継続的なプランニングが財務を進化させる

継続的なプランニングの文化がアジャイルな未来を切り開く助けとなることに、多くの企業が気付き始めています。

絶え間なく変化を続ける時代において、ビジネス アジリティを獲得するべく取り組んだ結果、プランニングに関する課題を直接体験した企業も少なくありません。 

課題とは、プランニングやレポートのためにいくつものスプレッドシートがあちこちに存在することや業務データを集約するために複雑なプロセスが必要であることです。フォーキャストのために時代遅れで不確実なワークフローを採用していることもあれば、過去のビジネス指標やトレンドについてのインサイトをほとんど持たず、そうした情報が現在や未来のパフォーマンスを評価するうえでいかに役立つかを理解していないこともあります。 

前時代的なプランニングのために生じるこうした現象は、どの企業にもよく見られます。しかし、このような障壁は恒久的なものではありません。ローリング フォーキャストをはじめとする、最新のよりアジャイルなプロセスなら、エグゼクティブが情報に基づいた精度の高い意思決定を行うために必要なリアルタイムのインサイトを提供できます。  

ローリング フォーキャストは、シナリオ プランニングと共に継続的なプランニングのコアとなる要素です。これこそが、以前のようにビジネスの代謝速度が遅くても成功することが可能だった、従来型のプランニング プロセスによる問題を解決する方法なのです。手作業かつ場当たり的で、財務部門をほぼ機能的な役割としてのみ扱うようなスピードのないプロセスでは、もはや対処しきれません。 

変化のペースを緩める方法がないのであれば、ビジネスのスピードとアジリティを高めて進化を遂げるしかありません。

代謝の高い組織は、環境の変化にも迅速に対応できるため、リーダー企業としての地位を確立する傾向にあります。アジリティやスピードを誇るリーダー企業は、従来型のプランニング方法に依存し続けている企業に比べ10 倍の速さに市場の変化に対応することができます。

プランニングの継続性を実現

企業がアジリティを改善する効果的な方法の 1 つは、継続的なプランニングを実行することです。

継続的なプランニングを実践するなかで、ステークホルダーはこれまでの優先事項の目標や指標、マイルストーンを監視するようになります。それと同時に、ステークホルダーは新しい戦略的な優先事項も策定しようとします。こうした取り組みにより、自己評価やイノベーション、適応性の文化を実現できるのです。 

継続的なプランニングは、すべてをひとつにまとめます。財務部門のリーダーは、マクロのトレンドから個別のイベント、内部の反応まで、動的な外部要因を結びつけ、結果としてビジネス全体を改善できます。このことは、財務部門が従来の機能的な役割から新たに戦略的な役割へと進化する助けとなります。 

FSN 社が 2021 年に財務リーダーを対象に行った調査では、継続的なプランニングを採用した企業は、直接的かつ有益な影響を受けていることが分かっています。 

全体的には、企業は 4 年前よりも迅速にフォーキャストを行っています。事実、回答者の 3 分の 2 が収益の再予測を 1 週間以内に完了できると答えています。ところが、残りの 3 分の 1 はフォーキャストを迅速に完了させるのに苦戦し、6% は再予測に 1 か月以上かかっています。

迅速なプランニングと継続的なプランニングは同義ではない

改善はどれも喜ばしいものですが、必ずしも継続的なプランニングにつながるわけではありません。たとえば、回答者の 64% は些細な修正 (予算やフォーキャストにおける新たなコストラインへの変更など) であれば半日たらずで終わると答えています。予算の保持者のデータ入力テンプレートに変更を入力することで、全レポートの変更を確実に反映させることができると回答した割合もこれとほぼ同じでした。 

しかし、新たな法人やコスト センター、製品を階層に反映させるために構造的な変更が必要な場合、すべてのレポートに変更を反映できると答えた割合は 34% にまで落ち込みました。このような変更を半日で完了できるのはわずか 3 分の 1 で、残りの 3 分の 1 は 2 日、その他は 2 日から 1 週間以上かかると回答しています。  

これは何を意味するのでしょうか?多くの企業が以前よりも迅速にフォーキャストを実施できるようになった一方で、必ずしも継続的なプランニングを実現できているわけではありません。 

