社員のストレス要因上位 4 件と、それを解消するために人事部門ができること
仕事量の多さと人財不足は、燃え尽き症候群や離職率の高さにつながる職場のストレス要因の上位 2 件です。このブログでは、マネージャがチーム メンバーをサポートし、社員のウェルビーイングを向上させるための方法をご紹介します。
仕事量の多さと人財不足は、燃え尽き症候群や離職率の高さにつながる職場のストレス要因の上位 2 件です。このブログでは、マネージャがチーム メンバーをサポートし、社員のウェルビーイングを向上させるための方法をご紹介します。
このブログでは以下についてご紹介します。
仕事を重視するのは、特に高い業績を上げている社員にとっては当然のことです。しかし、仕事が重要だという意識が高くなるほどストレス レベルも上がり、業績に悪影響が出る可能性があります。実際に、Lyra 社の『2025 State of Workforce Mental Health』レポートによると、73% の社員が、仕事に関する精神的な苦悩が仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすと回答しています。
これは、社員にとって非常に大きなジレンマであり、人事部門にとっては避けられない課題です。社員のストレス レベルの管理を組織がサポートすることにより、社員は潜在能力を最大限に発揮できるようになります。
適切なインサイトがあれば、人事部門は改善事項に優先順位を設定し、継続的なサポートを提供するプログラムを開発することができます。これにより、社員、マネージャ、企業にとってポジティブな結果がもたらされます。ウェルネスの取り組みを始める場合や刷新する場合に人事部門のリーダーが考慮すべき 4 つの点について見ていきましょう。
American Journal of Preventive Medicine の調査によると、米国企業における燃え尽き症候群の従業員 1 人当たりの平均コストが 4,257ドルになる可能性があるということです。このコストは、マネージャの場合は 10,824 ドル、エグゼクティブの場合は 20,683 ドルにまで跳ね上がります。
ストレスがまったくない状態で業務を完璧にこなすということはあり得ません。しかし、職場での一般的なストレス要因に対処するための適切なツールを社員に提供するのは、社員のパフォーマンスを最適化する上で非常に重要なことです。
人事部門がウェルネス プログラムを作成する場合、どの分野がワークフォースのエンプロイー エクスペリエンスに最も影響するかを理解することが重要です。目の前の最大のストレス要因に注目することにより、プログラムの利用率を高め、最終的にプログラムのメリットを引き出すことができます。
回答者の 44% が、過度な仕事量を一番のストレス要因として挙げています。ビジネス環境における変化のスピードが速いことを考えると、これは対処が難しい問題です。
グローバルな社会経済環境が変化する中で、多くの企業がコスト削減を進めているため、リソースの不足、ヘッドカウントの減少、業績目標の引き上げなどが起きています。しかし、こうした状況は、社員の日常生活にも連鎖的に影響し、最悪の場合は社員の健康を害することもあります。
Workday が最近作成した『グローバル ワークフォース レポート』によると、公正な報酬、成長の機会、明確に定義された目標など、社員の基本的なニーズを満たすことが、意欲の高いワークフォースを構築するための鍵となることがわかっています。ただしパフォーマンス レベルを高めたいと考えているビジネスリーダーは、仕事をより有意義なものにする方法を検討する必要があります。
有意義な仕事をしていると感じている従業員は、そうではない従業員と比べて、仕事量が多すぎる傾向にあっても、達成感を覚える割合が 37% 高くなっています。このことから、社員の意欲と高い生産性を維持するためには、有意義な仕事と達成感が非常に重要であることがわかります。つまりこのインサイトは、企業が生産性を高めるために目指すべき方向性を示しているのです。
社員にとっては、仕事だけでなくプライベートの時間も重要です。社員は、さまざまな問題やストレスを抱えていますが、これらに対処するには、多様なアプローチによるサポートが必要になります。ウェルネス パッケージに多様なコーチングを取り入れることにより、ストレスの原因に関係なく、各社員が困難な状況に対処できるようになります。
すべての問題に対処できる万能のアプローチはありません。コーチングは、各社員の現状に合わせて、さまざまなカテゴリにわたって実施する必要があります。
財務的なこと、個人的なこと、キャリアに関することのいずれであっても、社員の潜在能力を最大限に引き出すためのサポートを行うことは、人事部門の責任です。
回答者の 44% が、過度な仕事量を一番のストレス要因として挙げています
回答者の 41% が、人財の不足を職場の最大のストレス要因として挙げています。組織としての戦略の転換に伴ってチームをスリム化すると、多くの場合、ヘッドカウントの空きが発生します。この場合に問題になるのが、その空いた役割には以前と同様に業務が割り当てられているため、チームの誰かがその役割を担当しなければならないということです。
その結果、「スイング ドア」効果が発生して定着率が下がる可能性があります。多くの社員が、仕事量の増加に見合った報酬が得られないという理由で退社することになります。
これは、人事部門が定期的に直面する悪循環です。ますます要求が厳しくなる現在のビジネス環境では、これが原因で組織のパフォーマンスが大きく低下する可能性もあります。こうした人財不足にその都度対処することも有効ですが、このような変化に備えて事前に計画しておくことが最も理想的な方法です。
