デジタル トランスフォーメーションに現場の社員が必要な理由

現場の社員が、企業のブランドを体現し、お客様をサポートする最初の人になることがよくあります。このブログでは、現場の社員のニーズを優先し、エンゲージメントを維持することが従来にも増して重要になっている理由についてご説明します。

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ホテルに宿泊する際、フロントやレストランのスタッフとのやりとりが、素晴らしい旅行になるか、それとも二度と利用したくない気持ちにさせるかの決め手となることがあります。また、スポーツ イベントでは、チケットを確認して座席を探すのを手伝ってくれる案内係から伝わってくる雰囲気が、そのイベントの体験を左右することがあります。

このような業務を担当する人は通常「現場の社員」と呼ばれています。小売業の従業員、客室乗務員、銀行の窓口係、現場の技術者、レストランの従業員、看護師など、ほとんどの業種においてお客様と接する現場で活躍することからこのように呼ばれるようになりました。現場の社員は、企業の顔、そして中心的な存在として、窓口や電話での対応、製品の製造、日常業務を担っています。さらに、企業のブランドを体現し、お客様を惹きつける最初の存在でもあります。現場の社員とのやりとりが、お客様が持つ企業のイメージに大きな影響を与えます。

現場の社員を理解する

企業がエンプロイー エクスペリエンスやキャリアアップの機会などを重視している場合、現場の社員は見過ごされがちになります。しかし、生産性の向上、離職率の低減、エンゲージメントの促進を目指す企業にとっては、現場の社員のニーズも同様に重要なものです。これはすべての企業にいえることでしょう。

Gartner 社は、現場の社員そして使用されているテクノロジーについて調査し、その内容をまとめました。『Hype Cycle for Frontline Worker Technologies』 (2019 年 7 月) によると、現場の社員は、サービス ワーカーとタスク ワーカーという 2 種類の異なるグループに分かれるそうです。

  • 「サービス ワーカーは主に、お客様との直接的なやりとりに時間を費やします。一般的に、お客様には企業の "顔" として見られます」
  • 「タスク ワーカーは主に、実務的な業務に時間を費やします。一般的に、企業の "要" として見られます」

このようなワークフォースには、正社員、時間給労働者、派遣社員、契約社員が含まれます。現場の社員の多くは時間給労働者であり、ワークフォースの中でも大部分を占めています。米国では 時間給労働者は推定で 7,800 万人、EU では労働調査により 4,500 万人いるといわれています。これらの規模からも、時間給労働者は、その従事するさまざまな業種において重要な人財であることが伺えます。

テクノロジーが現場の社員に与える影響

しかし、人事やキャリア開発に関するツールをはじめとしたテクノロジー投資のほとんどは正社員を対象としているため、現場の社員は十分なサポートを受けているとは感じられずに意欲を失ってしまいます。Gartner 社の『Predicts 2019: Digital Workplace Applications』 (2018 年 12 月) では、このように述べられています。「オフィスで働いている同僚が使用できるコミュニケーション ツールやコラボレーション ツールへのアクセスが制限されると、組織内のサイロを超えてコラボレーションする能力や意欲が抑制され、現場の社員がデジタルを使いこなす能力が大幅に低減します」

企業がエンプロイー エクスペリエンスやキャリアアップの機会などを重視している場合、現場の社員は見過ごされがちになります。

先駆的な企業は、この状況を変えなければならないことを理解しています。ハーバード ビジネス レビューの調査において、「将来的に成功するためには、企業は現場の社員をテクノロジーと情報で結び付け、支援する必要がある」という意見に強く同意した回答者は 78% に上ります。また、 Forbes Insight/Microsoft 調査の結果、非常に高いパーセンテージのデジタル活用とエンパワーメント (75% 以上の現場の社員が関与) を実現している企業の 31% が、過去 1 年間で 20% の成長を遂げていることが判明しました。これはつまり、現場の社員へのテクノロジー投資が実質的な生産性と投資回収をもたらすことを意味しています。

その一方で、現場の社員を優先しない場合、さまざまな影響が生じることも明らかになっています。Pearson 社の調査では、年収 3 万ドル以下の現場の社員を 1 万人抱える架空の企業を想定して数字を算出しました。この計算では、企業が毎年 85% の現場の社員を失うと判断し、代わりの社員の募集、再雇用、再教育にかかる平均コストは社員 1 人あたり 4,800 ドルになると評価しています。この調査によって、自己都合の離職による求人を行うために、企業は毎年 4,080 万ドルを費やすことがわかりました。ホスピタリティで例えるならば、スポーツ関連の団体やサマー リゾートでは、毎年季節ごとにスタッフを入れ替えるため、かなりの出費になるということです。

社員の労働意欲がもたらすビジネス上のメリット

企業は、仕事で成果を上げるために必要なツールやプロセスを提供して、現場の社員に投資する必要があります。それを実践しない企業は、とりわけ厳しい労働市場において、人財を獲得し離職を防ぐことが難しくなるでしょう。プロセスが十分に確立されていないために多くの期間従業員が競合他社に流れてしまったり、契約社員が企業との関係を希薄に感じて積極的な貢献ができなくなったりするかも知れません。逆に、すべての従業員のニーズを満たすよう対応した企業は、成果を上げることができるといえます。

Belk 社で人事情報システムのシニア マネージャを務める Jessica Reynolds 氏はこのように述べています。「お客様が最初に接するのは、店舗の販売員です。そのため、業績を上げ、意欲的に活動し続けるために必要なものを販売員に提供し、彼らが優れたカスタマー エクスペリエンスを実現することに注力できるようにしたいと考えています」

Workday の最高人財活用責任者である Ashley Goldsmith は、この意見に賛同しています。「社員にとって魅力的なエクスペリエンスを提供することができれば、会社に対する社員の信頼も高まり、それにより社員のパフォーマンスが向上して離職率も低下します。その結果、お客様の満足度が高まり、会社の収益拡大にもつながります」

現場の社員がどこで、どのように仕事をしているかを理解することは、従来にも増して重要になってきています。現場の社員がエンゲージメントを保ち、満足し、企業に貢献したいと思ってもらえるようにすることが大切です。社員こそが、企業の最大かつ最も持続可能な競争優位性なのです。

出典:
『Hype Cycle for Frontline Worker Technologies, 2018』、ページ 3
『Predicts 2019: Digital Workplace Applications』、ページ 4

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