職場環境の変化: 個人を尊重する

社員一人ひとりの意見がますます力を持つようになっています。それこそが、人事部門やビジネスリーダーがダイバーシティを尊重し、デジタル化を進め、従業員を最優先する文化を育てていく必要がある理由です。Workday の最高人財活用責任者である Ashley Goldsmith がその詳細をご紹介します。

労働環境が変化し続けている中で、これから先のことを考えたときに、1 つの考えが浮かんできました。それは、仕事と私生活が今後さらに密接に絡み合ってくることと現在のビジネス情勢を鑑みると、社員一人ひとりの意見がますます力を持っていくだろうということです。

企業にとって最も重要なリソースは人財ですが、現在は優秀な人財をめぐる競争が激化しているため、社員の満足度を高めて各人が能力を最大限に発揮できるような企業文化を作っていくことも、企業にとって重要な責務になっています。経営幹部、特に最高人事責任者 (CHRO) は、こうした企業文化の構築がなぜそれほど重要なのかを認識しつつあります。そのような文化はすべての社員にとって有益なだけではなく、企業のビジネス全体にとっても有益であるためです。

社員にとって魅力的なエクスペリエンスを提供することができれば、会社に対する社員の信頼も高まり、それにより社員のパフォーマンスが向上して離職率も低下します。その結果、お客様の満足度が高まり、会社の収益拡大にもつながります。具体的には、ダイバーシティを尊重し、デジタル化を進め、社員を最優先する企業文化を育てることにより、絶えず変化する社員のニーズに対応することができます。

ダイバーシティの意味は「違い」

Workday では、設立当初からダイバーシティを重視してきましたが、世間では社会的な問題が常に注目されるため、私たちにとって「ダイバーシティ」という言葉がどのような意味をもつのか検討を重ね、その解釈を広げてきました。私たちは、ダイバーシティの意味は「違い」であると考えています。

Workday でチーフ ダイバーシティ オフィサーを務めている Carin Taylor は、生い立ち、人種、性別、性的指向、ものごとの考え方、身体能力、国籍、居住地、役職など、私たち一人ひとりが持っている個性や属性が集まったものがダイバーシティであると説明しています。私たちは、より大きな視点からダイバーシティをとらえ、ダイバーシティに関する問題を理解するように努力しています。たとえば、私たちの本社があるサンフランシスコ・ベイエリアで直面しているダイバーシティの問題は、他の地域における問題と同じではないかもしれません。

Workday の目標の実現に向けた行動として、VIBE という取り組みにより、「ビロンギング & ダイバーシティ」プログラムを次のレベルへと進めました。VIBE とは、"Valuing Inclusion, Belonging, Equity" (インクルージョン、ビロンギング、公平性を重視する)の頭字語です。今年は、6 月の 1 週間を VIBE 活動に割り当てます。この 5 日間で、ビロンギングとインクルージョンを重視する企業文化を構築するという目標意識を全社的に共有します。

Workday では、全社的に毎週実施されている社員の意識調査のデータを使用して社員の考えを把握しようと努めていますが、今年は特にダイバーシティの傾向を調査することに力を入れています。この調査データを分析することで、社員の性別、人種、年齢、居住地、勤続年数などが異なっていても職場でエクスペリエンスが変わらないかどうかを調べています。この分析を行うと、新しい視点からダイバーシティを考えることができるようになります。期待通りの成果を挙げているのはどこか、改善の余地があるのはどこかなど、今後も調べていくことになります。

デジタル化は避けられない

仕事の本質的な変化、新しいテクノロジーの台頭、新世代のニーズの変化により、人事のデジタル化が進んでいます。企業として最新の人財管理手法を導入するには、こうしたデジタル化に積極的に対応していく必要があります。このような変化があると多くの場合不確実性は高まるのですが、それゆえ人事部門はこれまでにない重要な役割を担うようになっています。Workday は、業務のデジタル化に取り組む企業をサポートしています。たとえば、これまでは人の手で行っていた多くの作業を効率良くするために自動化できる部分があるかを判断したり、個別の戦略にどのようにアプローチするかの検討など、より高度な業務に時間を割り当てたりできるように支援しています。

