

3.的を絞ったコミュニケーションを図る

あらゆるチェンジ マネジメントの取り組みにおける土台はコミュニケーションです。しかし経験豊富な HR リーダーは、画一的なアプローチが、失敗しないまでも失望を招く結果となることを知っています。AI に関わる変更の管理も例外ではありません。Forrester 社の調査では、リーダーがコミュニケーションを図るべき対象として以下の 4 つのペルソナに注目しています。

  • AI 懐疑派: IT 部門に最も多くみられる
  • AI に慎重な信奉者: 年齢は 26 ~ 35 歳でヘルスケア分野に最も多くみられる
  • AI に無関心: 年齢は 36 ~ 45 歳が最も多い
  • AI 支持者: 年齢は 18 ~ 25 歳で営業職に最も多くみられる

調査結果では、ペルソナごとに各種コミュニケーションに対する反応が異なることが明らかになっています。たとえば、AI に慎重な信奉者の約半数は、AI によって組織内の仕事がなくなるのか、あるいはなくならないのかについて透明性を保つことで、人事における AI の活用に対する懸念や不安が軽減されると答えています。AI に無関心な人で同じように感じているのはわずか 18% です。また、支持者および懐疑派の半数以上が、組織が AI をどのように活用しているかについてコミュニケーションをとることで不安や懸念が軽減されると回答している一方、同様に感じている慎重な信奉者は 5 分の 1 (22%) しかいません。

企業のリーダーは、社員を単なる AI の付属物ではなく、パートナーとして重視していることを示す必要があります。

AI の活用と影響に関するコミュニケーションを改善し、社員の懸念に対処することは、職場で生じる AI への抵抗のリスクを軽減するのに役立ちます。慎重な信奉者と懐疑派の半数近く (45%) が、人事における AI の活用に対する懸念が解消されないままであれば、組織を去る可能性が高いと回答しています。

4.社員からのフィードバックに耳を傾けて取り入れる

AI 関連の変化に対して社員の賛同を得る最も簡単な方法の 1 つは、そのテクノロジーが社員の日々の仕事をどのように改善できるかを示すことです。これは実はそれほど難しいことではありません。社員はすでに、AI を活用することで情報へのアクセス、生産性の向上、新しい役割の発掘が容易になることを期待しています。また、ほぼ半数 (48%) の人が AI は自身のキャリアアップに役立つ可能性があると答えています。

AI を組み込んだ新しい人事ツールは、時間のかかる反復的な作業を減らして社員のセルフサービスを向上させることに役立つ可能性があります。むしろ役立てるべきと言えます。人事リーダーは、今後 AI がエンプロイー エクスペリエンスにもたらしてくれるプラスの効果を強調する必要があります。さらに、新たな機能が追加されていく中で、AI の活用が快適な職場づくりを支えるようにフォローしていかなければなりません。

リーダーたちは、熟練の労働者の不足がもたらす課題を痛感しています。AI は、企業が将来に備えてスキルの高い、適切に訓練されたワークフォースを構築できるようにする機会を提供します。しかし、そこに到達するためには、人事リーダーはテクノロジーや職場環境の変化にまつわる社員の懸念を和らげる必要があります。幸いなことに、社員はリーダーたちが考えている以上に AI に好意的です。半数近く (42%) が AI は全体的に有益だと考えている一方、よく分からないと答えたのは 29% です。 

エンプロイー エクスペリエンスを向上させるために AI を活用することは、現在の人財の確保を促進し、将来の人財を惹きつける機会となります。周到なチェンジ マネジメントなしで急速な変化を推進することが、企業が成功するためにとるべき道でないことは明らかです。

AI のインテグレーションを慎重に行うには、社員がどう感じているかを確認する必要があります。Workday が委託したこのレポートで、ある人事担当ディレクターの回答者が AI の導入について次のような助言を共有しました。「必ず社員と共にテストし、可能な限り多くのフィードバックをできるだけ早く得るべきです。導入の範囲を広げる前に、リーダーシップ チームの足並みが揃っていることも重要です」 

人財を最優先にするアプローチを採ることにより、AI を活用したイノベーションの文化を醸成

人事関連プロセスにおける AI の活用に関しては、現状はまだ氷山の一角にすぎません。組織が AI インフラの構築を続けるなか、企業のリーダーたちは、社員がそれぞれの役割において AI を自ら活用できていると実感できるようにする必要があります。言い換えれば、企業のリーダーは、社員を単なる AI の付属物ではなく、パートナーとして重視していることを示さなければなりません。ここでお勧めした 4 つのとるべきアクションと、Workday が委託した調査から得られるインサイトは、常に企業の最大資産である人財を中心に、成功をもたらす持続可能な AI 導入戦略をいかに策定すべきかを明らかにしています。

「A Human-Centered Approach to AI in the Workplace (職場における AI への人間中心のアプローチ)」で、AI に関するトレーニングが現在および将来にわたって社員の能力を高めるためになぜ重要なのかを確認しましょう。

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