継続的なプランニングは従来のプランニングよりも多くのメリットがあり、迅速に結果を得ることもできます。これには、ビジネスに実質的な利点をもたらす、影響力の大きい特定の活動が含まれます。ローリング フォーキャストはその最たるもので、条件の変化があった場合 (条件というのは変化するものです) でも最新かつ適切なフォーキャストを実現します。充実した What-If シナリオをディメンションの制約なくモデル化できるため、意志決定者は製品の価格を上げた場合やサプライヤを変更した場合、営業所を拡張した場合、地域を再調整した場合、あるいは季節に応じて営業能力を調整した場合に何が起こるかを予測できるようになります。

今日成功を収めている企業のプラン - 実行 - 分析のサイクルでは、継続的なプランニングにより売上から純利益に至るまで、経済や市場の混乱がもたらす可能性があるあらゆる損害に備えることができます。 

ディスラプションの源 (そして答え) を活用

どんな企業にも、限られた時間の中で有意義に処理、理解、対応できる変化の量には限りがあります。組織が適切なワークフローやテクノロジーを採用すれば、迅速かつ容易に変化を遂げることができます。 

テクノロジーは、変化の促進要因であるとともに、変化に対処する際に成功を掴む答えでもあります。適切なツール (テクノロジー) を適切な方法 (文化) で活用すれば、継続的なプランニングの能力を最大限に引き出すチャンスが大きく高まります。 

継続的なプランニングをまだ採用していない企業は、特定の機能にしぼって活用したいと考えるでしょう。しかし、こうしたツールによる効果を最大化するには、適切な文化の存在が不可欠です。スピーディな変化に対応する態勢を構築するには、ある重要な柱となるものを普及させる必要があります。これらの準備を整えることで、ローリング フォーキャストや What-If シナリオなど、継続的なプランニングが導入する画期的な機能をうまく取り込めるようになるでしょう。その効果には、次のようなものがあります。

サイクル タイムの短縮。サイクル タイムを短縮すると、財務部門のスタッフはより戦略的なタスクに取り組めるようになります。クラウドベースの自動化は、月次や四半期、年次の決算処理を迅速化し、企業がこれを達成するのに役立ちます。迅速かつ頻繁なプランニング。フォーキャストは継続的に繰り返されます。統合されたデータ コアから作業することで、ファイナンシャル プランニングおよび分析 (FP&A) チームは実績や重要なフィードバックをすばやく展開できるようになり、常に最新のデータに継続的にアクセスできるようになります。プランニング システムやツールを活用すれば、新たな継続的なファイナンシャル プランニングの文化をすべてのステークホルダーがそれぞれ簡単に受け入れることが可能です。その結果、アクショナブル インサイトやほぼリアルタイムの軌道修正が実現します。 

財務部門を戦略的アドバイザーに。継続的なプランニングの文化がない企業では、財務部門は数字の計算をするだけの古い役割に追いやられています。FP&A チームは手作業でデータを追跡し、スプレッドシートのバージョンの照合作業で忙しくしているため、ビジネスの戦略的アドバイザーとしての可能性を十分に発揮する時間がないためです。しかし、こうした現状を覆し、継続的なプランニングの文化を適用します。これにより、財務部門には突如としてデータやビジョン、時間が確保され、リアルタイムの意思決定を実現するためのリアルタイムのビジネス インサイトを提供できるようになります。さらに、財務部門は全社的なプランニングの管理に向けた指揮を執れるようになります。また、FP&A のリーダーたちは、より広範なビジネス戦略と密接に連携することで、戦略をきめ細かく調整し、変化に即応できる迅速な意思決定を促進することができます。 

唯一の正しい情報源。従来のファイナンシャル プランニングは、多くの場合、組織の他の部分とは異なるデータセットを使用する財務部門によって特徴付けられます。そのため、目標が他部門の目標との連携を失い、タイムラインの整合性がなくなり、予算やプランの精度が低下することになります。しかし、FP&A が唯一の正しい情報源 (統合されたデータ コア) の活用を主導すれば、異なるチームがより緊密に連携し、真に継続的なプランニングに欠かすことのできないインテリジェントな同一のデータ基盤を全員が活用できるようになります。

世界はかつてないスピードで変化しています。1 週間後、1 か月後、さらにその先の未来では、変化のスピードは一層増しているでしょう。変化のペースを緩める方法がないのであれば、ビジネスのスピードとアジリティを高めて進化を遂げるしかありません。継続的なプランニングの文化がアジャイルな未来を切り開く助けとなることに、多くの企業が気付き始めています。

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