エージェント型 AI の波: ワークフォース管理の新時代
AI エージェントは企業のテクノロジー環境を大きく変えます。しかし私たちはその価値を完全に引き出す準備ができているでしょうか?Workday の最高製品責任者を務める David Somers が見解を共有します。
AI エージェントは企業のテクノロジー環境を大きく変えます。しかし私たちはその価値を完全に引き出す準備ができているでしょうか?Workday の最高製品責任者を務める David Somers が見解を共有します。
企業のテクノロジーは時間とともに進化しました。しかし過去 1 年間を振り返ると、今日の AI 革命はこれまでの進化とは根本的に異なることがわかります。
テクノロジーは、メインフレームからミニ コンピュータ、クライアントサーバー、Web、クラウドへと変遷し、それぞれが大きな変化をもたらしました。しかし AI はこれまでのテクノロジーと異なります。応用数学を適用し、確率から決定論的結果を導き出します。AI は世界を変える力を秘めているのです。
生成型 AI の波は確かに存在しましたが、長くは続きませんでした。また、消費者向けアプリケーションとしては価値がありますが、企業に適用するには不十分です。当社はユースケースとして職務内容や調達管理フォームの作成に生成 AI を導入した結果、お客様の利便性を高めることはできましたが、真の変革をもたらすには至りませんでした。また、コンテンツ生成で節約された時間は AI 出力の確認・編集によって相殺されることが少なくありません。
新たな「エージェント型 AI の波」について最先端のテクノロジー エキスパートと話し合いを行ったところ、あるアイデアが浮かびました。長年にわたりスキルの研究に多額の投資を行ってきた結果、当社は Skills Cloud を構築し、スキルが企業内で果たす役割についての理解を深めました。 このようなスキルに関する専門知識と AI 開発能力を組み合わせることにより、当社はエージェントを最も効果的に構築する方法を導き出すことができました。単に既存のビジネスプロセスを自動化するのではありません。スキルやロール (役割) に重点を置くことが鍵になります。
Skills Cloud について考えてみましょう。私たちは業務を標準的なスキル セットに分解し、ロール別にまとめました。これには人間がスキルとロールを組み合わせて業務を遂行する方法が反映されています。エージェントの業務モデルは、人間の業務モデルと完全に一致すると考えています。これが正しい場合、Workday は 2 つの使命を果たす必要があります。適切なエージェントを構築してお客様に提供すること、そしてエージェントを管理するシステムを提供することです。どちらも同じように重要です。
当社は 9 月に開催された Workday Rising で Workday Illuminate を発表しました。この次世代型 AI プラットフォームは、企業経営を加速、支援、変革します。お客様は現在、生成 AI を活用して一般的な業務を加速させています。複雑な業務を支援し、提案を行うコパイロットも活用しています。
しかしビジネス変革を完全に達成するためにはエージェントが必要になります。真のエージェント AI の価値は、生産性を飛躍的に高め、明確な ROI を実現する能力にあります。AI エージェントは複雑な業務を自動化し、ワークフローを調整することにより、社員が価値の高い業務に専念できるようにします。これは効率性やイノベーションの向上をもたらします。
Workday はエージェントが人間と平和的に共存し、生産性を段階的に促進させると考えています。 しかしエージェントの可能性や真の力は、ロールベースで活用することで発揮されます。ロールベースのエージェントが持つデフォルトのスキルは 1 つかもしれませんが、時間の経過とともに設定可能なスキルを多数提供するようになります。ロールベースのエージェントは、単純な業務を完了することに加え、実際の役割に付随する多面的な業務にも対応します。そのため、業務ベースのエージェントとよりも多くの価値をもたらします。たとえば、会計士の業務は記録を保管するだけではありません。予算編成や収益予測を行い、規制コンプライアンスを確保し、戦略的ガイダンスを提供する必要があります。
ロールベースのエージェントは社員の多様な業務を処理することによって責務を幅広くサポートし、組織に総合的な価値を提供します。そのため企業は AI の真の力を引き出すことができます。しかし強力なロールベースのエージェントを最大限に活用して安全に運用するためには、エージェントを管理する強固なシステムが必要になります。
真のエージェント AI の価値は、生産性を飛躍的に高め、明確な ROI を実現する能力にあります。
AI エージェントの力を活用するためには、責任を持ってエージェントを管理する必要があります。エージェントは想像を超える速度で動作します。適切に管理しない場合、意図しない結果が生じたり、誤用されたりする可能性があります。エージェントの安全性はどのように確保すればよいでしょうか?オンボーディング、統制、管理はどのように行えばよいでしょうか?エージェントのスプロール化を全社規模で防止するにはどうすればよいでしょうか?
