人間のスキルを AI で高める

このブログでは以下についてご紹介します。

• 人事とワークフォースの再定義 
• AI が効果をもたらす領域の特定
• AI が人事部門に与える影響

AI は人事部門を大きく変え、組織にメリットをもたらしています。このトレンドは Workday の最新調査 (『人間の可能性を引き出す: AI によるスキル革命』) でも確認できます。たとえば、重要な責務に専念するために AI が役立つと考えている人事部門の回答者は 95% に上ります。

最先端のテクノロジーは、人事部門がワークストリームを加速させ、効率よくインサイトを得て影響力を高められるようサポートします。AI の活用により、人財は常に業務に追われている状態から解放され、余力を確保して戦略的なイニシアチブに注力できます。たとえば、人事・人財獲得部門の回答者の 86% は、AI が人間の創造性を高め、新たな形式の経済的価値を生み出すと考えています。

このようなメリットについて一般に話題に上ることは頻繁にありますが、具体的に検討されることはほとんどありません。このブログでは人事部門の未来に対する当社のビジョンと、AI の導入事例およびその成果についてご紹介します。

ワークフォースの再定義

組織は数値データに基づいて、社員のリクルーティング、獲得、能力開発、オフボーディングにかかるコストを測定します。さらに特定の採用者のパフォーマンスや組織への貢献度に基づいて成果を測定し、功績を評価します。経済的圧力が高まる中、確実にビジネス価値を維持および改善できるように、最適化すべき領域を特定します。

行うべきことは多数ありますが、テクノロジーの進化によって、その一部は人が行わなくてもすむようになりました。たとえば人事プロセスは現在、AI の導入率が高い分野のトップ 3 に数えられています。実際、最近行われた調査によると、回答者の 39％ は人事・採用プロセスに AI を活用していると回答しています。

しかし人事部門の業務は、採用、オンボーディング、能力開発など、多岐にわたります。

ワークフォースに関連するあらゆる業務に関与し、昨今ではデジタル ワークフォースも台頭しています。

人財とデジタル ワークフォースの両方を管理する必要がある人事部門は、両者をひとつのワークフォースとみなすようになっています。これはビジネス環境全体にどのような変化をもたらすのでしょうか。また個人の職務にはどのような影響を及ぼすでしょうか。

変化への対応

AI がそれぞれの職務や責務にどのような影響を与えるかの具体例として、人事の世界では必ず必要となるワークフォース プランニングがあります。

ワークフォース プランニングは AI を導入する領域として最適です。膨大なデータやインサイトを必要とするコア機能だからです。AI は未来や現在のトレンドを容易に分析し、その結果に基づいてアプローチを提案します。このようなインサイトは従来、大量の時間とリソースを投入しなければ得られませんでした。では、AI はどのようにこれを可能にするのでしょうか。

• 🚫高度な分析: ワークフォース プランニングは、主にデータの動向や分析に基づいて結果を導き出します。そのデータは、タイムリーな採用、オンボーディング、教育、プランニングなど、各種業務に活用されます。 
• 💡AI はこれまで管理が困難だった、サイロ化されたシステムの効率性や信頼性を改善します。 
• 🚫継続的な最適化: 従業員の文化、雇用、勤務形態など、あらゆる慣行が変化する中、人事部門は最適化を継続的に進めています。 
• 💡AI を導入すると、ポリシーや施策の更新はニーズに応じてタイムリーに実施できるようになります。既存のシステムやワークフローが足かせになることはもうありません。
• 🚫提案に基づくパターンの特定: 人事部門のデータ環境が人間の特性や行動に依存するものだった場合、複数のシステムに分散している非構造化データや情報の中からパターンやインサイトを特定するのは、非常に重要ではありますが極めて困難です。 
• 💡AI は各種データの統合、編成、解釈を、完璧かつ自律的に実行します。
• 🚫増員の取り組み: 今日の企業と人事部門は、ビジネスを中断させることなく、市場のニーズに応じてシームレスにワークフォースを増員することが求められます。 
• 💡AI はデータを分析してアクショナブル インサイトをリアルタイムに提供することにより、目まぐるしく変換する市場機会を企業が逃すことなく活用できるようサポートします。

AI 導入の機が熟しているもう 1 つの主要な人事領域は社内採用です。AI は大量のデータをすばやく統合できるため、組織内の人財活用をかつてないほど容易にします。

