Workday ポッドキャスト: クラウド AI はビジネスにおける最大の出来事となり得るのか?

この Workday Podcast の特別エピソードでは Meg Wright 氏 (FT Longitude 社のオーディオ/イノベーション責任者) をゲスト ホストに迎え、3 人のグローバルな新興テクノロジー ソート リーダーと共に職場における AI/ML のトピックに向き合います。

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人工知能 (AI) や機械学習 (ML) が世界中の企業に大きな影響を与えることは、ほぼ間違いありません。しかし、具体的にどのような影響が生じるかについてはあまり取り上げられていません。 

この Workday Podcast の特別エピソードでは Meg Wright 氏 (FT Longitude 社のオーディオ/イノベーション責任者) をゲスト ホストに迎え、3 人のグローバルな新興テクノロジー ソート リーダーと共に職場における AI/ML のトピックに向き合います。

議論のハイライトをいくつか紹介します (わかりやすくするため編集を加えています)。当社のその他のポッドキャスト エピソードについては、こちらでご確認いただけます。 

  • 「このテクノロジーを適切かつ正しくナビゲートして活用すれば、無限に近い可能性を引き出せます。私たちは、最も重要なことを実現できるよう取り組んでいます。それは、優れたガバナンス、責任ある活用方法、信頼性です。これらはすべて、優れたイノベーションの基盤となるものです」—ハーバード大学 Berkman Klein Center for Internet and Society の「責任ある AI」フェローおよび非営利事業「Humane Intelligence」の共同創業者、Rumman Chowdhury 博士

  • 「傍観者として、どれほどのスピードで物事が進化するかを予測するとしたら、何よりも革新的なリーダー企業に注目するでしょう。あらゆる企業の変化のスピードに着目する必要はありません。注目すべきは傑出したリーダー企業のみであり、彼らが他の企業のペースメーカーとなるのです」 — トロント大学ロットマン スクール オブ マネジメント教授および Creative Destruction Lab 創業者、Ajay Agrawal 氏

  • 「AI や ML はビジネスに大きな革新をもたらします。当然ながら、このようなツールを採用しない業界などないでしょう」— Workday、総務担当バイス プレジデント、Chandler Morse

AI や ML によってエンプロイー エクスペリエンスと企業のパフォーマンスを刷新する方法、AI や ML のポリシーに関するグローバルな対話が非常に重要である理由、そしてこれらのテクノロジーが現在および未来のビジネスリーダーにもたらす意義について解説します。 

AI や ML の導入に向けた取り組みの中でビジネスリーダーの前に立ちはだかる 3 つの課題については、「AI IQ: 企業における人工知能に関するインサイト」をご覧ください。また、Workday が実施した過去最大規模の調査「グローバル AI に関する指標調査」にもご注目ください。調査結果は 2023 年 9 月にリリース予定です。

Ajay Agrawal 氏: キャリアの中で、このようなことを経験できるのは一度きりです。ここにいるリスナーの皆さんの中で、特に 40 歳以上の方であればインターネットの黎明期について覚えているかと思います。インターネットはテクノロジーのひとつだと思っていたのではないでしょうか。あるいは、自分が携わるビジネスではインターネットによる影響がないと感じていたかもしれません。今日、インターネットの影響を受けないビジネスはまずないでしょう。インターネットほどではないとしても、AI もこれと同等の影響をもたらすでしょう。

Meg Wright 氏: 人工知能、そして機械学習。これらのテクノロジーが世界中の企業に大きな影響を与えることは、ほぼ間違いありません。 

しかし、AI や ML についてわかっていること、そしてまだわかっていないことがある中で、これらのテクノロジーの真の可能性をすべて理解するのは難しいでしょう。

Rumman Chowdhury 博士: このテクノロジーを適切かつ正しくナビゲートして活用すれば、無限に近い可能性を引き出せます。私たちは、最も重要なことを実現できるよう取り組んでいます。それは、優れたガバナンス、責任ある活用方法、信頼性です。これらはすべて、優れたイノベーションの基盤となるものです。 

