調査は語る: 人事部門をデジタル化する方法

最近の調査によると、ほとんどの CEO は今後雇用を増やす計画があると回答しています。このブログでは人事部門のデジタル化と「デザイン思考」などの戦略が重要である理由を説明します。

成長は常にビジネスの課題のひとつでしたが、今は成長こそがビジネスの課題となっています。1,200 人のビジネスリーダーを対象に実施された『KPMG グローバル CEO 調査』によると、CEO にとっての最優先事項は成長です。この成長を支えるため、人事最高責任者 (CHRO) や人事部門のリーダーたちの行動が重視される機運が生まれています。調査に参加した CEO の約 80% は雇用を増やす計画があるとし、テクノロジーの投資や変革においては、人財のマネジメントが重要な鍵を握っていると回答しています。

テクノロジーが普及し、より優れた人財の獲得と育成に対するプレッシャーも高まったことで、多くの企業が人事部門のデジタル化と自動化を進めています。これは当然の流れです。Deloitte 社の調査レポート『Global Human Capital Trends 2016』には、「ついに人事部門にも真のデジタル ディスラプションの時代がやって来た」とあります。しかし、この調査では、デザイン思考や適切なテクノロジーを活用して効率化やインサイト獲得に成功した一部の例を除き、多くの人事部門がデジタル エクスペリエンスを完全には活用できていないこともわかりました。

職場でもプライベートでも、時間や場所に制限されない接続性と、簡単で直感的なユーザー エクスペリエンスに対する期待がますます高まる中、人事部門のデジタル成熟度を測る最適な指標はモバイルだと考えられます。Deloitte 社の調査によると、モバイルをコーチングに使用している企業はわずか 7%、時間管理に使用している企業は 8%、リクルーティング活動と候補者管理に使用している企業は 13%、休暇申請に使用している企業は 21% です。

多くの企業に改善の余地があることは明らかです。Deloitte 社のレポートは次のように指摘しています。「人事部門のデジタル トランスフォーメーションは人事部門の意識改革から始まります。接続性、リアルタイムの業務、プラットフォーム、自動化、モバイル ファーストが優先事項となります」

「ソーシャル、モバイル、分析、クラウドなどのツールは従業員に利用されて初めてその価値を発揮します。人事部門が最初に取り組むべきことは、社員のニーズとユーザー エクスペリエンスです」

アクション アイテム

人事部門のデジタル化の初期段階にある企業やまだ着手していない企業に対し、Deloitte 社のレポートでは、まず「人事部門にデジタル ファースト戦略を迫るべき」と勧めており、私たちもこれを重要だと考えています。また、「デジタル企業とデジタル人事部門は、段階的な飛躍ではなく革命的な飛躍をもたらす」としています。

さらにデザイン思考の採用も勧めており、次のように記載されています。「ソーシャル、モバイル、分析、クラウドなどのツールは従業員に利用されて初めてその価値を発揮します。人事部門が最初に取り組むべきことは、社員のニーズとユーザー エクスペリエンスです。プロセス全体にデザイン思考を取り入れることで、新しいデジタル テクノロジーの効果を最大化できます」

Deloitte 社のレポートでは 1 章すべてをデザイン思考に割いており、「簡単に言うと、デザイン思考とはプロセスではなく人やエクスペリエンスを重視すること」と説明しています。デザイン思考は人事部門の変革を実現するうえで非常に利用価値の高い、包括的な手法だと私たちは考えます。

ほかにも Deloitte 社のレポートでは、人事部門のデジタル化について次のようにアドバイスしています。

  • アジャイルなアプローチで人、テクノロジー、プロセスを統合する。最新のソフトウェア開発手法を参考にします。機動力のあるチームで短期間の開発を常に繰り返す手法です。
  • 社内のデジタル早期導入部門に学ぶ。マーケティング部門や業務部門の貴重な経験やベストプラクティスを参考にします。
  • 人事およびエンプロイー エクスペリエンスをリアルタイムで推測する。レポートではこれを、合意されたサービス品質保証契約書 (SLA) のあるシェアード サービスや人事サービス センターの一歩先を行くとしており、「すべての社員がスマートフォンを所持していれば、人事チームは自動化と合理化を図り、リアルタイム性の高いデジタルファーストの業務運営を実現でき、フォームとトランザクションの処理は不要になる」と説明しています。
  • 分析とレポーティングを統合する。これを最初からデジタル プラットフォームの一部にして、リアルタイムのビジネス インテリジェンスを実現します。この方法を使わないと、手作業でレポートを作成することになりますが、それではレポートが完成したときにすでに内容が古くなっています。

進化する人事部門のためのビジネス ケース

上に挙げた項目のほかに私たちが重要と考えるのは、より大きな経済環境を考慮して、人事部門の完全なデジタル化に向けた強固なビジネス ケースを作成することです。KPMG 社の調査によると、CEO の 40% は現在のビジネス モデルの持続可能性に懐疑的です。しかしながら、その 2 倍の数の CEO が今後 3 年間、企業は大きく変わらないと考えています。これを私たちは願望と実行の断絶と見ています。

CHRO という役職は、Chief People Officer (最高人財責任者) や Chief Employee Experience Officer (最高エンプロイー エクスペリエンス責任者) といった役職に進化しつつあります。

この文脈において KPMG 社のレポートは、「ビジネス トランスフォーメーションにはイノベーションやテクノロジー以上のものが必要になることを CEO は理解する必要があります。つまり、組織内部からの継続的な変化と高い柔軟性を受け入れなければなりません」と説明しています。

これまで人事部門はバックオフィス部門だと見られてきましたが、革新的な CHRO は発言力を高め、社内の変革の重要な推進者となりつつあります。さらに、CHRO という役職は Chief People Officer (最高人財責任者)や Chief Employee Experience Officer (最高エンプロイー エクスペリエンス責任者) といった役職に進化しつつあります。

この新しいタイプの人事部門リーダーは、エンプロイー エクスペリエンス (例: 組織のあらゆるレベルにおけるデータの民主化、すべての人事プロセスでの一貫したユーザー エクスペリエンスの提供、行動に結びつきやすいインサイトを獲得するためのアプリケーションの統合) が企業の長期的な財務状態にとって重要である理由をほかのリーダーたちが理解できるようサポートします。このような人事部門リーダーこそ CEO の最優先事項である成長をサポートするのに適任だと言えます。

投稿:  人事

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