克服すべき課題はまだあります。エージェント型 AI を組織に導入する場合は、正確性、一貫性、バイアス、速度、コストについて慎重に検討する必要があります。AI エージェントを運用する際に明確な境界やルールを設定することが不可欠である理由はここにあります。新入社員が機密性の高いシステムを許可なく使用しないように管理するのと同様、AI エージェントのアクセス・実行範囲を管理する必要があります。
多くの企業は現時点では、このような管理を一元的に行う体制が整っていません。これは重大なリスクとなります。この課題を解決するのが Agent System of Record です。このツールを使用すると、AI のガバナンス、管理、監査、監視、ロールベースのアクセス制御を一元的に管理できるため、責任を持って AI エージェントを活用し、効率的に運用できます。
Workday は数十年にわたり従業員管理ソリューションを提供し、高い信頼を獲得してきました。多くのフォーチュン 500 社を含め、7,000 万人以上のユーザーが当社のプラットフォームを使用しています。トランザクション数は年間 8,000 億件以上に及びます。当社のデータセットの規模・質は他に類を見ません。私たちはお客様の最も貴重な資産である人財と資金を確実に保護するよう努めています。
一方デジタル ワーカーは、ワークフォースの一員として従業員と連携して業務を遂行する役割を担うようになっています。デジタル ワーカーを含め、ワークフォース全体を管理できる統合プラットフォームが必要になります。この変化は永続的なものです。複雑なエージェント管理に対応しない企業は、周囲から後れを取ることになります。Workday はこのようなテクノロジーの移行を主導できる独自の立場にあります。当社は人財管理、スキル、ロールについて比類ない知識を保有しています。デジタル ワーカーの管理においても同様です。
一方デジタル ワーカーは、ワークフォースの一員として従業員と連携して業務を遂行する役割を担うようになっています。デジタル ワーカーを含め、ワークフォース全体を管理できる統合プラットフォームが必要になります。
AI の役割が拡大する中、組織が AI の可能性を最大限に引き出すためには、デジタル ワーカー管理が不可欠になります。人間と AI がシームレスに連携し、成功を推進できる未来を構築することが重要です。
私が Workday Agent System of Record について発表できることを嬉しく思う理由はここにあります。Agent System of Record は、Workday エージェント、サードパーティ エージェントを含め、組織のあらゆる AI エージェントを 1 か所で管理できる一元的なシステムを提供します。お客様は、新しいエージェントのオンボーディング、ロール/責務の定義、オン/オフ、成果の追跡、コスト管理、コンプライアンスの遵守、継続的な改善の促進を含め、AI エージェントを包括的に管理できます。
Agent System of Record は、AI エージェントの責任ある運用、かつ効果的な運用を実現するための基盤となるものです。
大事なのは、これがライフサイクル全体を通じて、AI エージェントを適切に活用するために必要なフレームワークとなっているということです。そのフレームワークには以下が含まれます。
Agent System of Record は、AI への投資がもたらす真の価値を把握するために必要となる信頼性、透明性、管理性を IT 部門やビジネスリーダーに提供します。また、人間と機械が連携する新時代に組織がレジリエンスを持って対応し、セキュリティを維持できるようにします。
Agent System of Record は、Workday エージェント、サードパーティ エージェントを含め、組織のあらゆる AI エージェントを 1 か所で管理できる一元的なシステムを提供します。
当社は本日、ロールベースのエージェントの新たなラインアップについても発表しました。契約管理エージェント、給与管理エージェント、会計監査エージェント、ポリシー エージェントは、Agent System of Record を使用して簡単に導入・管理することができます。今日の多くのエージェントは業務ベースで動作しますが、Workday のエージェントはロールベースで動作し、設定可能なスキル セットを通じて人財の職務をサポートします。
これらのエージェントは Workday マーケットプレースで簡単に検索・導入できます。お客様は Workday のエージェントを見つけることも、サードパーティのエージェントを見つけることも、パートナーのエージェントを見つけることもできます。組織は将来的に Workday Extend を通じてこれらのエージェントをカスタマイズ・拡張し、独自のニーズを満たせるようになります。
新時代は始まっています。仕事の未来を形作るのは AI です。クラウドへの移行時と同様、Workday は他社に先駆けて AI を導入するお客様を支援する準備ができています。
Workday Agent System of Record についてもっと詳しく知りたいですか?2 月 12 日に開催予定のデジタル イベントにご参加ください。組織がエージェント AI の可能性を最大限に引き出す方法をご確認いただけます。
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仕事の未来は始まっており、それを推進しているのは AI です。AI エージェントがより多くの業務を担うようになる中、ビジネスリーダーはこの新しい職場環境を管理する準備ができているのでしょうか?
AI エージェントとは何か、職場にどのような影響を及ぼすのかを、Workday の AI 担当バイス プレジデントを務める Kathy Pham が解説します。AI エージェントの概念や業務への将来的な影響を明らかにし、リーダーに役立つ実践的な指針を紹介します。
Workday のグローバル調査『人間の可能性を引き出す: AI によるスキル革命』によると、AI に精通している専門家の多くは、職場での AI の役割について楽観的な見方をしています。この調査では、AI が人間のスキルや生産性を向上させる可能性を強調しています。また、参加者は AI を人間の能力を補完するものと捉え、決して置き換えるものではないと考えています。これは重要なポイントです。