JLL 社の未来形成: 2 人の人事部門リーダーは AI 主導の人財戦略をいかに推進しているか
JLL 社の人事部門リーダーである Megan Kleinick 氏と Jane Curran 氏は、AI の戦略的統合を通じてエンプロイー エクスペリエンスや効率性を高め、強力なプロセスを確立し、データの質を改善しています。AI 主導のリクルーティングで多数の応募者を管理し、生成 AI ツールやパーソナライズされた AI エージェントを人事部門全体に導入しています。
JLL 社の人事部門リーダーである Megan Kleinick 氏と Jane Curran 氏は、AI の戦略的統合を通じてエンプロイー エクスペリエンスや効率性を高め、強力なプロセスを確立し、データの質を改善しています。AI 主導のリクルーティングで多数の応募者を管理し、生成 AI ツールやパーソナライズされた AI エージェントを人事部門全体に導入しています。
このブログでは以下についてご紹介します。
世界各国で不動産事業を展開する JLL 社は、80 か国以上に分散する 100,000 人以上の社員を管理する必要があります。同社の人財チームは、優れたエンプロイー エクスペリエンスを実現するために欠かせない役割を果たしています。 人事テクノロジー責任者を務める Megan Kleinick 氏と人事オペレーション責任者を務める Jane Curran 氏は、人事部門リーダーとして AI を活用した変革を推進し、複雑なオペレーションに対応しています。両者の取り組みは、人工知能を戦略的に統合するために役立つ有力なインサイトを提供してくれます。彼らは即時的な効果を目指す代わりに、基本原則を遵守し、人間の行動を理解することにより、継続的な進化を実現しています。
両氏のアプローチの根底にあるものは、強力なプロセスを確立し、テクノロジーを適切に導入するという共通目標です。「強力なプロセスは質の高いデータを生み出し、質の高いデータは優れた AI を生み出します」と Jane Curran 氏は述べています。最先端の AI ツールを導入しても、データの質が悪ければ優れた効果は期待できません。JLL 社の人事部門は事務的な業務を担うだけではありません。エンプロイー エクスペリエンスを高め、効率性を強化し、あらゆる要望に応じて正確な情報を提供しています。Jane 氏は次のように述べています。「私たちは人財の質問に対してその場で正確な回答を提供したいと考えています。テクノロジーを通じてこの目標を達成することが現在の課題です」
JLL 社に 7 年勤務するベテラン社員であり、人財管理システムをデプロイした経験を持つ Megan Kleinick 氏は、この取り組みをテクノロジー面からサポートしています。JLL 社のグローバル システム機能の開発を監督し、現在は 30 を超える人事テクノロジー ポートフォリオを管理しています。最適なテクノロジーの構築に注力する Kleinick 氏のチームと、テクノロジーの普及とイネーブルメントに尽力する Jane 氏のチームは、相互に補強しながら戦略基盤を構築しています。
「私たちは連携して製品プロセスや人財プロセスを総合的に検討・改善しています」と Kleinick 氏は述べています。規模を効率的に拡張することを目指す JLL 社では、このようなコラボレーション精神が不可欠です。Curran 氏は次のように述べています。「今後の成長は、ヘッドカウントの継続的な増加に依存するのではなく、オペレーショナル エクセレンスの実現を通じて達成する必要があります」。このような考えに基づき、両者は同社のリーダーが既存のテクノロジーを積極的に活用するよう奨励しています。「当社は上位 25% に入る優れたテクノロジーを保有しています。そのため当社のリーダーには『今日はいかに AI を活用したか』を考えてもらう必要があります。対話やアイデアの共有を促進することで、チームは新たな働き方を見出し、テクノロジーを活用して業務を改善することができます」
「リーダーには『今日はいかに AI を活用したか、既存のテクノロジーを活用するために何をしたか』を考えてもらう必要があります」
Megan Kleinick 氏
グローバル人事ディレクター
JLL 社
AI を人事に導入する JLL 社の取り組みは、AI の普及が爆発的に進む今日に先駆けて開始されました。同社は 2019 年から AI に投資しており、生成 AI を早期に導入しています。2024 年にはシステムの基盤となる AI プラットフォーム、JLL Falcon を発表しています。このプラットフォームは同社独自の膨大なデータと最先端の AI モデルを統合し、高度にスマートで正確なアプリケーションやエージェントをビジネスリーダーと商業不動産リーダーに提供します。