Wright 氏: ビジネスリーダーにとっては、リスクや課題を上回る機会が必要です。

重要なことは、AI や ML が企業にもたらす具体的な効果をより大きく取り上げるべきだということです。 

Chandler Morse: 私は、これまで以上に意義のある対話をすることが重要だと思います。もちろん、これらのテクノロジーは予期せぬ結果をもたらすこともあるでしょう。しかし、驚くべきメリットや応答性、人財に対するより具体的なアプローチを実現できる可能性も秘めています。

Wright 氏: では、AI や ML は貴社にとって最高のものとなりえるのでしょうか?あるいは最悪のものとなる可能性もあるのでしょうか。  

FT Longitude 社のイノベーション責任者を務める Meg Wright と申します。 

この Workday Podcast の特別エピソードでは、ビジネスにおける AI や ML の世界について詳しくご説明します。これまでにわかっていること、これらを応用できる分野、そしてまだ解明されていないことについて見ていきましょう。 

Chowdhury 博士:Rumman Chowdhury と申します。私は「責任ある AI の実践」という分野の創始者の一人です。現在、ハーバード大学 Berkman Klein Center for Internet and Society の「責任ある AI」フェローおよび非営利事業「Humane Intelligence」の共同創業者を務めています。    

ここ 1 年足らずの間に、生成 AI が話題になってきています。最も革新的なのはこのテクノロジーが登場したことではありません。大規模な言語モデルは、実は何年も前から存在していたのです。大きなイノベーションとなったのは、これらのモデルからリアルなテキスト画像、ビデオ、音声をコーディングなしで作成できるようになったことです。 

このポッドキャストを聞いているほどんどの方は、コードベースのアクセスなしでテクノロジーを活用できることをご存じでしょう。今では、人間によるものとほぼ同様のプロンプトを入力するだけで ChatGPT、Lensa、Stable Diffusion と対話できます。「パーティー ハットをかぶった猫の写真を作って」と指示すれば、そのものずばりの写真を生成してくれます。さらに、「これを黒猫に変えて。パーティー ハットはピンクがいい」と指示して微調整することも可能です。 これまでの人工知能の大半でコーディング (プログラミング スキル) が必要であったため、これが導入の障壁となることがよくありました。人間の行動を模倣したこのプレーン テキストによるコミュニケーション方法は、まさに人工知能の新しい波における最大の革命のひとつなのです。

Wright 氏: では、AI や ML がビジネスの世界に浸透し始めたら、どのようなスキルが求められるようになるのでしょうか?AI を効果的に活用するために特定のスキルが必要になるのでしょうか?

Agrawal 氏: つまり、「どのようなスキルが不要になるか?」ということですよね。この半世紀、ますます多くのコンピュータがワークフォースに導入されてきましたが、現代のコンピュータは非常に安全だと思われます。AI に抵抗を感じる人もいますが、オフィスでデスクに座ってコンピュータを使ったり、スマートフォンを操作したりすることに抵抗を感じる人はほとんどいません。

Ajay Agrawal と申します。私はトロント大学ロットマン スクール オブ マネジメントで教授を務めており、非営利事業である Creative Destruction Lab の創業者でもあります。私たちの使命は、人類の発展のために科学技術の商業化を促進することです。     

ナビゲーション AI が導入される前、たとえばロンドンでは、タクシー運転手になるために 3 年間自動車教習所に通う必要がありました。運転手がロンドン市内をきちんと把握できるようになるまでに 3 年もかかるのです。AI があれば、私のようにロンドンに無知な人でも心配ありません。ヒースロー空港に到着してレンタカーを借りた私が、初めてのロンドン市内で運転することを想像できますか?まるでプロのように効率よく市内をドライブできるようになるのです。       

これによって自動車の運転がはるかに身近なものになりました。技術を習得したい自動車教習所の入校者にとって、かつては何らかの体系的なバイアス (The Knowledge of London のような難関試験など) があったことを想像してみてください。こうした障壁は、今では大幅に解消されています。重要なのは、できる限り安全に車を運転することです。あとは AI がナビゲーション スキルを高めてくれます。 

