Workday と Paradox 社のパートナーシップ: 採用現場の候補者エクスペリエンスを再構築

Workday による Paradox 社の買収は、AI を活用して採用現場の候補者エクスペリエンスを最構築し、採用プロセスをより迅速かつスマートに、そしてより人間らしくすることにより、人財の獲得に変革をもたらすと期待されています。

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採用の本質は、常に人間的なつながりにあります。つまり、個々の人財の能力を理解し、有意義な関係を築くことです。しかし、効率性を追求する過程で、採用プロセスは煩雑な事務作業や、絶え間なく続くクリック操作、コミュニケーションの断絶に陥りがちです。結果として、企業が惹きつけようとしている人財との間に、思わぬ距離が生まれてしまうことがあります。テクノロジーを、人間同士のつながりを代替するものと考えるのではなく、そのつながりを深め、より人間らしいものにするための、推進力として捉えたらどうでしょうか。 

この重要な問いが、最近発表された Workday による Paradox 社の買収の背景にあります。Paradox 社の先進的な対話型 AI を統合することで、Workday は人財獲得のあり方を再定義し、特にグローバル経済を支える現場の大規模なワークフォースの採用においては、採用プロセスをより迅速かつスマートに、そして何よりも人間らしいものにしています。この戦略的な動きは、Workday の総合的なワークフォース管理機能を強化するだけでなく、テクノロジーがいかにして真の人間中心の採用エクスペリエンスを促進できるかという、新たな基準を打ち立てるものでもあります。 

Workday の人財管理担当ジェネラル マネージャである David Wachtel と Paradox 社の最高経営責任者 (CEO) である Adam Godson 氏は、最近の対話で、仕事の未来は AI を活用して、より直感的でつながりのある人財採用への道筋を築くことにかかっていると語りました。

長期プロセスを短縮し大規模に採用

人財の獲得に携わる社員、特に現場の役割を担う人財を大規模に採用する担当者にとっては、スピードが何よりも重要です。Godson 氏は、レストラン、小売、ヘルスケアの各業界のお客様を訪問した際によく見られた事例を紹介しました。それは、1人 の採用に 20 日間から 30 日間もかかってしまうというものです。Godson 氏は、その事例を次のように紹介しました。「もっとスピーディにできるはずだと思っていたんです。Paradox を導入してからは、採用までの時間が 2 〜 3 日というケースも見られるようになりました。これまでの 18 日間や 20 日間には、特別なことは何も起きていませんでした。待っているだけで、時間を無駄にしていました」 

これは単なる理論的な改善ではありません。Godson 氏は、全国に 80 店舗を展開し、深刻な人員不足に直面していた大手レストラン チェーンの事例を紹介しました。Paradox を導入してから、わずか 2 週間で、ほぼ全体の人財配置レポートで、人財の不足状態を示す「赤」から充足状態を示す「緑」へと改善されました。

成功の秘訣は、候補者が今いる場所で会うことにあります。Godson 氏は、これを完璧に表す最近の事例として、あるファストフード店での体験を紹介しました。Godson 氏がドライブスルーを利用した際に出会った新入社員は、もともと仕事を探していませんでした。その新入社員は、レシートに印刷された「募集中」というメッセージを見て、指定の番号にメッセージを送り、翌日の面接を設定しました。すべてがスピーディに進んでいったのです。これこそが、プロセスから障壁を取り除くということなのです。

採用を成功に導く新しい採用手法

では、Paradox 社はどのようにして、このような劇的な成果を実現しているのでしょうか。Godson 氏によれば、それは、3 つの重要な要素を強力に統合することだと言います。3 つの要素とは、採用プロセスの再設計、対話型 AI テクノロジーの活用、SMS や WhatsApp といった現代のメッセージング手段の導入です。

採用テクノロジーは、あらゆる職種をひとつの画一的で柔軟性に欠けるワークフローに押し込めてしまいがちです。しかし、エグゼクティブの採用と一般社員の採用は根本的に異なります。Paradox 社は、企業が基本に立ち返り、さまざまな職種の従業員に合わせて、エクスペリエンスを設計できるよう支援します。

Godson 氏は、あるレストランを訪れた際に、採用マネージャに応募書類で重視している点を尋ねたことを振り返りました。マネージャは 4 つの簡単なことを挙げました。まず 1 つ目は「16 歳以上であるか」、2 つ目は「関連する経験はあるか」、3 つ目は、「店舗で働く条件を満たしているか」、4 つ目は、「求められる勤務時間に対応できるか」というものでした。  そこで Paradox 社は、プロセスを再設計し、これらの質問をシンプルな対話形式で最初に確認できるようにしました。6 年前に勤めていた職場の住所を長い応募用紙に記載させるのではなく、AI が候補者の適性をすばやく判断し、面接のスケジュール調整へと、合理的にステップを進めてくれるのです。

逆説的ですが、AI テクノロジーは、人とつながる時間を増やすために使用するものです。ソフトウェアではないのです。

名前に隠されたストーリー

人とのつながりを重視する姿勢は、社名にも込められているほど、同社のアイデンティティの中心となっています。リクルーターとしてキャリアをスタートさせた Godson 氏は、同社のシンプルな使命について語っています。それは、リクルーターや採用担当者がソフトウェアの操作に費やす時間を減らし、人とつながる時間を増やすというものです。

Godson 氏は次のように語っています。「当社は AI を、人を自由にする新しいテクノロジーだと考えていました。それがパラドックス (逆説) です。だからこの名前をつけたのです」 

同社の目的は、会話をなくすことではありません。価値ある対話の妨げとなる煩雑な事務作業を取り除くことです。

採用現場を超えて人間同士のつながりを拡大

このアプローチがもたらす効果は、実に驚くべきものです。Godson 氏によれば、Paradox は今年 3,200 万件の面接のスケジュールを調整する予定であり、これは米国で実施される面接の約 10 分の 1 に相当します。同社は現場の採用プロセスに関する豊富な知識を有する一方で、企業における最も複雑な採用課題にも対応できるテクノロジーを備えています。

グローバルな役職では重要となるパネル インタビューのスケジュール調整は、異なるタイムゾーンや言語、会議室の予約、日程の調整などが重なり、非常に煩雑な作業となることがあります。Paradox 社は、巧みにそうした複雑さに対応し、役職や場所に関係なく、人とのつながりを早期に実現できるよう支援します。

旧友、そして新しい未来へ

買収は最近のことですが、Workday と Paradox 社のパートナーシップは、以前から築かれてきたものです。両社は長年にわたって協力関係にあり、すでに共通のお客様は 200 社を超え、認定済み Workday インテグレーションも 5 件導入しています。Godson 氏は次のように語っています。「これはある意味では新しいことですが、同時に旧知の仲間が集まり、確かな道を共に歩んでいこうとしているのです」 

この動きは、HiredScore 社の買収と相まって、今後の人財の獲得に対する明確かつ力強いビジョンを示しています。当社は、スマートで効率的、そして人間中心のエクスペリエンスをお客様にもたらすために、最高水準の AI 機能の実現に取り組んでいます。

AI の導入をどこから着手すればよいのか戸惑っている企業に対して、Wachtel が Godson 氏にアドバイスを求めたところ、「とにかく始めてみること」というシンプルな回答でした。Godson 氏は、面接のスケジュール調整のような明確な課題を特定し、早い段階で成果を出すことを勧めています。

人財獲得の変革プロセスは、まだ始まったばかりです。そして Paradox 社とともに、Workday はすでにその先頭に立っています。

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