同社の取り組みは HiredScore の導入から始まりました。HiredScore は AI を活用して先を見据えたリクルーティングを実現する革新的なプラットフォームです。この導入はインドで起きた具体的な問題が端緒となりました。求人応募者が殺到し、リクルーターが採用プロセスを速やかに処理できなくなったのです。JLL 社は 2021 年に HiredScore をインドに導入し、Spotlight 機能を使用して候補者のショートリストを作成し、Fetch 機能を使用して候補者の再発掘を行うようになります。Fetch 機能はすでにシステムに登録されている応募者、つまり過去に JLL 社の職務に興味を示した応募者のデータを使用して関連付けを行います。
同社は初回のデプロイメントでおよそ 20 名のリクルーターを動員して 1 年間ほど HiredScore を運用した後、各国への展開を開始します。デプロイメントを拡大する中、ツールを使用したリクルーターからは好意的なフィードバックが寄せられ、2022 年にはグローバル展開が急速に進められました。
新たなテクノロジーを大規模に導入するためには、細心のチェンジ マネジメントが必要になります。この点は Curran 氏と Kleinick 氏も指摘しています。Curran 氏は重要な考慮事項として「変化のスピードと規模」を挙げています。シニア リーダーは AI によって生産性が直ちに向上することを期待するかもしれませんが、規模を適切に拡大するには時間がかかると同氏は述べています。重要なことは、深く根付いた業務習慣を変えることです。
「オペレーショナル エクセレンスは成長の原動力になります。当社はクラス最高のテクノロジーを使用してワークフローを改善することにより、エンプロイー エクスペリエンスを変革しています」
Jane Curran 氏
人事オペレーション責任者
JLL 社
「AI を活用するためには、人財が行動や業務方法を変える必要があります」と Curran 氏は強調しています。そうすることで、AI が人財に取って代わるという誤解を払拭します。Curran 氏は次のように述べています。「AI は電源を入れれば人間に代わって業務を遂行すると考えられていますが、そうではありません。AI は業務を改善するツールの 1 つに過ぎません。人間が関与する必要があります。AI は人間なしでは機能しません。私たちは適切な役割を担う必要があります」
HiredScore を普及するため、Curran 氏のチームは初回デプロイメントの完了後もコミュニケーションやトレーニングを継続的に行っています。さらに普及レベルをモニタリングし、そのデータをリクルーターの指標に統合しています。この処理には HiredScore を活用する場合が少なくありません。Kleinick 氏は多くのユーザーが AI ツールの進化を受け入れており、リリースされた新機能を試すことを望んでいると述べています。
HiredScore が JLL 社全体にもたらしている全社的な効果を正確かつ統計的に示すことは困難ですが、ユーザーからのフィードバックは極めて好意的です。「当社のリクルーターは大変満足し、意欲を高めています。今このツールを取り上げたら、リクルーターは非常に落胆することでしょう」と Kleinick 氏は述べています。HiredScore はまた、候補者の再発掘を促進することで、広告支出の管理にも貢献しています。
JLL 社が学んだもう 1 つの重要な教訓は、リクルーターに提供するオプションが多すぎると、意に反して普及が妨げられるということです。Kleinick 氏は次のように述べています。「オプションが多いほど普及が進むと考えていましたが、オプションを絞り、ツールを最大限に活用する方法を正確に伝えた方がよい場合もあります」
両リーダーは今後を見据え、AI を通じて人事の変革を進めていこうと考えています。JLL 社は 2024 年初頭に「Ask HR」を導入しました。この受賞歴のある生成 AI ツールは、人事ポリシーの質問に対する回答を瞬時に提供します。目標は自動化を通じてシンプルな回答を提供し、定型的な問い合わせに対する手動介入を最小限に抑えることです。リクルーティングについては、すべてのタイプのリクルーティングが同じではないことを考慮し、今後はアプローチを細分化していく予定です。そのためには、大量に必要となる役割やシニア レベルの専門的なポジションに応じて、AI ツールやプロセスを調整する必要があります。
より大きな目標は、リクルーティングから社員オンボーディングに至るまで、人事部門全体の業務をインテリジェントに支援できる AI エージェントや AI アシスタントを開発することです。社内人財の流動性はもう 1 つの優先課題です。JLL 社は HiredScore を活用し、社員が興味のある社内の職務にフラグを設定し、AI が生成した職務提案を受信できるようにしています。今後も同社はスキル開発を中心に取り組みを進め、社員が新たな能力を特定・取得し、JLL 社のニーズの進化に対応できるよう支援していく予定です。Megan Kleinick 氏と Jane Curran 氏は、このような思慮深い戦略的イニシアチブを推進することにより、単にテクノロジーを実装するだけでなく、効率性を高めて人財を理解し、JLL 社の人事部門全体の未来を積極的に形成しています。
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