スキルベース採用で未来の人財を発掘する

このブログでは、スキルベースの採用を通じて、さまざまなスキルを持つ人財にアクセスし、よりアジャイルで効果的なワークフォースを構築する方法についてご説明します。スキルベースの採用に関する戦略とメリットをご確認ください。86 %のリーダーが「スキルベースの採用により、変化への準備ができている」と回答しています。

微笑みながら遠くを見ている女性

私たちは現在、ワークフォースの構築における転換期にいます。学歴、職歴、経験年数を過度に重視するこれまでの採用慣習は時代遅れであるだけでなく、ビジネスにおける障害にもなっています。当社が実施した最新のスキル調査では、ビジネスリーダーの 86 %が、スキル プロファイルに基づいて人財を採用することに抵抗がないと回答しています。

従来の慣習とこの新しい考え方とのギャップを埋めるために、多くの企業が最新の AI 技術を活用してスキル中心の業務を構成し、最新のスキルベース戦略の策定に取り組んでいます。実際に、当社が調査した世界中の組織の過半数 (55%) が、スキルベース戦略への移行をすでに開始しています。

この傾向は、単に履歴書の学歴欄や職歴欄を確認するという従来の方法から、個人の能力を正当に評価するという方向へと明確に変化していることを示しています。

多くの企業がなぜスキルベースの採用アプローチに移行しているのか、それが能力開発やスキル育成においてどのような意味を持つのかについて、続きをお読みください。

未来の人財は目に見えないところに隠れている

従来の採用活動は、候補者の学歴やこれまでに経験した役職など、形式的な資格に大きく依存していました。こうした資格は、候補者を選別するための便利な方法に思えますが、特に 4 年制の学士号を取得していない候補者にとっては、求職活動における不要な障壁になることがよくあります。

多くの場合、学位はスキルを表すものとして扱われ、従来の採用活動では有利に働きます。学位だけで判断すれば時間の節約にはなりますが、偏った考え方につながることが多く、学位以外の方法で貴重なスキルを習得した人財を見落とすことになります。

たとえば、家族を助けるために学位を取得できなかった人について考えてみましょう。こうした人は、成長への意欲、逆境に負けない強い意思、複数の優先事項を両立させる能力を持っています。これらはすべて、組織が重視する必須のスキルです。

こうした人たちのことを STARs ともいいます。STARs は Skilled Through Alternative Routes の略語で、学士号を取得せずにスキルを習得した人のことを指します。STARs の定義に該当するのは、現在就業中の 25 歳以上の人のうち、学士号を持っていない高卒の人です。 

能力よりも学歴や過去の役職を重視する従来の硬直した採用方法の場合、現在のスキル不足がさらに悪化し、以下のような貴重なタレント プールを常に見過ごすことになります。

  • 学士号を持っていない人: 高いスキルを持っている人財の多くは、職業訓練、技能実習、職務研修、独学、コミュニティ プログラムなどの方法で専門知識を習得しています。これは、さまざまな方法で価値の高いスキルや専門知識を習得できることを示しています。

  • ブランク期間を経て仕事に復帰した人: こうした人たちの例としては、専業主婦/主夫、退役軍人、異業種への転職者、介護者、事故や長期の病気から回復した人、高齢者などが挙げられます。履歴書に空白期間があるからといって候補者をマイナス評価するのではなく、候補者の経験を現在のビジネスニーズにマッチングさせることが重要です。

  • 障害を持っている人: スキルベースの採用活動では、候補者ができないことに注目するのではなく、できることに目を向ける必要があります。特定の職務で必要になる具体的なスキルや能力に注目することにより、候補者の限界について先入観にとらわれるのではなく、業務遂行能力に基づいて候補者を評価できるようになります。

スキルベースの採用方法を導入することで、環境の変化に対応し、生涯学習と能力開発に取り組むことの重要性を理解している、高いスキルを持つ候補者に出会う機会を増やすことができます。

スキルベースの採用と従来の採用との違い

スキルベースの採用は、学歴や職歴ではなく個人の能力を重視するという点において、従来の採用とは根本的に異なっています。実際の流れは以下のようになります。

スキル重視の職務経歴書: スキルベースの採用は、対象の職務で必要になる具体的なスキルを詳しく定義することから始まります。これには、技術的なスキルとソフト スキルの両方が含まれます。

