継続的なプランニングが実現するビジネス アジリティとは
ビジネスの現状を把握することは、意思決定者が将来を見据えて的確なモデルを構築できることにつながります。
ビジネスの現状を把握することは、意思決定者が将来を見据えて的確なモデルを構築できることにつながります。
財務部門のリーダーには馴染みのあるプロセスです。毎年、予算編成の時期が近づくと、財務部門は過去 12 か月間の状況を把握して今後 12 か月間の予算を編成する任務を他部門から一任されます。
最初に行うのは、過去を振り返り、昨年度の目標に照らし合わせて進捗状況を評価することです。手作業で集計したデータや統合されたスプレッドシート (これらの作業では誤りが容易に発生します) を使用し、結果を確認してレポートを作成します。そして、目標、パフォーマンス、支出の分析を行い、ビジネスの財務状況を正確に反映させます。
次は、調査した情報に基づいて次年度の目標の策定です。将来的な目標を検討し、しっかりとした財務戦略に組み入れます。選択を行い、トレードオフを評価し、断念すべき事項を判断します。その上で新たな売上目標を設定し、部門ごとに分担するよう振り分けを行います。
しかし、年次計画の作成に数週間、あるいは数か月を費やしてしまうと、それが完成する頃には市場が大きく変化し、その仮定は現状にそぐわないものになってしまいます。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) がもたらしたディスラプションがその一例となるでしょう。また、最近だと経済においても、一見すると相反する事態が生じています。しかし、良い方法があります。それは継続的なプランニングです。
継続的なプランニングを採用すると、ファイナンシャル プランニング & アナリシス (FP&A) 組織は、ビジネスの状況をリアルタイムで把握できるようになります。ビジネスの現状を把握することは、意思決定者が将来を見据えて的確なモデルを構築できることにつながります。時代遅れの静的なプランニングとは異なり、継続的なプランニングでは、常に最新の計画と、容易に作成、繰り返しが可能な What-If シナリオによって得られるインサイトで、アジリティを確保できます。
継続的なプランニングの基盤となるのは、ローリング フォーキャストです。これを行うことで、マネジメントは最新の分析結果に基づいてリソースの計画や配置転換を行えます。
ローリング フォーキャストは年に 1 度の取り組みではなく、定期的な頻度で実施されるものです。数百もの項目がある予算と異なり、ローリング フォーキャストでは主要なビジネスの推進要因に焦点が絞られます。ローリング フォーキャストでは過去を重視しません。進路からの逸脱を早期に警告するシステムとして機能し、従来の予算編成の「壁」を超えた可視化を実現します。 予測を継続的に実績に更新することで、業績の推進要因をすばやく調整できるようになります。
ここでは、より有益なローリング フォーキャストを設計するための 3 つのステップをご紹介します。
適切なフォーキャスト範囲を選択するローリング フォーキャストは、会計年度ではなくビジネス サイクルと足並みをそろえます。シニア マネジメントが将来について検討し、先を見越した対応ができるよう支援するには、ベストプラクティスとして今四半期の実績から少なくとも 4 ~ 8 四半期後までを予測することをお勧めします。残念ながら、ローリング フォーキャストの対象とする期間に関して確固たるガイドラインは存在しません。対象期間は、業界やビジネスニーズによって異なり、運用、キャパシティ、支出に関する意思決定にかかる期間によっても変わってきます。
詳細ではなく推進要因をモデル化する年次予算の項目は確かに膨大ですが、ローリング フォーキャストはもっと大まかなレベルで実行します。そうしないと、詳細によって身動きが取れなくなり、フォーキャストは単に予算を再編成したものになってしまいます。ローリング フォーキャストは多数の詳細な項目ではなく、ビジネス推進要因に基づいて実施されます。また、全員が関与する「軽量な」プロセスになります。そのため、負担は小さくなります。ローリング フォーキャストの場合は完全な予算編成が必要になると考えているマネージャがいれば反発するかもしれませんが、いくつかの重要な可変要素に焦点を合わせればよいのだと理解すれば、さらに積極的にこの取り組みに関与するようになるでしょう。
複数の What-If シナリオを用意するローリング フォーキャストのメリットは、What-If シナリオをモデリングすることで、変化の速度に対応しつつ、企業計画と足並みをそろえられることです。複数の重要な仮定や推進要因を変更することで、価格の変更がヘッドカウントやキャッシュに与える影響など、計画全体に対する影響を確認できます。たとえば、What-If 分析を使用することで、マネージャは、製品構成、プロセス、注文パラメータ、顧客サービスを変更した場合、リソースの供給や消費がどう変化するかを探ることができます。
What-If 分析やシナリオ計画は、静的な年次予算やプランニング プロセスの一環として年に 1 回行えばよいわけではありません。変化する市場に対応するには、意思決定者は必要に応じて軌道修正を行うために必要な情報をリアルタイムで得られるよう、継続的なプランニングとモニタリングを積極的に行う必要があります。変動要因が常に変化するビジネス環境においては、シナリオ プランを作成し、将来的な成果 (最高のシナリオ、最悪のシナリオ、最も可能性の高いシナリオ) を評価する能力が強く求められます。
これは、少なくとも組織の財務状況を把握できるよう、実績を継続的にモニタリングするということ意味します。また、主要な分析指標 (パイプライン、顧客の生涯価値、離職など) を継続的に追跡してトレンドやパターンを特定し、必要に応じて軌道修正を提案するということでもあります。
シナリオ プランを実行するには、使いやすく柔軟性に優れた強力なレポート機能を使用し、上記のすべての情報を継続的に把握する必要があります。また、レポートの収集、照合、配布を自動化することで、形骸化した毎月のレポート作成プロセスを、組織の変革を継続的かつダイナミックに推進させる要因へと変換できます。
ビジネスを継続的に把握できるようにすれば、社員一人ひとりが計画を策定し、計画を導入および実行した場合の成果を確認できるようになります。
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