このことについて、日本にいる私たちの仲間や経済学者が東京で調査を実施しました。タクシー運転手の半数にナビゲーション AI を提供したところ、半数のドライバーが操作できなかったようです。さらに、調査ではナビゲーション AI の導入前と導入後の生産性を比較しました。

ここで着目したのは次の 2 点です。1 つ目は、2 地点間の最適なルートを予測することです。2 つ目は、タクシー運転手に必要な予測です。乗客を降ろした後、次の乗客を乗せるまでの時間を最小限にとどめるためにどこに向かうべきか、ということです。この点に着目したのは、タクシー運転手の生産性は「乗客を乗せている場合と乗せていない場合」の時間を分単位で計測しているためです。ナビゲーション AI を提供したところ、経験の浅い運転手では生産性が 7% 向上したのに対し、経験豊富な運転手では向上率が 0% であったことがわかりました。経験豊富な運転手の場合、次の乗客を乗せるまでの時間を最小限にとどめるために向かうべき場所を直観的に判断できるのです。この事例からも、AI によって経験の有無から生じる格差が解消されていることがわかります。

Morse : AI や ML はビジネスに大きな革新をもたらすと思います。

当然ながら、このようなツールを採用しない業界などないでしょう。

Wright 氏: Workday の総務担当バイス プレジデントを務める Chandler Morse 氏をご紹介します。 

Chandler 氏は、ビジネスのパフォーマンスとキャリア開発の両面で、AI によってワークフォースを根本的に変革できると主張されています。 

Morse: スキルに関する話にはとても興味があります。これまでの長いキャリアの中で、スキルが重要かつ必要不可欠であると考える方々と一緒に仕事をしてきたからです。私はいつもこの例を挙げてお話ししています。とあるアメリカの街で、何かしらの状況変化によって失業してしまったとしましょう。このような場合でも、解決策となるリソースは存在します。アメリカでは、連邦政府がワークフォースの能力開発に向けて豊富なリソースを提供しています。リソースが身につけるべきスキルがいくつかあるわけですが、どの分野でスキルを習得するかが問題となります。この場合、どのようなスキルを身につければよいのでしょうか?テクノロジーの存在意義とは、経済の動向、状況の変化、機会を見出せる領域を把握するところにあると考えます。

しかし、多くの人にとっては家賃の支払方法のほうが重要なのです。家族を養い、より良い暮らしができる有意義な機会を実現するにはどうすればよいのでしょうか?私は、スキル ベースのアプローチによってスピード、効率、効果を重視して成果を上げることで、人々はより優れたビジネス チャンスを開拓できるという事実に注目しています。AI は、このようなアプローチの中で非常に重要な役割を担っていると思います。

また、米国経済だけでなく世界経済においても、パンデミックが収束に向かい、新たなテクノロジーの到来とともに世の中が急激に変化するという非常に興味深い時期を迎えているのです。皆さんにお伝えしたいのは、経済は目まぐるしく変化するものであり、私たちはそれを身をもって感じているということです。このような経済的変化が生じた場合、社員と企業が柔軟に対応できるような体制を整えるにはどうすればよいのでしょうか?

スキルこそがその解決手段となりますが、単なるスキルではありません。信頼性を高める規制上の保護措置を備え、洞察的で倫理に配慮した責任ある AI を導入することで、AI に裏付けられたスキルを活用できます。これは非常に素晴らしいことです。

Wright 氏: AI や ML は、エンプロイー エクスペリエンス、職場の効率、ビジネスのパフォーマンスを向上させる強力なツールとなりえます。しかし、可能性が無限になると同時に信頼性の問題も生じます。 

Rumman Chowdhury 博士が言うところの「技術者は必ずしも人財を理解できるわけではなく、人財は必ずしもテクノロジーを理解しているとは限らない」ということです。では、ビジネスにおける AI や ML の規制についてはどうでしょうか。 

Chowdhury 博士: 定義上、データ サイエンスの文化は非常に断片的であり、分散化されています。私は、これを素晴らしいことだと思っています。私たちはオープン ソース テクノロジーに投資し、開発を行っています。実際にほとんどの人がこの過程で学習し、データ サイエンティストや AI エンジニアになっているのです。私たちは論文の内容を常に把握することで継続的なスキルアップを図っていますが、そのような情報をすべて活用すべきだと思っています。そこで、人工知能を厳重に規制しようとするのではなく、もっとオープンで透明性の高いものにするとよいでしょう。

Wright 氏: これに関する疑問点として、過剰な規制の回避と AI の安全な活用を両立するにはどうすればよいのでしょうか?また、政策立案者と生産的にやり取りするために、企業は何ができるのでしょうか?

