Workday のゼロデイ クローズ ジャーニー: Philippa Lawrence との Q&A
機械学習、自動化、Workday エンタープライズ マネジメント クラウドが利用できるようになり、財務レポートの継続的なクローズが実現する時代はすぐそこに迫っています。Workday の最高会計責任者 (CAO) 兼バイス プレジデントである Philippa Lawrence がそこに至るまでの過程を説明します。
機械学習、自動化、Workday エンタープライズ マネジメント クラウドが利用できるようになり、財務レポートの継続的なクローズが実現する時代はすぐそこに迫っています。Workday の最高会計責任者 (CAO) 兼バイス プレジデントである Philippa Lawrence がそこに至るまでの過程を説明します。
財務部門は迅速な処理や変化への適応というプレッシャーを継続的に抱えています。ゼロデイ クローズの実現をサポートするテクノロジーほど、直ちに手に入れることが望まれるものはないでしょう。
月次、四半期、年末を問わず、報告が求められる期末の財務諸表の調整は従来、完了するまでに何週間もかかる非常に手間がかかるプロセスでした。会計および財務業務を継続的に最適化するという大きな取り組みの一環として、Workday が可能な限り多くの決算処理を自動化するという取り組みに乗り出したのは、それが理由です。ゼロデイ クローズは、継続的決算または非接触型決算とも呼ばれています。組織は決算処理を迅速化し、最新の情報にアクセスできるようになります。目標はゼロデイを掲げていますが、実際のプロセスの改善の一つ一つが財務業務の大きな前進となります。
Workday の社内部門とお客様に最新かつアジャイルなアプローチを採用するファイナンシャル マネジメント (財務管理) システムを提供し、今後の課題を解決し、財務処理の将来を再定義するという Workday の大きなビジョンにおいて、スピードは多くの考慮事項の 1 つに過ぎないからです。つまり、迅速な決算処理のみでなく、継続的なフィードバックのループを確立することが重要です。このような転換は、ビジネス インサイトを改善すること、リソースを解放して重要な戦略的イニシアチブに取り組むこと、すべてのステークホルダーに包括的な財務情報を提供することにつながります。財務部門は、結果を分析し、収益についての説明を準備し、戦略的ビジョンを明確に表現するために注力する時間を確保することもできます。
Workday の最高会計責任者 (CAO) 兼バイス プレジデントである Philippa Lawrence は、最近のインタビューで、テクノロジーによってゼロデイ クローズを実現する方法と、その位置付けについて、自身の見解を共有しています。
「当社は報告サイクル タイムを 50% 短縮し、四半期ごとの取締役会への最新状況の報告にかかる時間を 3 日からわずか数時間に短縮することができました」
Philippa Lawrence
最高会計責任者兼バイス プレジデント
Workday
Workday の最高会計責任者として、Workday のゼロデイ クローズ イニシアチブのエグゼクティブ スポンサーを務めていますが、このイニシアチブについて詳しくお聞かせください。
決算処理は企業会計において重要な位置を占めています。ただし、数字がなにを意味するのかを深く掘り下げ、組織と協力してビジネス戦略を形成することでメリットが生まれます。
Workday では財務プロセスから障壁を取り除きながら、働き方について常に再検討しています。クローズを変革し、強力に自動化を進めることにより、再検討を行っています。現在 Workday の共同社長で当時最高財務責任者 (CFO) であった Robynne Sisco と話し合い、ゼロデイ クローズの課題に取り組むことになりました。現在では、Workday の新たな CFO である Barbara Larson と協力し、目標を共有して、取り組みを進めています。
ゼロデイ クローズ、つまり継続的決算を行う目的は、あらゆる時点で決算処理を行えるようにすることです。情報は常に更新されます。最新情報にいつでもアクセスできるようにする必要があります。ゼロデイ クローズの目標に向けて、Workday の財務チームはお客様とともに速やかに取り組んでいます。お客様の多くはコロナ禍でバーチャルに決算を行い、タイミングや場所を問わずに情報にアクセスできるというゼロデイ クローズの優れた価値を認識されました。
このイニシアチブの戦略的重要性は?
