人間中心主義の重要性: 人財戦略に共感が必要な理由
純粋なデータドリブン型の人財管理は、共感、信頼、意味のあるつながりを重視する、今のワークフォースプログラムへと移行しつつあります。
純粋なデータドリブン型の人財管理は、共感、信頼、意味のあるつながりを重視する、今のワークフォースプログラムへと移行しつつあります。
このブログでは以下についてご紹介します。
私の人生で取り組むべき仕事は、人を通じて組織の潜在能力を最大限に引き出すことです。産業組織心理学の博士課程で科学的な研究を行い、30 年間にわたるリーダーシップ経験では個人の成長を目的とした人財戦略を通して、ビジネス戦略を推進してきました。科学と人財の成長という 2 つの要素のバランスを保ちながら、組織の潜在能力を引き出しています。このブログ シリーズでは、人事担当者として皆さんに寄り添い、常に先を見据えてビジネスを前進させるために、人事部門における最も重要な課題と機会について説明します。
現代の職場環境の人財担当者は、二極化した世界で生産性を新たなレベルに引き上げ、信頼の文化を育む戦略的パートナーへと進化しています。今日の人事部門の役割はさらに拡大し、テクノロジーも導入しています。SHRM による最新の調査では、最高人事責任者 (CHRO) の 90% が、職場における AI インテグレーションを 2025 年にはこれまで以上に、または大幅に拡大する予定であると述べています。
これは数年前には想像もできなかった方法により、エンプロイー エクスペリエンスを形成できる絶好の機会となります。また、人財領域における極めて重要な瞬間でもあります。AI の台頭により、働き方が変わるだけではありません。なぜ働くのかという問いの再定義も突き付けられています。その答えの本質は、社会的なつながりにあります。
社会的なつながりが豊かな環境で社員が活躍できるようにすることは、社員と組織の両方に永続的な効果をもたらします。大手企業では、人間的なつながりを重視しながら、社員がこの変化に順応できるようにしています。ここでは、その詳細について解説します。
AI は、業務に関するすべての知識や活気ある職場の構築方法に影響を与えています。リーダーにとって AI は、役割を再定義し、まったく新しい方法でワークフォースを前進させる原動力となります。
焦点は移りつつあります。これまでは意思決定を促進するためにインサイトを収集してきました。例えば、人事部門のビジネス パートナーは、手動でフィードバックを収集して、新たなスキル ギャップを把握した後、部門長と協力して社員のレベルアップ計画を設計してきました。現在では、エージェント型 AI を使用すれば、直接人間が介入したり、社員自身から意見を聞いたりしなくても、システムがスキル ギャップを自律的に特定できるようになります。この例では、インサイトの収集から変革の導入へと直接的に移行していますが、重要な要素である「人財」が考慮されていません。
社員間のコラボレーションにより業務を成し遂げるのではなく、社員に代わって業務が処理されるようになると、何が起こるのでしょうか。私たちは、社会的つながりの強固な基盤を維持するために欠かせない、信頼、関与、透明性を強化するチャンスを見逃しています。
Workday の最新のグローバル調査「人間の可能性を引き出す: AI によるスキル革命」では、一般社員の 82% が「AI の使用が拡大するにつれて社員は人間的なつながりを求めるようになる」という仮定に同意している一方で、マネージャではこの割合が 65% にとどまっています。AI の導入が進むにつれ、人間的なつながりの重要性が高まっていることを、マネージャは過小評価しているようです。
これは単なる数字ではありません。大きな分断を明らかにする、社員からの明確なメッセージです。社会的つながりの構築を優先しなくなると、組織は、社員と企業にもたらす多大な価値を置き去りにしてしまう可能性があります。
テクノロジーにより効率化が実現しますが、人間同士のつながりは意欲を高め、最終的には利益をもたらします。
話を聞いてもらえた、理解してもらえた、認められたと感じることは、社員が業務で得られるポジティブな感情体験の重要な要素となります。実際、ヒューレット パッカード (HP) 社が実施した最新の調査では、共感力や感情を理解する能力が高いリーダーのもと、健全な社員エンゲージメントと充実感を得られる職場で働けるのであれば、従業員は 11% の減給も受け入れると報告しています。
あらゆる業界の組織が、水面下でエクスペリエンスを向上させる新しいテクノロジーを導入していますが、社員に持続的な影響と感情的つながりをもたらす競争上の優位性は、人財を変革の中心に据えることです。信頼、コラボレーション、共通の価値観は、社会的つながりが豊かな環境を作り出す重要な要素となります。
Workday は、人事部門の事務管理と影響力を推進するために設立された企業です。Workday では、人財に対するアプローチの背後にある基本理念を再検討しました。再検討することで、社員だけでなくビジネスもサポートする持続的な影響力をどのように創出しているのかについて、理解を深めることができました。