ここでも Rumman さんに伺います... 

Chowdhury 博士: こうした問題の多くは、まさにプラットフォームで生じていた問題と同じです。Twitter 社で働いた経験がある私には、それがどのような課題であるかある程度わかります。そこには多くの類似点があるはずです。私が強調したいのは規制のあり方です。規制とは「誰が真の裁定者になるのか」という問いに対する答えなのです。誰が真偽を判断するのか?誰の裁量で検討すべきか否かを判断するのか?この検討方法を決めるのは誰か?メリット・デメリットは誰が見極めるのか? 

こうしたあらゆる対話を中心として、「誰が真の裁定者になるのか」を決めることなのです。生成 AI に関して GDPR との類似点を考慮すると、EU AI Act (AI 規制法案) が可決されたばかりであり、Digital Services Act (デジタル サービス法) や Digital Markets Act (デジタル市場法) などの規制も予定されています。 

個人的には、これらの新しい法律は GDPR に対する批判の一部を教訓にしているのだと思います。GDPR は企業にとっての負担が非常に大きく、実際には企業のデータ保存・収集方法を把握しきれていなかったのです。その結果、発見できないことに対する権利、企業の保有情報に対する権利といった一見「単純」に思われる義務を課すことになり、多くの企業にとってかなり難しいタスクとなっていました。        

実のところ、AI に関する規制が不十分な状況は、規制や基準が全くない状況と同じくらい深刻です。だからこそ、私はさまざまなガバナンスに投資する数多くの取り組みを評価してきたのです。ガバナンスは単なる規制ではありません。欧州連合 (EU) で発表される規制だけでなく、最近では英国に続いて米国などの世界各地で同様の取り組みが行われているため、かなり注目度が高まっているようです。しかし、ガバナンスにはさまざまな側面や形態があり、そのどれもが実際にはさまざまな形で役立っています。つまり、イノベーションの原動力は優れたガバナンスであるとも言えるでしょう。投資対象のテクノロジーを評価する方法を標準化すれば、そのテクノロジーが見込みどおりの価値を提供できるかどうかを実際に確認できます。また、さまざまなテクノロジーを比較することで、実際に自社の製品やニーズに最適なものを選ぶことも可能です。

Wright 氏: AI や ML のビジネス利用が急速に拡大する中、リーダーは信頼性、安全性、倫理の問題に取り組まなければなりません。 

Workday の Chandler Morse 氏からご説明がありましたが、歴史的に見ても、責任を持ってテクノロジーを拡大するためにはこうした対話が不可欠なのです。 

Morse: 今後はこうした数多くのテクノロジーが導入されていくでしょう。一部のユース ケースやアプリケーションに関しては、少し懸念があります。そこで企業は、政策の一環としてこれらの懸念に対処する必要があります。

Wright 氏: 他の新興テクノロジーから、企業はどのような教訓を得ることができますか?「過剰な規制によって進歩が妨げられること」と「不十分な規制によって社会的信用が損なわれること」に潜む危険な罠を回避するために、具体的にはどのような対策をとればよいのでしょうか?