Workday が先日取り組んだ消費財企業も例外ではなく、このメリットを大いに活用しました。社内採用プログラムの複雑さを排除し、既存の人財のスキル セットに重点を置くことにより、リーダーは外部採用よりも社内人財の流動性に目を向けることができるようになります。

社員プロファイルの可視性を強化するシンプルなイニシアチブにより、同社は大量のデータに埋もれていた企業資産を掘り起こしています。この取り組みにより、以下を実現しています。

• 正確な職務名を生成し、社員と空きポジションの最適なマッチングを実現する。
• 職務プロファイルの説明を微調整し、明確なスキル要件を作成する。
• 社員とのコミュニケーションの一環として提供されるオポチュニティ グラフに職務サマリを含めることにより、空きポジションを社内で可視化し、社内人財の流動性を高める。
• 常に変化するスキルや人財の要件を職務プロファイルに継続的に反映させる。

同社の採用チームは、社内人財のスキルに対する新たなインサイトを活用できるようになり、これまで見逃していた人財を発掘して起用しています。その結果、大きなビジネス成果を達成しています。

価値抽出者としての人事部門

「スキル」を例に見ていきましょう。組織は空いている職務を補充するために社員を採用します。職務に必要となるスキルを最優先し、候補者がそのスキルを持っているかどうかをチームは面接で確認します。

しかし組織のチェックリストに含まれる必須スキルは、候補者が持つスキルや経験の一部に過ぎません。組織は人財の隠れたスキルを抽出する方法を見つけることによって価値を生み出すことができます。

Workday の調査で明らかになった重要なインサイトのひとつは、スキルとビジネス価値とのつながりです。候補者や社員は、企業が有効に活用できるスキルを数多く備えています。活用しない手はありません。

以下は人事部門が活用できるスキルの例と、これらのスキルがビジネスにもたらす価値を示しています。

AI が業務を「どのように」行うかを変えていることは疑いの余地がありませんが、「誰が」行うかを変えているわけではありません。社員は自身の能力を最大限に引き出すツールとして AI を活用できます。能力が向上すると余力が生まれるため、社員は自身の多彩なスキルをフルに発揮する機会を確保できます。AI は人間の業務を縮小するのではなく、人間の能力や成果を高めます。

AI が人事部門に与える影響

AI は組織内のあらゆるチームをサポートできます。今日の組織は、従来にはなかった方法でインサイトを抽出し、業務を効率化することができます。人事部門のように多種多様な業務を担う部門では、それがどのような環境を生み出すのか思い描くことが難しいかもしれません。

ひとつずつ見ていきましょう。

• リクルーティング: AI は業務を自動化してインサイトを提供するため、リクルーターは生産性を大幅に高めることができます。先を見据えて候補者を発掘し、アウトリーチを自動化し、提案に基づいて空きポジションに最適な人財を特定できます。その結果、補充にかかる時間を短縮し、採用の質を高めることができます。
• 予測分析: 変化の激しい状況下でもスキルやワークフォースの全体像を継続的に可視化できるため、企業はスキル ギャップが生じる領域を特定し、最も効率的に解消する方法を把握できます。 
• 採用プールの拡大: AI ドリブンな採用ツールを使用すると、公平かつインテリジェントな職務提案を活用して候補者プールを拡大し、多様性に富んだチームを構築できます。
• パフォーマンス管理: 新しいタレント マネジメントを実践すると、移転可能なスキルベースのポートフォリオを作成し、カスタマイズされたラーニングを構築し、自発的・継続的なキャリア開発を促進できます。
• AI によるビジネスの連携: AI エージェントは、ビジネスプロセスの専門家で構成された「チーム」としての役割を果たします。タスクの完了を支援するだけでなく、リクルーティングや後継者育成といった主要な業務をユーザーと連携して進めることも、ユーザーに代わって実行することもできます。
• 人財の育成: AI は個人の目標や予測分析に基づいてキャリアパスを生成し、個人に適したアドバイス、メンター、社内異動機会を提案します。

人事部門が AI を活用する取り組みは始まったばかりです。ワークフォースの能力を高めなければ、業務パフォーマンスを向上させることはできません。

責任を持って戦略的に AI を導入することにより、人事部門リーダーはチームを真の戦略的チームへと変革し、ビジネスを成功に導き、人財の潜在能力を最大限に引き出すことができます。

人事部門の AI 導入に関する詳細なインサイトや、AI 時代にワークフォースから人間的価値を引き出す方法については、Workday の電子書籍をお読みください。