的を絞った評価手法: 的を絞ったさまざまな手法で、これらのスキルを評価することができます。

  • スキル評価: この手法の例としては、特定のスキルにおける候補者の熟練度を測定するための標準的なテスト、シミュレーション、実践的な演習などが挙げられます。

  • 業務サンプルとポートフォリオ: 候補者は、ライティング サンプル、コード リポジトリ、デザイン ポートフォリオなど、自分の能力を証明するための実例を提出することができます。

  • シナリオベースの面接: この面接では、過去の実務経験について尋ねるだけでなく、実際の業務で候補者が自分のスキルをどのように活用するかに焦点を当てます。

  • 行動面接: この面接では、候補者が過去にどのような行動をしたのかを確認することにより、候補者のソフト スキルを評価します。

このように直接的な評価を重視することにより、候補者は自分の経歴やスキルの習得方法に関係なく、自分の能力を効果的にアピールできるようになります。当社が実施した調査では、ビジネスリーダーが最も重要だと考えるスキルには、業界の専門知識 (93%)、特定の職務に求められるスキル (91%)、対人関係のスキル (86%) などがあり、ソフト スキルとハード スキルの両方が重要であることがわかります。

スキルベースの採用は、学歴や職歴ではなく個人の能力を重視するという点において、従来の採用とは根本的に異なっています

スキルベースの採用のメリット

Opportunity@Work の調査によると、現在の米国には、高賃金労働に必要なスキルを持っている STARs が 7,000 万人以上存在します。学位要件を重視すると、こうした人たちの経済的流動性を制限するだけでなく、スキル ギャップに対処しようとする企業の潜在成長力の妨げにもなります。その結果、全体的な経済生産性が低下することになります。

この調査によると、スキルベースの採用は学歴重視の採用と比較して 5 倍、職歴重視の採用と比較して 2 倍以上、職務上のパフォーマンスを正確に予測できるという結果になっています。

弊社におけるスキルベース採用の実績も、この調査結果の妥当性を補強するものになっています。Workday の営業部門でスキルベース採用を導入した結果、採用までの時間が 32% 短縮し、内定承諾率が 11% 向上しました。 

スキルベースの採用では、学歴重視の採用に比べて、職務パフォーマンスの予測精度が 5 倍向上します

さまざまな方法による機会の提供

企業は、学歴や職歴に依存しない方法で人財を採用することにより、これまで見過ごされてきた人財に多くの機会を提供するという重要な役割を果たせるようになります。以下のような戦略的取り組みは、候補者にとってメリットになるだけでなく、組織や社会全体の強化にもつながります。

技能実習プログラム: これは、特にキャリアをスタートさせたばかりの人を対象として、実務を体系的に習得するためのプログラムです。このプログラムは、実践的な経験と座学による授業を組み合わせたものです。学習しながら収入を得る機会が提供され、貴重なスキルを習得して業界特有の資格を取得することができます。教育機関や業界団体と連携することにより、企業は自社のニーズに対応する技能実習プログラムを開発し、高いスキルを持つ従業員のパイプラインを構築できます。

復職支援プログラム: 一度キャリアを中断した人が復職する場合、問題に直面することがよくあります。復職支援プログラムの目的は、このような人たちに対して、トレーニング、メンターシップ、交流の機会を提供することにより、復職を成功させることです。このプログラムにより、個人が生活体験を通じて習得したスキルが、企業にとってどのように役立つかを認識できます。

スキルベースのアプローチを優先し、技能実習プログラムや復職プログラムなどの代替手段を導入することにより、未来に向けてスキルを重視する環境が整っていきます。

スキルベースの採用は始まりに過ぎない

スキルベースの採用は単なるトレンドではなく、人財の獲得と流動性に対する企業や社会全体の考え方を根本的に変えるものです。学歴や職歴に対する過度な依存をなくすことにより、継続的な学習と能力開発を通じて不確実性に対処できる高い潜在能力を持つ人財を採用できるようになります。 

これにより、人財不足に対する懸念の高まりに対処できるだけでなく、従来とは異なる経歴を持つ人にとっても、公平な競争の場が提供されることになります。最終的に、この変化は企業と社会の両方にメリットをもたらし、未来の機会を受け入れる準備が整った動的で適応力のあるワークフォースが実現します。

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