Morse: 私に寄せられる疑問の多くは、「御社の業界で実際に規制を求める動きがあるとは思えない」といったものです。

私たちは、AI には人間の潜在能力を引き出す力があると考えています。これは、フォーチュン 50 企業の半数およびフォーチュン 500 企業の 50% を含め、システム内に 6,000 万人分の社員レコードを保持する人財管理サービス プロバイダである当社の見解です。また、このようなテクノロジーが人々にどのようなビジネス チャンスをもたらすかを理解しています。それが当社のビジネスなのです。しかし、信頼できないテクノロジーを使う人はいません。 

私はキャリアの大半を Capitol Hill 社で過ごしましたが、私の元を訪れる人にはいつもこう訪ねていました。「あなたの動機は何ですか?具体的な動機を聞かせてください。あなたの目的は何ですか?私たちに協力していただけますか?」 私たちの動機は明確です。それは、これらのテクノロジーを人々に活用してもらうことです。当社はこのようなサービスを提供するプロバイダですが、人々は、潜在能力を引き出す、タレント マーケットプレースを立ち上げる、キャリアに関する有意義な対話を促す、経済におけるニーズやリソースの投入先を検討する、スキルを開発する、といった目的でテクノロジーを利用しようとしません。  

まさに、これらのテクノロジーは多くのメリットをもたらしています。当社の目標は一定の安心感を確立することです。これを実現する方法こそが有用な規制であると考えています。 

Wright 氏: では、AI や ML はビジネスにおける大胆かつ新しいビジョンをどのように実現するのでしょうか?また、私たちは無限の可能性を秘めた世界に向けて準備ができているのでしょうか? 

Agrawal 氏: テクノロジーが実現する世界はすぐそこにあります。それこそが、企業の人財に対するチェンジ マネジメントになるでしょう。変化の原動力となるのは競争だと考えています。業界の 1 社が競争を制し、すぐさま顧客にとってより良いサービスをはるかに安く提供できるようになれば、他の企業の成長ペースを妨げていたあらゆる要因はあっという間に解消されるか、その企業の存在意義が薄れていくかのどちらかでしょう。

傍観者として、どれほどのスピードで物事が進化するかを予測するとしたら、何よりも革新的なリーダー企業に注目するでしょう。これを顕著に表しているのが Netflix 社の例です。Netflix が登場して間もない頃、人々は興味を持って視聴していましたが、Blockbuster まで車でビデオを借りに行くこともありました。仕組みを理解するまでは、それを当然のこととして認識できません。 

あらゆる企業の変化のスピードに着目する必要はありません。注目すべきは傑出したリーダー企業のみであり、彼らが他の企業のペースメーカーとなるのです。

Wright 氏: 重要なのは、業界をリードする企業が対話の中心となって主張することです。 

Morse: 私たちは、AI が人間の潜在能力を引き出す可能性を非常に高く評価しており、楽観的な見解を持っています。同時に、このようなテクノロジーが招きかねない予期せぬ結果にも対処しなくてはなりません。

2019 年に当社でこの対話を始めた際、まず次のような話をしました。「リスク ベースのアプローチが必要です。人事部門の AI ユース ケースと Netflix がおすすめするドラマの次のシーズンを、どちらも同じレベルで精査すべきかどうかを検討しなくてはなりません」 そこで、どこに焦点を当てるべきかを明確にするのです。ヨーロッパではこうした理解が広まっていますが、これは当然のことだと思います。言ってみれば最低条件のようなものです。もはや真新しい概念ではありません。 

また、具体的なアプローチを取ることでかなり大きな成果が出ていると思います。私たちが提案したことの 1 つは、低リスクのユース ケースや AI を禁止するユース ケースといったリスク ベースのトライアングルにおいて、安易に業界全体をカテゴリー分けしないでほしいということでした。私たちの業界でさえ、このリスク ベースのアプローチに「雇用機会に劇的な影響を与えるもの」と「それほど影響がないもの」を確実に分類できるような具体的なアプローチが必要でした。

Wright 氏: 変化を効果的に管理し、リスクに対して具体的なアプローチを取るだけでなく、ビジネスリーダーは AI によってより広範なビジネス環境の再構築を開始する方法を理解しなくてはなりません。Rumman さんは次のように述べています… 

​​Chowdhury 博士: たとえば、Duolingo はさまざまな言語を学習できるアプリです。Duolingo では、OpenAI が構築したコア モデルを自社の目的に合わせて改良しています。他の企業が構築したコア アルゴリズムを使用し、自社の目的に合わせて改良するというこの新しいトレンドにおいては、その企業にも信頼性と安全性に対する責任が生じます。信頼性と安全性に対する責任は、実は企業独自のファイン チューニング事例に関するものなのです。世界的な巨大 AI 企業である Anthropics 社や OpenAI 社に期待されることは、悪質な有害事象を特定し、レッド チームを活用して、通例として責任ある活用を促進する責任を担うことです。

