2025 年の AI トレンド予測: 人間と AI のコラボレーションの拡大

この記事では、2025 年の AI に関する主なトレンドについてご紹介します。

• 人間性を重視
• AI が社会貢献の形を革新
• AI による自動化で業務効率が飛躍的に向上
• 戦略的な AI 投資が競争上の優位性を強化

AI の時代はすでに到来しています。しかしそれは、人間が機械に取って代わられるという話ではありません。むしろ、かつてない方法で人間と機械が協力し合う時代なのです。2025 年に成功する企業は、この人間と機械のダイナミックな関係性を理解している組織でしょう。

今後の動向が気になる方に向けて、ここでは、来年世界のビジネス情勢を一変させると見られるAIのトレンドを、Workdayのリーダーが予測しご紹介します。そして、ビジネスリーダーが今この動きに注目すべき理由についても解説します。

予測 1: 人間性を重視

Workday の AI 担当バイス プレジデント、Kathy Pham によれば、人間と機械の関係性は今後、大きく変わっていくといいます。AI は、従来人間にしかできないと考えられていたタスクを担うようになりますが、それは人間に価値がなくなるということではありません。むしろ、役割を再定義し、人間らしいワークフォースを再発見する絶好の機会となります。

消費者の世界では、ChatGPT のようなツールにより AI が急速に受け入れられましたが、企業の現場ではまだ AI の幅広い可能性を模索中です。

2025 年、企業は実用的な AI 応用の構築に注力し、運用の合理化と社員のエンパワーメントを進めます。たとえば、AI を活用してオンボーディングのプロセスを合理化し、人事部門チームが新入社員との関係構築に集中する取り組みなどが挙げられます。また、企業は AI を使ってイノベーションのサイクルを加速させ、社員は創造的な課題解決に注力できるようになるでしょう。

人と機械の調和が、生産性とイノベーションの新たな地平を切り拓きます。AI を取り入れることで、ビジネスリーダーは、テクノロジーが人の可能性を伸ばし、誰もが認められ、声が届き、価値を称えられる未来を築けます。

この人間と機械の新たなパートナーシップにより、社員はAIアシスタントを活用し、がむしゃらにではなく、スマートに働ける環境が整います。AI がイノベーションを加速させることで、企業はブレークスルーを達成し、発見の喜びをいっそう味わえるようになります。この流れはコミュニケーションにも及び、AI がメッセージの下書きを書いたり、適切な口調を提案したり、言語を翻訳することで、社員はより本質的なつながりの構築に集力できるようになります。

AI を協働するパートナーとして受け入れることで、ビジネスリーダーは、テクノロジーが人間の能力を補完、拡張する職場を創出できます。その結果として、業務効率、イノベーション、そして社員満足度の向上が期待されます。

予測 2: AI が社会貢献の可能性を広げる

人間の思いやりとテクノロジーが結びついて真の変化を生み出す、新たな社会貢献の時代が到来します。Workday の最高慈善活動責任者、Carrie Varoquiers は、AI が社会貢献の形を根本から変えると予測しています。AI を最大限活用することで、NPO はその影響力を拡大し、より多くの支援対象者にリーチし、より公平な世界を作ることができます。

AI は、個人とそのスキルを最も必要とする活動をマッチングすることで、NPO がよりスマートに活動できるよう支援します。AI はまた、NPO が支援活動をパーソナライズすることを可能にし、すべての寄付者が認められ、大切にされていると感じられるようにします。さらに、AI は NPO がその影響力を明確に把握することを可能にし、資金を最大限に活用する手助けをします。

AI と協働することで、非営利セクターもまた、世界が直面する最大の社会課題に取り組む準備を進めています。たとえば、AI は失業のリスクがある人々の集団を特定するのに役立ち、NPO が迅速な支援を提供できるようになります。また、AI は災害救援活動を最適化する力も持ち、データを分析してニーズを把握し、資源を効果的に配分することが可能になります。さらに、AI アルゴリズムは、今後発生しうるパンデミックの拡大を監視、予測する上で極めて有効であり、感染症の拡大を早期に警告し、医療機関や政府に対して迅速な対応を促すことができます。

予測 3: AI による自動化で業務効率が飛躍的に向上

ロボットが人間に取って代わるわけではありませんが、ロボットは私たちの生活をより快適なものにしてくれるでしょう。Workday の最高製品責任者、David Somers は、AI による経費レポートや文書スキャンといった面倒な反復作業の支援に加えて、AI がユーザーに代わって自律的に作業を遂行し、人間の意思決定を強化するような未来を思い描いています。

