Hilti 社が人事変革によってエンドツーエンドの効率化を実現
このグローバル メーカーは、自社のニーズに対応する人事文書管理システムを見つけられずにいました。同社の人事変革チームが Workday Extend のエキスパートである Kainos 社と手を組み、まったく新しい革新的なシステムを構築しました。
このグローバル メーカーは、自社のニーズに対応する人事文書管理システムを見つけられずにいました。同社の人事変革チームが Workday Extend のエキスパートである Kainos 社と手を組み、まったく新しい革新的なシステムを構築しました。
行き詰まった現状を打開するためのビジネス ケースが明確であっても、変化を起こすエネルギーと切迫感を引き出すことは大きな課題となるでしょう。さまざまな地域にわたる複雑な業務環境に対処するグローバルな企業においてはなおさらです。
Hilti 社はまさにこのケースでした。リヒテンシュタインを拠点とする Hilti 社は、120 か国以上の建設およびビル メンテナンス業界向けに製品を製造販売しています。同社は、2018 年に Workday ヒューマン キャピタル マネジメント (HCM) を導入しました。この変革が成功を収めたため、人事部門はすぐに人財管理および報酬管理ソリューションを追加し、世界中の 32,000 人の社員のサポートを開始しました。
ただし、文書管理は非常に細分化されており、アナログ管理をしている拠点もありました。市場ごとに個別のシステムを使用していたため、SAP、SharePoint、紙の印刷物などが混在していたのです。そこで突然、期限付きのチャンスが訪れました。同社のリーダーが、ローカル拠点で文書の保存に使用していた SAP HR モジュールの廃止を決定したのです。これが、企業全体の文書管理を刷新するチャンスとなりました。
Hilti 社の人事グローバル プロジェクト マネージャである Zuzana Rozkosna 氏は、次のように話しています。「当社に必要な大まかな機能要件については、常に把握していました。私たちが求めていた機能は、文書の作成、電子署名、文書の保存です。すべてをリンクさせ、文書の管理フローもすべて自動化する必要がありました。また、セキュリティ、データ保護、コンプライアンスに関しては、できるだけ手作業を減らしたいと思っていました。当社の最終的な目標は、人事部門の日常業務を複雑化することなく効率化すること、透明性を高めることで社員が自身の文書にアクセスできるようすることです」
「私たちが求めていた機能は、文書の作成、電子署名、文書の保存です。すべてをリンクさせ、文書の管理フローもすべて自動化する必要がありました」
Zuzana Rozkosna 氏
人事グローバル プロジェクト マネージャ
Hilti 社
当初は、同社の人事変革チームに懸念がありました。ひとつのソリューションに絞り込み、大量のカスタム要件に対応することは難しいと感じていたのです。チームは外部のベンダーも検討しましたが、別のソフトウェア システムを導入・管理する必要がありました。また、ユーザー エクスペリエンスに一貫性がない、データ インテグレーションが遅くなる、といった重大な問題が生じる可能性もありました。文書テンプレートのローカル保存や文書アクセス権限のカスタマイズといった Hilti 社のカスタム要件に関する問題は、Workday HCM であってもすぐには解決できないと感じていました。
しかしその後、Hilti 社は、Workday Extend を使用して Workday 内でそうような機能を活用できないかと模索し始めました。そして、Extend アプリの開発リーダーである Kainos 社と手を組むことになったのです。Kainos 社は、同社の顧客の中には文書管理に関する同様の課題を抱えている企業があるということを認識していました。そこで両社は、カスタム アプリを構築して Hilti 社の課題だけを解決するのではなく、Workday 内に堅牢で設定可能な文書管理システムを構築することで合意しました。このアプローチによって、Kainos 社は Hilti 社の要件を満たすと同時に、同じ問題に直面している他の顧客にも役立つ製品を開発することができたのです。
Kainos 社は、Hilti 社の人事変革チームと連携して課題に取り組み、後に Kaino Employee Document Management となるアプリを生み出しました。これは Workday 環境で利用できる最初のエンドツーエンド文書管理製品であり、今ではパッケージ ソリューションとして Workday に認定されています。
「既存システムの活用と一貫したエンドユーザー エクスペリエンスの実現という点で、その潜在的な価値は明らかでした」と Rozkosna 氏は話しています。
「これにより、ひとつのシステムですべてのアプリを構築できます。コンプライアンスを維持できますし、すべての機能要件を満たすことができます。人事管理部門の効率化にもつながり、社員を強化できます」
Zuzana Rozkosna 氏
人事グローバル プロジェクト マネージャ
Hilti 社
ローカル管理、グローバル インテグレーション