緊急事態は現場の混乱を招きますが、人財不足はかなり緊急性が高い事態です。チームが人財不足の影響を受けている場合、共感というのは優先順位が最も低いことのように感じるかもしれません。しかし、ビジネスにとっては大きな意味があります。
チームが感じる共感をマネージャの有効性指標に関連付けることにより、ワークフォースにおける優れたエンプロイー エクスペリエンスを測定可能な方法で実現することができます。これが役立つのは、人財不足が発生した場合だけではありません。人事部門は、問題に直面した場合に安全な方法で効果的に対処できる環境を構築するための戦略として、常に共感を活用する必要があります。
回答者の 41% が、職場における一番のストレス要因として人財不足を挙げています
回答者の 33% が、レコグニションの欠如を職場における一番のストレス要因として挙げています。仕事が適切に進んでいることを評価するのは、もはや単に望ましいことではなくなっています。それはビジネスにおける必須条件になっています。
レコグニションという考え方は目新しいものではありませんが、業務における AI の活用が普及するにつれて、レコグニションはエンプロイー エクスペリエンスにとってますます重要なものになっていくことが予想されます。現在のワークフォースは、従来の仕事のやり方と AI による業務変革との岐路に立っています。これを認識して社員によるイノベーションを高く評価することにより、AI 活用の促進につながります。
もちろんこれは、AI に関係ない業務についても同じです。
レコグニションは、業務における人間的な経験の重要な部分です。レコグニションを通じて、前向きで意欲的な環境を構築することにより、社員同士が交流して意欲を高めながら、従来の枠を超えることができるようになります。実際に、Great Place To Work の調査では、社員の 37% が、レコグニションが業務に対する意欲を高める最も重要な要因であると回答しています。
仕事がうまくいったときには、誰でもそれを誇りに思う権利があります。しかし、レコグニションを行う役割をマネージャだけに限定する必要はありません。組織内のすべてのメンバーにレコグニションを行う役割を与える必要があります。
レコグニション プログラムを活用すれば、組織内に前向きな雰囲気が生まれ、社員の意欲を効果的に高めることができます。非常に小さな成果が大きな影響力につながることがあります。レコグニションを活用すれば、成果の大小にかかわらず、社員は自分が有意義な仕事をしていることを簡単に自覚できます。
回答者の 33% が、レコグニションの欠如を職場における一番のストレス要因として挙げています
回答者の 21% が、マネージャによるサポートの欠如を職場における一番のストレス要因として挙げています。これは、マネージャを一方的に非難するものではありません。実際の職場では、さまざまな事情が重なって、こうした問題が発生します。自分自身が手一杯だったり、燃え尽き症候群になっていたり、見えない部分でチームを支えていたりなど、マネージャのサポート不足にはさまざまな原因が考えられます。
これは全員が余裕がないと感じる状況に簡単につながる可能性があり、非常に重大な問題です。マネージャによるサポートは、業務におけるエンプロイー エクスペリエンスに大きく影響します。Frontline 社の調査では、社員の業務認識の 50 ~ 70% は、直属のマネージャの影響を受けているという結果になっています。
人事部門が適切なツールを人財マネージャに提供することにより、マネージャは迅速に行動できるようになります。問題を未然に防ぐこともできます。人財マネージャはバランスを取ることに忙しく、常に新しい問題を探しているわけではありません。リアルタイムのインサイトを活用すれば、マネージャのサポート不足による緊張状態を緩和し、適切なサポートを適切なタイミングでチーム全員に提供して、効果的なパフォーマンスを発揮できるようになります。
役員も社員と同様に、ウェルネス プログラムのメリットを活用する必要があります。Harvard Business Review が実施した調査によると、ウェルネス プログラムに投資した企業は、1 ドルの支出に対して平均 2.73 ドルの ROI を得たという結果になっています。この数字は、ウェルネス プログラムの有効性を明確に示しています。
ウェルネスへの取り組みにより、ウェルビーイングの文化が醸成されるだけでなく、企業の業績、生産性、採算性にプラスの影響が出ます。包括的な福利厚生パッケージには、以下のような効果があることがわかっています。
包括的な福利厚生パッケージには、社員の定着率を高める効果もあります。包括的なメンタル ヘルス福利厚生パッケージを導入している企業の 78% の人事部門リーダーと福利厚生部門リーダーが、社員の定着率が向上したと回答しています。
人財マネージャと人事部門には、明確な共通点があります。それは、業務が複雑だということです。その複雑さにより、社員のメンタル ヘルスなどの重要な優先事項を見落としやすくなります。しかし、良好なメンタル ヘルスはもはや望ましいことではなくなっています。高い業績を上げている人財にとっては、良好なメンタル ヘルスが必須条件になっています。
ウェルネル パッケージに対するアプローチを検討する場合は、以下の要点を考慮してください。
75% の業界で、高い潜在能力を持つ人財の自己都合退職が増加しています。ビジネスリーダーにとって、これは何を意味しているのでしょうか。この Workday レポートで、詳細をご確認ください。
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