2025 年、企業は AI エージェントを活用して、人財の獲得など職務全体を変革するでしょう。積極的に潜在的な候補者を発掘し、応募者へのアプローチを自動化し、空いているポジションに優秀な人財を推薦することが可能になると想像してみてください。これにより、人財補充までの期間が大幅に短縮され、採用の質も向上します。採用担当者は、関係性の構築や戦略的影響力の向上といった、より重要な業務に集中できるようになります。

重要なのは、適切なバランスを見つけることです。AI が業務の進め方を変えるのは間違いありませんが、それでも人間の専門知識は常に不可欠です。最も成功する企業とは、 AI を人間の能力を代替するものではなく、拡張する強力なツールとして取り入れる組織です。

来年、企業は AI を活用して、社員向けセルフサービス機能などの主要業務領域を変革していくでしょう。これにより、業務はより効率的かつパーソナライズされたものになります。AI 搭載のチャットボットが一次対応を担い、日常的な問い合わせに応答することで、人事担当者はより複雑な課題に集中できるようになります。

さらに、AI はサプライチェーン管理にも革新をもたらします。在庫管理レベルの最適化、需要の変動予測、物流の合理化を通じて、コスト削減と効率向上、市場変化への迅速な対応が可能になります。

加えて、サイバーセキュリティの脅威がますます高度化する中で、AI は企業を守る上で極めて重要な役割を果たします。AI アルゴリズムは、警戒を怠らない守護者として、サイバー攻撃を検知、防止し、機密データの保護や事業継続性の確保に貢献します。

予測 4: 戦略的な AI 投資が競争上の優位性を強化

Workday の最高財務責任者である Zane Rowe は、AI 導入を推進する上でシニア管理、特に最高財務責任者の役割がますます重要になると述べています。AI 投資の決定に関する明確なコミュニケーションと透明性は、ROI を実証し、ステークホルダーからの支持を得るために不可欠です。さらに最高財務責任者は、高いリターンが見込める AI イニシアチブと、そうでないものとを迅速に見極める力が求められます。これにより、競争上の優位性を維持するために、リソースを戦略的に配分することが可能になります。

Gartner 社の予測によれば、2025 年までに AI は大企業で広く使用されるようになり、最高財務責任者の 75％ が AI を導入し、意思決定の強化を図るようになります。これはつまり、最高財務責任者が AI の推進役となり、戦略的な投資を促進しつつ、AI イニシアチブを企業全体の目標と整合させる責任を持つことを意味します。そのためには、最高財務責任者自身が AI 技術やその潜在的な用途について深く理解し、情報に基づいた投資判断を下せるようになる必要があります。

最高財務責任者は、自社における AI の真のポテンシャルを引き出す鍵を握っています。賢明な投資を行うには、戦略的思考が欠かせません。つまり、AI イニシアチブを大局的なビジネス戦略と連動させ、支出する 1 ドル 1 ドルを目標達成に繋げる必要があります。また、重要業績評価指標 (KPI) を用いて AI 投資の効果を追跡し、明確なリターンを可視化することで、測定可能な成果に焦点を当てることも重要です。さらに忘れてはならないのが人的要素です。チームが最新の AI ツールを効果的に活用するためには、人財とスキルのレベルアップへの投資も不可欠です。このように、戦略的かつデータドリブンのアプローチを採用することで、最高財務責任者は AI の時代に自社を大きな成功へと導くことができます。

ビジネスリーダーにとって重要な 3 つのポイント

2025 年、AI はビジネスの在り方そのものを変えていきます。その方法の一部を以下に紹介します。AI の変革力を真に活用するには、ビジネスリーダーは積極的かつ戦略的なアプローチを採用する必要があります。ここでは、AI 時代に組織を導くための 3 つのポイントを説明します。

1. 違いを生み出す: AI の力を活用して社会変革を促進し、世界に好影響を与えましょう。非営利団体と連携し、ボランティア活動を最適化し、AI を活用して重要な社会課題に取り組むことで、社会に貢献できるだけでなく、目的意識を持つ人財を惹きつけます。
2. 人財のエンパワーメント: ワークフォースに投資し、批判的思考、コラボレーション、感情的知性といったスキルを伸ばすためのトレーニングやレベルアップの機会を提供しましょう。こうしたスキルは人間固有のもので、AI 時代を迎えてなお重要性を増しています。社員が変化を糧に、新しい価値を創出し、力を解き放つ原動力となります。
3. 目的を持って導く: テクノロジーが人とのつながりや目的意識を妨げるのではなく補完する、人間中心の企業文化を築きましょう。AI が多くの業務を担うようになっても、社員が評価され、サポートされ、独自の才能を発揮できると感じられる職場環境を築きます。

上記のようなポイントを取り入れることで、ビジネスリーダーは進化する AI 環境に対応し、革新的で人間中心の組織を構築することができます。