変革のビジョンを重視し、Hilti 社と Kainos 社のチームは 3 つの主要な領域 (テンプレート管理、文書作成、文書の保存) に焦点を当てて変革を進めました。
テンプレート管理については、このソリューションによってローカルの人事部門が所有と管理を行えるようになります。グローバルの人事部門や IT 部門による関与は必要はありません。特定のチーム メンバーに対し、指定したテンプレート (さまざまな文書カテゴリ、電子署名タイプ、ワークフロー) へのアクセス権を付与できます。
このソリューションにより、「採用、職務変更、報酬変更、退職、職場での人間関係などの想定されるあらゆるケースにおいて、社員ライフサイクル全体で人事部門が使用するあらゆるテンプレートを作成できます」と Rozkosna 氏は語ります。
テンプレートは Hilti 社のデータベースと完全に連携されているため、文書作成にかかる時間や手作業が大幅に軽減されます。「Workday データはプレースホルダに取り込まれます。必要に応じて、ユーザーは手作業でデータを追加してレビューできます」と Rozkosna 氏は説明しています。「直前で変更することも可能で、文書作成が完了したら電子署名のワークフローに進みます」
署名が完了 (DocuSign とのインテグレーションによって実行可能) すると、アプリ内でテンプレートに入力された情報と文書タイプが認識され、文書が自動保存されます。「つまり、人事担当者は何も操作しなくてよいのです。文書は構造化された方法で保存・表示されます」と Rozkosna 氏は語ります。「人事担当者向けに人事部門特有のカテゴリを使用することもできます。たとえば、社員ではなく人事部門だけが文書を確認することも可能です。また、各文書の表示や変更を行えるユーザーの情報を使用した、非常に詳細なセキュリティ指標を設けています。このレベルはかなり細かく設定されています」
この詳細な設定により、Hilti 社ではスムーズにファイルを凍結し、病気休暇、育児休暇、退職などに関する法的要件や人事要件を満たすことができます。訴訟の際には、「ひとつのボタンを押すだけで、誤って文書を削除したり、法的留保が解除される前に文書が消去されてしまうこともなくなります」と Rozkosna 氏は説明しています。
「この文書管理ソリューションは、当社のビジネスにとって不可欠なものだと実感しています。このユース ケースと経験によって、これを応用できる可能性を見出す道が拓けたのです」
Charlotte Okosun 氏
Hilti 社
今後も続く変革への取り組み
Hilti 社の変革チームは、SAP のサービス提供終了による影響を受ける 11 か国から取り組みを開始して、段階的に Kainos Employee Document Management の展開を進めています。これらの国では、社員は 2022 年後半に新しいソリューションの使用を開始しており、今後 2 年間ですべての展開が完了します。
Kainos Employee Document Management は、人事部門に包括的で効率的なプラットフォームを提供します。これは、コラボレーションと革新的な思考の力を証明するものです。Workday 認定ソリューションとして、Hilti 社のケースと同様に、あらゆる企業における文書管理の課題解決をサポートできます。
Okosun 氏は、同じように変革に取り組んでいる企業に対して「プロジェクト始動に向けて事前準備を行いましょう」とアドバイスしています。「法的要件、文書の保持、データ保護など、国ごとにあらゆる要件を考慮しなければならないことを考えると、これらすべてを管理できるように時間をかけることが重要です」
Hilti 社全体で Kainos Employee Document Management の普及が拡大する中で、事前のプランニングと準備の効果が上がってきています。一方で Okosun 氏は、Hilti 社が将来に対応できる文書管理システムの価値を最大限に活用するという点においては、まだ始まったばかりだと考えています。
Okosun 氏は次のように語っています。「当社では、企業としてこれを応用する方法を模索し始めています。この文書管理ソリューションは、当社のビジネスにとって不可欠なものだと実感しています。このユース ケースと経験によって、これを応用できる可能性を見出す道が拓けたのです」
さらに読む
人々が一同に会する Workday Rising 2024 にご参加ください。貴重なコネクションを構築し、AI イノベーションを確認し、ビジネスを長期にわたって前進させる最先端の戦略について意見を交換できます。Workday の最高マーケティング責任者を務める Emma Chalwin が詳細を説明します。
Workday の最高学習責任者を務める Chris Ernst が、Workday のスキルベース人財戦略への移行を経験したことから得たインサイトを共有します。
当社は McKinsey 社の 2 人の専門家にらせん型組織モデルについて話を伺いました。このモデルが流動的なビジネスの需要に適応できるワークフォースの育成にどのように役立つかをご確認ください。