それと同時に、自社の目的に合わせて改良している派生的な企業にも責任が生じます。つまり、企業が検討すべきことは、信頼性と安全性における 2 つの階層構造と顧客への期待です。派生的な企業はコア モデルを微調整しているだけなので、テクノロジーの大部分はアウトソーシングが可能です。しかし、責任まで放棄することはできません。

私は、道徳的な監視を伴うこれらの問題の一部について、グローバル ガバナンスを導入することを強く提唱しています。グローバル ガバナンスという概念は、進化とともに要素も多様化してきていると思います。個人的には、このガバナンス構造には人類の繁栄を実現するというミッションが必要だと感じています。非常に曖昧で漠然としているように聞こえますが、一般的な人工知能の概念も同じはずです。一般的な人工知能のようなまったく実現不可能だと思われる概念に何十億ドルも投資するのであれば、私もそのテクノロジーによって人類の繁栄を実現するために多くの時間、労力、資金を費やすべきだと思います。

Wright 氏: やるべきことはたくさんありますが、AI や MLの見通しが明るいことは間違いありません。では、これはビジネスリーダーにとって何を意味するのでしょうか?今日の企業は、仕事の世界の未来に向けてどのように準備すればよいのでしょうか?この質問は Ajay さんに回答していただきましょう… 

Agrawa 氏: 1 点目は、実際のビジネス課題で AI を活用することです。人々は、社内のあらゆる AI イニシアチブの焦点を主要なビジネス指標に向けるべきであるという AI の魔法や SF のような側面に魅了される傾向があるためです。そのため、非常に測定しやすいものにしなくてはなりません。AI がオプティマイザーとなり、最適化すべき問題で活用する必要があります。つまり、AI を主任データ サイエンティストに一任するのではなく、明確な重要業績評価指標や何らかの指標を活用できる事業部門のリーダーの管理下で扱うべきなのです。これにより、最終的に収益アップやコスト ダウンにつながるビジネス目標で AI を活用できます。 

2 点目は、特に AI が言語を処理できるようになったことで、応用できる分野が増えているということです。去年の今頃は不可能であった非常に多くのことが、今では実現可能になっています。契約書、標準業務手順書、雇用契約書、メールなど、当時はあまり効果的に処理できなかった非構造化データをすべて管理できるようになりました。 

優先順位をつけ、1 つ目のディメンションでは収益アップやコストダウン面で最も高い効果を見込めるプロジェクト、2 つ目のディメンションでは構築可能なプロジェクトをいくつか選択します。要は、一般的な ROI 計算を適用し、いくつかのプロジェクトを選択するだけです。難しいことまで手を広げたり、一度に解決しようとしないようにしてください。 

最後に 3 点目ですが、皆さんには企業として何らかの取り組みに注力することを強くお勧めします。つまり、企業にとって最も価値のある AI イニシアチブを選択し、すぐに取り組みを開始するということです。単に様子見することはお勧めしません。なぜなら、AI が学習するからです。人間の文明の中で使用していたツールとは違って AI は学習するので、使い込むほどに能力が向上します。企業が導入を躊躇している間にも、他の企業は時間をかけて AI を習得・構築し、すでにメリットを得ています。導入が早いほど、AI の学習をいち早く始められるということです。

Wright 氏: 人、パフォーマンス、ポリシー、進歩。これらのどの点においても、AI や ML がビジネスにもたらす潜在能力は明白です。 

しかし、この潜在能力がどのように発揮されるのか、そして AI や ML がどのような価値をもたらすのかは、ビジネスリーダーが今すぐに実行するステップによって決まります。 

では、AI や ML は貴社にとって最高のものとなりえるのでしょうか? 

それは貴社の決断にかかっています。 

今回のホストは Meg Wright でした。ご視聴ありがとうございました。

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