共通の目標に向けてチームを結集させることができます。テクノロジーを活用することで、会計の煩雑な作業 (手動による請求書のデータ入力、手動による仕訳など) を排除できるという Workday の仮説を証明することもできます。これにより、リソースはより貴重なインサイトを企業にもたらすことに注力できます。
ゼロデイ クローズが実現すると、時間の余裕が生まれます。今日のビジネス環境において、時間は競争上の優位性を意味します。
チームはこの取り組みの一環として、自動化の事例をいくつか特定しています。これらの事例は、株式報酬プログラム、外国為替ヘッジなど、データ集約型の非常に複雑なプロセスを対象としています。世界中の会計士の働き方を根本から変える可能性があるプロジェクトであり、チームは非常に熱心に取り組んでいます。私たちはゼロデイ クローズの実現に取り組むとともに、引き続き自動化のマイルストーンの達成と効率性の向上を目指します。
クローズ プロセスの改善が今日非常に重要である理由と、財務担当エグゼクティブがクローズ プロセスの短縮を目指す理由を教えてください。
決算の処理時間を短縮することは常に懸案事項であり、一般的に監視対象となっている指標です。Workday のように急成長を遂げている企業にとって、決算処理の時間がなぜそれほど重要なのでしょうか。
まず、決算処理に費やす時間が短縮すれば、意思決定者は情報をすばやく入手できます。ここ数年間の変化のペースと不確実性を考慮すると、このメリットはより重要性が増しています。Workday の財務部門では個々のトランザクションの検証に時間をかけることがなくなりました。代わりに、データの異常や傾向を判断し、企業が数字の裏にある「背景」を把握できるようにすることに注力しています。
Workday ではマネジメント レポート作成プロセスの大部分をすでに自動化しているため、報告サイクル タイムは 50% 短縮され、四半期ごとの取締役会への最新状況の報告にかかる時間は 3 日からわずか数時間に短縮されました。
そのため、決算処理と社内報告のスピードという点においてはゼロデイ クローズのビジョンを実現し、お客様に実現方法を提示できると考えています。[米国証券取引委員会] への提出書類作成のスピードについても重点的に取り組んでいます。2022 年 1 月 31 日に終了した直近の会計年度では、収益報告を発表した同じ日に Form 10-K を提出することができました。これは当社にとって初の快挙となりますが、多くの企業にとって実現することが難しいと認識しています。
ただし、検討すべき点はスピードのみではありません。ステークホルダーに報告する情報の質も重要です。投資家をはじめとするステークホルダーは、企業の成長力、顧客の感情や動向、企業の目的や価値、不確実な経済環境下でのレジリエンスに関するインサイトを求めています。スピードの向上と継続的な質の組み合わせが、理想的なクローズの真の尺度となるのです。
ほかにも多様な財務システムの経験をお持ちとのことですが、ゼロデイ クローズが今こそ実現できると考える理由は?
Workday の 2 つの特性により、ゼロデイ クローズが容易に達成できるという確信を得ました。1 つ目の特性は、Workday のデータ モデルです。Workday を使用すると、記帳して数秒後にその内容を含めた連結処理を実行できます。
このデータ モデルを使用すると、Workday レポートでキャッシュフロー計算書を自動的 (間接的) に作成することも、直接的に作成することもできます。Workday のネイティブのディメンションであるワークタグを使用すると、トランザクションに追加の属性をタグ付けし、無駄な手作業を排除して、基盤となるトランザクションを追跡することができます。
「決算処理に費やす時間が短縮すれば、意思決定者は情報をすばやく入手できます。ここ数年間の変化のペースと不確実性を考慮すると、このメリットはより重要性が増しています」
Workday のインテリジェント データ コアにより、Workday のデータ モデルは、15 種類以上の外部ソースからの運用データを組み合わせ、すべての会計処理をひとつのシステムにまとめることができます。Workday ファイナンシャル マネジメント (財務管理)、Workday 会計センター、Workday Prism Analytics は、インテリジェント データ コアの基盤であり、外部データの会計処理を自動化することにより、クローズの際に 50 時間以上の時間を節約できます。
2 つ目の特性は、Workday の順応性に優れたアーキテクチャです。これにより「将来を見据えた」財務が実現します。新しいディメンション、法人、ビジネスプロセスをすばやく簡単に作成できます。Workday のソリューションを使用すると、数年前の収益認識の変化や、最近のリースに関する会計基準など、絶えず進化する規制状況にも容易に対応できます。
ゼロデイ クローズに向けた取り組みでこれまでに実現したメリットは?
