企業のデジタル トランスフォーメーション - ビッグ バンを成功させる
Freudenberg 社で人事責任者を務める Sarah O'Hare 氏と、Schenck Process 社で人事プロジェクトのグローバル責任者を務める Denise Trentin 氏が、企業のデジタル トランスフォーメーションにもたらす「ビッグ バン」アプローチの価値について意見を交わし、テクノロジーの導入を計画しているマネージャにヒントを提供します。
Freudenberg 社で人事責任者を務める Sarah O'Hare 氏と、Schenck Process 社で人事プロジェクトのグローバル責任者を務める Denise Trentin 氏が、企業のデジタル トランスフォーメーションにもたらす「ビッグ バン」アプローチの価値について意見を交わし、テクノロジーの導入を計画しているマネージャにヒントを提供します。
企業のデジタル トランスフォーメーション - ビッグ バンを成功させる
この予測不能の時代に確かなことが 1 つあります。ビジネスリーダーは企業のデジタル トランスフォーメーションに取り組むことを決意しています。PwC 社の『Global CEO Survey』レポートによると、ドイツの最高経営責任者 (CEO) の 86% は、来年中に自動化対策やシステム改善に投資することを決めています (世界全体では 76%)。さらにドイツの CEO の 71% は、自社の技術的プレゼンスを高めるため、クラウド ソリューション、人工知能など、最新テクノロジーに投資することを決めています (世界全体では 69%)。
こうした投資を動機付ける理由は、企業環境と同様に多様です。Freudenberg 社で人事責任者を務める Sarah O'Hare 氏は端的に述べています。「スピード、透明性、分析レポート、エンプロイー エクスペリエンスの向上など、理由は無数に挙げることができます」。たとえば採算性の向上を挙げることができます。MIT 情報システム研究センターの最新調査によると、デジタル トランスフォーメーションを実現した企業は、業界平均よりも 17.3% 高い売上成長を記録しています。
「スピード、透明性、分析レポート、エンプロイー エクスペリエンスの向上など、理由は無数に挙げることができます」
Sarah O’Hare 氏
人事部長
Freudenberg 社
O’Hare 氏が変革の必要性を強く感じたのは、Freudenberg 社がダイバーシティとインクルージョンを促進するプログラムを立ち上げたときでした。「私たちはさまざまなマネジメント レベルに所属する女性の人数を把握する必要がありました」と彼女は説明します。しかし 60 か国に所在する 11 の事業部門には 50,000 人に上る社員が存在し、すべての社員の管理は時代遅れのシステムを使用して行われていたため、作業は難航しました。「情報を収集するため、大量の Excel スプレッドシート、大量のリクエスト、世界各国の人事マネージャ 800 人の動員が必要になりました」と彼女は述べています。
企業のデジタル トランスフォーメーションが避けられないことは明白でしたが、何をすればよいのかは定かではありませんでした。これは多くの企業に当てはまります。一部のリーダーはいくつかの事業部門や本社などから変革に着手し、数年かけて段階的に新しいシステムをデプロイする「段階的アプローチ」を選択します。一方、あらゆる環境を一度に変革する「ビッグ バン」アプローチを選択するリーダーもいます。グローバル組織全体のプロセスを同時に変革する場合、リーダーは迅速に改善を進めてビジネス パフォーマンスを促進し、組織を成長軌道に乗せることができます。
Schenck Process 社と同様、Freudenberg 社は「ビッグ バン」アプローチを選択しました (「私はせっかちなんです」と、O'Hare 氏は述べています)。Schenck Process 社はおよそ 3,000 人の社員を擁する、グローバルなエンジニアリング製造会社ですが、その多くはパートタイム従業員や臨時従業員が占めています。Schenck Process 社がこの包括的なアプローチを選択した理由は、スピードを重視したというよりはパンデミックのタイミングに起因します。同社のデジタル トランスフォーメーションの予算が明らかにされたのは、まさに同社の社員が在宅勤務へと移行したときでした。
「私たちは迅速に意思決定を行う必要がありました」と、Schenck Process 社で人事プロジェクトのグローバル責任者を務める Denise Trentin 氏は説明します。迅速なアクションが求められる「ビッグ バン」アプローチを Workday の実装パートナーから提案された当初、Trentin 氏は躊躇しました。提案された改革手法は少人数で編成された同社のチームにとって困難を伴うものでした。しかし同社は潜在的なメリットを理解し、実装パートナーが信頼するに値すると確信しました。彼女は次のように述べています。「今では最善の選択だったと考えています。ビッグ バンはまさに私たちにとって最適な手法でした」