最近締結した Talent Strategy Group (TSG) 社とのパートナーシップにより、Workday の PEOPLE & PURPOSE の組織は、エグゼクティブ チームとともに、ビジネスにおけるあらゆる人財育成活動の「真の目標」となる、人財理念を定義するプロセスを主導しました。これは、人財を最も効果的に育成、管理し、ビジネス戦略を実現する方法において、Workday と社員間で交わしたコミットメントと捉えることができます。また、人財の採用、能力開発、評価、報酬、意欲に関する指針を示しています。
TSG 社の方法論を参考に、基盤の構成要素を特定して、それらを Workday の文化とビジネスニーズに適した方法で適用しました。
パフォーマンス: 成功とパフォーマンス不足をどのように定義し、評価するのか。
行動: Workday の文化に欠かせない価値観と行動とは。
差別化: 優れた貢献をどのように評価し、報いるのか。
透明性: 社員とどのような情報を共有するのか、またパフォーマンスやキャリアアップについてどの程度オープンであるべきなのか。
説明責任: パフォーマンスやレベルアップを推進する上での、マネージャと社員の役割と責任とは。
レベルアップ: 企業でのキャリアアップに必要なスキルや経験を明確にするにはどうしたら良いのか。
明確な人財理念があれば、人間中心の実践を実現して、より賢明な意思決定、リーダーへの権限の委譲、信頼と透明性の構築、人間の潜在能力の開花が可能になり、適切な人財を惹きつけることができます。
すべての組織がこの考え方を完全に導入し、ワークフォースに適用できるわけではありませんが、実践する組織は現在と将来の両方において、これらを実現しその他のメリットを得られるようになります。
実際のところ、共感は簡単なことのように思えます。社員を大切にすることは、組織の効率性を高めるために基本となる姿勢です。しかし、利用できるデータに深さと幅広さがあれば、組織は基準を超えた有意義な人財エンゲージメントを得られるようになります。
上記の 6 つの要素を重視するには、「職務を成し遂げる」ワークフォースという標準的な概念を超え、人間を最優先にした、新しいパフォーマンス観を確立する必要がありました。共感がなければこれを実現することはできません。
2024 年に発行された Workday のグローバル ワークフォース レポートによると、すべての業界の 45% で全体的なエンゲージメントが低下しました。解雇、賛否両論のあるオフィスへの復帰 (RTO) に関するポリシー、成長の鈍化による長引く影響を考慮すると、これは驚くべきことではありません。一方で、ロイヤルティが危険にさらされているという、残念な真実も明らかになりました。
ロイヤルティの主な推進要因には、成長、明確な戦略に対する信念、公正な報酬などがあり、これらはすべて Workday の人財理念において最も重要なことです。一方、達成感はわかりやすい二次的推進要因であり、社員に有意義な仕事を提供しているかどうかで大きく変わります。「仕事量が多すぎる」と感じる場合でも、有意義な仕事をしていると考えている従業員は、そうでない従業員よりも達成感を感じる割合が 37% 高くなっています。これは社員のエンゲージメントやロイヤルティを維持するためには、有意義な仕事や達成感が極めて重要になることを意味します。
さらに、HP 社の最新の調査では、業務におけるリーダーの共感力が、社員の幸福度、キャリアアップ、定着率に大きな影響を与えていることも明らかになりました。「経営幹部の共感力」スコアの質問に対する回答は次のとおりです。
72% が、自身の幸福度に良い影響を与えると回答。
71% が、キャリアアップに良い影響を与えると回答。
72% が、企業に定着する意欲に良い影響を与えると回答。
つまり、ワークフォースのエンゲージメントが高まれば、生産性も高まることになります。業務で関わるのは社員だけではありません。社員に関連する人たちとも関わっています。
有意義な仕事をしていると考えている従業員は、そうでない従業員よりも達成感を感じる割合が 37% 高くなっています。
人財理念を確立することで、リーダーは人財のレベルアップとビジネス目標の優先順位とのバランスをとれるようになります。人財理念を組織に取り入れることを検討する際は、次のことも考慮しましょう。
人間的なつながりをコア ビジネスの戦略として優先する。
企業の価値観とビジネス戦略を、人財の獲得、育成、維持、パフォーマンスの最大化を実現する方法に結び付ける、人財理念を確立する。
リーダーが共感を通じて包括的な環境を構築できるようにサポートする。
このような重要な戦略による、組織と社員間の人間的なつながりは、成功、信頼、エンゲージメントに欠かせないものとなります。未来のワークフォースを育成するために、Talent Strategy Group 社と Workday の取り組みの全容を今すぐお読みください。
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