デジタル化のもう 1 つの要素は、一般消費者向けアプリケーションのようなユーザー エクスペリエンスをエンタープライズ ソフトウェアにも取り入れることです。これは、Workday の DNA の中核を成す理念です。多くの人が、私生活では Alexa、Google、Siri など、簡単で楽しい革新的なテクノロジーを利用しています。私は、職場でも同じように簡単なデジタル ツールを活用できることを期待しています。同じように考えている従業員も多いでしょう。Workday では、この一環としてモバイル化を最重要と考え、私生活でスマートフォンやタブレットで得られるデジタル エクスペリエンスと同じようなエクスペリエンスを、職場でも提供したいと考えています。

この調査データを分析することで、社員の性別、人種、年齢、居住地、勤続年数などが異なっていても職場でエクスペリエンスが変わらないかどうかを調べています。

今年は携帯電話を使用して Workday 福利厚生に自由に登録できるようにしました。あるデバイスで登録が完了しなかった場合は、別のデバイスを使用して手続きを終わらせることができます。ラーニングについても、一般的な消費者向けアプリケーションと同様のアプローチを採用しています。対話型のメディアや社員自身が作成するコンテンツを一箇所に集めてオンデマンドで利用できるようにしています。また、おすすめのビデオを表示したり、プレイリストを作成したり、リンクをブックマークしたりする機能など、私生活で使用しているような機能が提供されています。

社員を最優先する

Accenture 社が実施した調査によると、カスタマー エクスペリエンスの向上と、エンプロイー エクスペリエンスの向上には明確な関連性があります。最適なカスタマー エクスペリエンスが提供されると、企業に対する忠誠心が生まれ、結果として販売の増加につながります。魅力的なエンプロイー エクスペリエンスを提供することによって優秀な人財が集まり、社員の意欲と生産性が向上して離職率が低下します。その結果、企業の業績にも明らかな成果が表れます。簡単に言えば、社員の満足度を上げれば顧客の満足度も上がるということです。そのため Workday では、社員の満足度を高めることを最優先にしています。

去年の秋に投稿したブログ記事では、アジャイル キャリアの形成やウェルビーイングのサポートなど、有意義なエンプロイー エクスペリエンスを実現するための各種のプログラムとアクティビティを紹介しました。第一線で実務に従事している Workday の社員には、優秀なリーダーが必要です。そのため、年間を通してさまざまなトレーニング セッションを実施することにより、優秀なリーダーを育成するための投資を行っています。個人的には、2 日間の「ピープル リーダーシップ サミット」というセッションがお勧めです。このセッションでは、新しく就任したマネージャが世界中から米国カリフォルニア州のサンフランシスコに集まり、シニア リーダーシップ チームから、Workday の企業文化と、Workday でリーダーを務めることの意味についてレクチャーを受けます。トレーニングを受けていないカスタマー サービス チームが、お客様の課題を解決できるはずがありません。そのため、年間を通じてさまざまなトレーニングを受講する機会を提供することは、社員に対する必要な投資であると考えています。Workday の社員には、適切なトレーニングによってスキルを伸ばす権利があるのです。

幸福度を評価する

社員の満足度向上には、もう 1 つのメリットがあります。それは、満足度が向上すると幸福度が高まり、幸福度は生産性を左右するということです。チームの幸福度と充足感が高くなると生産性が向上するという調査結果が出ています。お客様からのフィードバックが、新機能の開発や機能改善に役立つように、社員からのフィードバックも、社員のモチベーションを高める職場環境の構築や人財プログラムの開発を検討するうえで非常に有益です。

社員とお客様に対して質の高いサービスを提供することは、Workday のコア バリューになっています。Workday は、フォーチュン誌の「100 Best Companies to Work For (働きがいのある企業上位 100 社)」で第 4 位、「2019 50 Best Workplaces in Technology (2019 年のテクノロジー業界で働きたい職場上位 50)」で第 2 位にそれぞれランクされました。Workday の現在の顧客満足度は 98 パーセントという非常に高い数字になっています。社員のエクスペリエンスとお客様のエクスペリエンスには、強い相関関係があります。その両方に対して同じ理念を当てはめることで、より良い成果が得られます。

最も重要なことは、私たちが有意義なエンプロイー エクスペリエンスを提供しようと努めているのは、単に収益の増大を目的としているのではなく、それが企業にとって正しい行動であるというのが理由であることです。Workday では主にこの考え方に基づいて、さまざまな判断を行っています。これからも、Workday は倫理的にも問題のない方法で社員にとって働きやすく能力を発揮しやすい職場環境を築き、社員を最優先に考えていきます。この取り組みについては今後もお伝えしていく予定です。

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