Trentin 氏が特に強調している点があります。変革を実現した後、Schenck Process 社の社員に対する人事担当者の割合は 1:67 から 1:56 に低減しました。これは常勤で働く従業員 8 人分とその関連コストが節約されたことを意味します。彼女は次のように述べています。「これは大きな成果でした。
今では最善の選択だったと考えています。ビッグ バンはまさに私たちにとって最適な手法でした」
Denise Trentin 氏
人事プロジェクト グローバル責任者
Schenck 社
「変革を実現したことで、Freudenberg はグローバル ワークフォースをより深く理解できるようになりました」と、O'Hare 氏は述べています。特に自主退職関連のデータにすばやくアクセスできるようになったことは、社員の定着率に寄与しました。同社の世界各国の自主退職率は 10.8% ですが、新しいプラットフォームを導入した結果、米国とメキシコの自主退職率が 25% を超えており、ほとんどの退職が入社後半年以内に起きていることが明らかになりました。「注意を要する領域を特定できるようになったため、今後は対策を講じていくことができます」と、O'Hare 氏は述べています。
O'Hare 氏と Trentin 氏は自身の経験を踏まえ、大規模な再構築を検討している人事部門リーダーがプランニングを成功させるための秘訣を共有しています。
1.足並みをそろえてから行動する
Freudenberg 社の再構築プロジェクト リーダーは、同社の多様なグループに向けてプレゼンテーションを何度も実施しました。O'Hare 氏はプレゼンテーションの回数を追跡していましたが、68 回目で断念しています。しかし、これらのグループ (人事部チームから取締役会、地域 CEO から取締役会) に共通点を提供することは、再構築の成功に不可欠でした。
彼女は次のように述べています。「大規模なプロジェクトを実施する際は、組織について理解するだけでなく、すべての従業員を参加させる方法を理解する必要があります。大規模な戦略的プロジェクトでは、細部への配慮が極めて重要になります」
ステアリング コミッティを立ち上げたことは、イニシアチブの方向性を維持することに役立ちました。一方、ワークフローに関する広範なマトリクスを作成するためには、コミュニケーションやモニタリングを継続的に行い、「自身の取り組みが他のワークフローと連携しており、相互に悪影響を及ぼしていない」ことを確認する必要がありました。
2.すべての関係者から早期に賛同を得る
「ビッグ バン」で再構築を実現するためには、新しい働き方をすばやく導入する必要があります。改革によって自身の仕事が改善される (厳しくなるのではない) ことを理解すれば、社員はビッグ バンの成功に向けてより多くの労力を注ぐようになります。
Schenck Process 社の多様なステークホルダーから賛同を得るため、プロジェクトリーダーは少人数で編成された複数のチームとミーティングを行い、質問に答え、デモを通じて新しいシステムで何を行えるようになるかを説明しました。また、多様なユーザー グループを使用してテストを実施することで、潜在的な問題を特定し、本番稼働後に新しいシステムが速やかに普及するようにしました。Trentin 氏は次のように述べています。「幅広い分野・部門にわたり、できるだけ多くの人々に働きかけました。この取り組みにより、賛同者を早期に得ることができました」その結果、同社はわずか 30 週間で移行を完了することができました。
3.最適化に向けた計画を策定する (その前に猶予期間を設ける)
変革に向けた取り組みは「ビッグ バン」の達成後も続きます。状況が常に変化し、ビジネスニーズが進化する中、チームは新しいシステムを活用することで、変化に適応して成長する機会を特定することが可能になります。生産性/効率性の拡大、社員やリーダー層の満足度の向上など、O'Hare 氏は将来を見据えて大きな計画を策定しています。次に重要となるトピックはラーニングです。彼女は年内にラーニング システムを導入することを予定しています。
しかしその前にチームは一息つく必要があると O'Hare 氏は述べています。「組織には猶予期間が必要だと考えています。人事部門は多くの質問を寄せています。何が起きたのか組織が十分に理解できるようになるのは 2 年先になると思います。安定化と継続的な改善とのバランスを適切に図る必要があります」
企業が成長するためにはデジタル トランスフォーメーションが不可欠です。しかし変革を成功させるためには、新しいテクノロジーを導入するだけでは不十分です。綿密なプランニング、効果的なコミュニケーションが必要になるほか、社員のニーズやエクスペリエンスに注力する必要があります。ただし適切な戦略とコミットメントを確保すれば、デジタル トランスフォーメーションを通じて効率性、透明性、社員の満足度を高め、あらゆるビジネス領域を大幅に改善することができます。
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