ベストプラクティスを使用して多くのメリットを実現することができました。おそらく最も重要なメリットは、問題が発生する前に、クローズのプロセスの早い段階で問題を検出できることです。これにより、速やかに修正措置を取り、異常を解決できます。
現在では手動による記帳の割合が非常に少なくなったこともメリットの 1 つです。システム内の自動化により、キャッシュフローのほぼ完全な自動化と、100% の請求精度を達成することができました。ただし、例外は常に発生します。Workday はこのような例外を検出し、それがクローズ処理に影響を及ぼす前に迅速に対処できるようにサポートします。今後引き続き機械学習をさらに取り入れることにより、将来的にも多くの価値を生むことが期待できます。
ベストプラクティスを採用することによって、多くの企業が独自のクローズ プロセスを合理化できるということについて積極的に発言されています。この点について説明いただけますか?
第一歩として、クローズに関するアンケートを、クローズに携わるすべての従業員に送信して、リスクを明確化にし、フィードバックを提供してもらい、機能しているものとそうでないものを共有してもらいます。これにより、全体像を把握し、ボトルネックやリスク領域を特定することが容易になります。
次に、FP&A (ファイナンシャル プランニングと分析) とのコラボレーションと協力体制を改善します。当社の各部門は同じデータセットを使用して業務を行っています。これにより、予算と実績の状況についてリアルタイムのインサイトが得られ、2 つの部門が協力して差異を解決することが容易になります。
第 3 に、Workday のダッシュボードを使用して、最高会計責任者のコマンド センターを作成します。コマンド センターでは、 キャッシュの回収、売掛金 (AR) 分析、売掛金回転日数 (DSO)、 仕入債務回転日数 (DPO)、 損益 (P&L) 経費の傾向など、重要なメトリクスを確認することができます。これにより、通常と異なる傾向を特定し、月末に限らず月中に対処することができます。
第 4 に、クローズの監視です。期末決算処理ダッシュボードを使用すると、リアルタイムで情報を確認できます。たとえば、クローズ プロセスのステータスの概要をマネジメントに提供するリーダー ボードや、クローズ完了までの残りのすべてのタスクを把握できるクローズの概要などを確認できます。
最後に、規制当局への報告、ニュース リリース、投資家との電話会議の準備を問わず、外部報告の財務分析を徹底的に実施します。FP&A と会計部門は同じデータを使用して作業を行っているので、詳細な分析を実施して、数字が正確であることを確認できます。
クローズ プロセスが短縮されるメリットを得る部門はほかにもありますか?
社員全体がこのメリットを受けます。パンデミックが明らかにしたように、「大離職時代」の到来は、人々が生活の質を重視するようになったことを意味します。よりよいワークライフ バランスもその 1 つですが、ゼロデイ クローズがそれをサポートします。
より合理化されたプロセスにより、財務部門の従業員は作業に数週間かかりっきりになるようなことはなくなりました。これは人財のリクルーティングや離職防止に寄与します。組織の今後の成功を支えるという意味で非常に重要です。
財務分野のプロフェッショナルは、テクノロジーを活用して課題や複雑な問題を解決する企業に勤務し、ビジネスを支援したいと望んでいます。Workday の順応性に優れたアーキテクチャと独自のオブジェクト データ モデルを使用することにより、適切なアクセス権限を持つチーム全員が独自のダッシュボードやレポートを活用し、トランザクション レベルの詳細にドリルダウンして、特定の数字や傾向が持つ背景を把握することができます。自分自身でインパクトある回答を得ることもできます。
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Workday はマジック クアドラント レポートにおいてリーダーに再び認定されました。Workday Illuminate には、Workday プラットフォーム全体に AI を導入することを目指す当社の揺るぎないコミットメントが反映されています。このツールを使用すると、お客様は優れた効率性や高度なインサイトを活用し、新たな成長機会を獲得できます。
グローバル競争が激化し、経営環境の不確実性が高まるなか、従来の手法では、経営判断に必要な情報を適時に提供することが難しくなっています。そこで、注目されているのがFP&Aの存在です。この記事では、FP&Aの定義や役割から導入の進め方まで、体系的に解説します。ご一読いただくと、FP&Aについて理解し、自社への導入を具体的にイメージできるようになるでしょう。FP&Aを通じて、財務部門が経営の意思決定により深く関与し、企業価値向上に貢献する道筋が見えてくるはずです。