スキル データのビジネス ケースの構築
今日の組織にとってスキルは通貨に値するものであり、企業にはスキル データが関わるあらゆる実務に価値と客観性を付加する機会があります。人事部門のソート リーダーである Ben Eubanks 氏が、ゲスト ライターとして自身のインサイトを紹介します。
今日の組織にとってスキルは通貨に値するものであり、企業にはスキル データが関わるあらゆる実務に価値と客観性を付加する機会があります。人事部門のソート リーダーである Ben Eubanks 氏が、ゲスト ライターとして自身のインサイトを紹介します。
この記事は以前、SHRM のブログに掲載されたものです。
この 1 年間、私も多くの保護者の皆さんたちと同様に、子どもたちの学習教材に取り組む時間が増え、中学校の数学や社会科などを一通り学び直しました。理科の分野で印象に残っている概念の 1 つが原子の粒子です。これは、職場で人財に関する意思決定を行う方法と非常に明確なつながりがあるためです。
原子とは、元素を構成する最も小さな個々の要素です。原子には、その元素が何であり、その特性がどのようなものであるかを伝えるのに必要な特徴があり、一般的には 1 つの元素をさらに小さな要素に分割することはできません。
人財開発と社員のモビリティに関する最近の調査によると、社員 5 人のうち 1 人は、雇用主が自身のスキルについてどう思っているかわからないと述べています。
職場において、スキルはこれと同じ働きをします。
スキルはすべてのポジションの最小の構成要素であり、さまざまな組み合わせや習熟度によって、新たな役割やレベルが生まれます。また、スキルは以下のようなさまざまな人事関連業務の基盤となります。
採用: 組織として成長するために必要となる適切なスキルを選択しているか?
レベルアップ: 社員が競争力を維持するために必要となる適切なスキルを育成しているか?
モビリティ: キャリアアップや昇進のための共通言語としてスキルを利用しているか?
パフォーマンス: ワークフォースのスキルはパフォーマンス プロセスを重視しているか?
ダイバーシティとインクルージョン: 企業全体でインクルーシブな文化や慣習を推進するためにスキルを利用しているか?
スキルはエンゲージメントというより大きな要素の一部にもなり得ます。人財開発と社員のモビリティに関する最近の調査によると、社員 5 人のうち 1 人は、雇用主が自身のスキルについてどう思っているかわからないと述べています。会社やリーダーが自身の能力を把握すらしていないと考えている社員に、どうすればエンゲージメントを期待できるでしょうか。
これは、ビジネスにおいてスキルを活用する数多くの方法のごく一部です。簡単に言えば、今日の組織にとってスキルは通貨に値するものであり、企業にはスキル データが関わるあらゆる業務に価値と客観性を付加する機会があります。
スキル データは、適切に使用すれば強力で客観的な情報になります。しかし、私たちの調査によると、雇用主がスキルを測定するのに最も多く利用している方法はマネージャによる観察です。観察自体が悪いわけではなく、重要なのは、スキルや習熟度を評価する方法が観察だけではないという点です。
認知バイアスに関するデータによると、人間には日常的な意思決定に影響を与えるバイアスが約 200 種類もあります。このようなバイアスがスーパーで買う洗濯用洗剤の種類に影響するのであれば、職場で周りの人のスキルを識別し、測定し、評価する方法にも影響するはずです。どのバイアスを選んでも、それがスキルの識別に影響を与える可能性があることは容易にわかります。
当社の調査から、正確で実用的なスキル データを作成するには、2 つの方法が重要であることがわかりました。
ベクトル化。ベクトル化とは単に、複数の要素を使用して、真実により近づくことを意味します。パイロットが飛行機を操縦しているとき、航空管制官は時間の経過とともにさまざまな指示を出し、パイロットを徐々に目的地に近づけていきます。スキルの場合は、自己申告のスキル、評価、さらにはマネージャの観察や 360 度フィードバックを使用して、個人の実際のスキルをベクトル化できます。
テクノロジー。バイアスといえば、私たちは対象となることについて、知っていることを過大評価し、知らない情報量を過小評価します。実際に、最も親しい 3 人の友人について、彼らのスキルの上位 3 つを挙げるように言われたらできるかもしれません。一方、親しい友人 10 人のスキルの上位 7 つを聞かれたらどうでしょう?範囲が広くなるほど難しくなります。しかし幸いなことに、テクノロジーを使えばこのような制限はなく、大量のスキルを正確に把握できます。
ワークフォースの実際のスキル データを取得できれば、それらを重要なビジネスに活用できるようになります。この概念についてこれまでどれだけ考えてきたかにもよりますが、それがどのように機能するのか、どのような障壁が存在するのかについて疑問があるかもしれません。
観察自体が悪いわけではなく、重要なのは、スキルや習熟度を評価する方法が観察だけではないという点です。
(1) スキルの定義や共通言語についての合意を得るにはどうすればよいか?多くの組織はスキルとコンピテンシーのライブラリを社内で独自に作成していますが(最新のデータでは約 40%)、既存のスキル データソースやテクノロジー パートナーを利用したり、複数の方法を組み合わせたりして、一連のスキル セットについての合意を得ている組織もあります。全体的に見て、すべてが完璧になるまでただ待つのではなく、取り組み始めてから繰り返し修正することで成功している企業が多く見られます。
(2) 社員がスキルを自己申告できるようにすべきか?もちろんです。社員のプロファイルにスキルを掲載して共有することは、問題をクラウドソーシングで解決するようなものです。誰もが貢献する機会を得られ、人事部門や人財チームはこれを手作業で行う手間が省けます。たとえ自己申告が単なる出発点であったとしても、それをきっかけとしてスキル データの入力に役立てることができます。
(3) どうすれば十分なスキル データを得られるか?自己申告から始めて、スキル データの量を増やす方法はいくつかあります。たとえば、既存の強みだけでなく、目標とするスキルを入力してもらうこともできます。また、転勤を積極的に受け入れることやリーダーシップのロールに興味があることなど、希望を共有してもらうように促してもよいでしょう。重要なのは、そのデータが参照されたり人財に関する意思決定に利用されたりするのを見れば、人々はより多くの情報を共有したくなるということです。私は最近、あるエンタープライズ航空宇宙企業のエグゼクティブと話をしました。彼は、社員プロファイルの自分のスキルを更新しているのは、その情報が過去 18 か月間に昇進や異動に関する話し合いにつながったためだと話しています。
当社の最新の調査「Reskilling, Mobility, and Talent Development 2021」では、91% の従業員がスキルベースのキャリア開発ツールに興味があると回答しています。情報がどのように使用されるかを理解してもらうことで、より多くの社員に確実に参加してもらえるようになります。
(4) スキル データを持っている企業はそれをどのように活用しているのか?この要素についてはこのシリーズの別の記事で詳しく説明しますが、ある企業のリーダーは、「スキルは学習、社内の職務、メンター、ギグの機会、レベルアップなどをつなぐものであり、従業員が自らのキャリア形成に関与できるようにするためにスキルを利用している」と語っています。これらの情報により、ワークフォースだけでなく、企業にも利益をもたらす多くの人財に関する意思決定が可能になります。
このシリーズの次の記事では、このテーマをさらに掘り下げて、組織の中でスキル データを活用するための実際の事例をご紹介し、あらゆる企業が直面している長年の問題をスキル データによって解決する複雑さについて詳しく解説します。
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