Workday 採用動向レポート: 「大量に在職中」の人々が「大量離職」の構えを見せている

Workday のお客様から得た指標は、雇用を抑制する傾向がまもなく終息する可能性を示唆しています。それが組織の人財戦略に与える影響に加え、「社員を定着させること」が新たな「採用」になる理由を探ります。

採用動向に影響を与えるのは、経済情勢だけではありません。仕事に対する姿勢やワークフォースの異動、今後の労働市場の変化を乗り切る準備が整っている業界であるか否かも、採用動向に反映されます。当社の最新レポート「Workday 採用と人財に関するトレンド」のインサイトは、採用の減少、離職率の低下、社内の異動停滞により、社員は不安を感じ、新たなスキルの見せ場や習得を望んでいることを示唆しています。 

高いパフォーマンスを発揮するワークフォースを構築し、社員が競合他社に流出しないようにするために、人事部門リーダーは社内人財の流動性を高め、社員の声に耳を傾け、プロセスとツールを改善する必要があります。それはなぜでしょうか。

採用環境は変化の兆しを見せています。採用は 2024 年は安定すると見られており、雇用市場の動きは再び労働者に有利に傾く可能性があります。 

2023 年には自己都合の離職が激減し、在職期間が延びる方向に変わってきました。これまでのところ、社員は職場に長くとどまることで、それぞれの役割や組織により大きな価値をもたらしていますが、状況が一変すると、高い業績を上げていた社員が大量に退職してしまうリスクが高まっています。 

社内人財の流動性が低下しています。多くの場合従業員は、組織内で思うようにキャリアアップできないために意欲が低下し、そんな中、他で活躍できる機会がめぐってくると離職します。

人事リーダーが今後どうするか次第で、これは様々な意味で最悪の事態にも、また成功のための絶好のチャンスにもなります。活用しきれていない社員の活力、知識、経験は膨大にあるので、貴社ではそのような評価をされている社員も、競合他社にとっては大きな資産となる可能性があります。

Workday リクルーティングで処理された職務補充依頼の件数の減少率は、2023 年上半期から下半期にかけてわずか 2% でした。これは、2024 年に採用が安定する可能性を示唆しています。

パフォーマンスが高い人財を確保する

社員の意欲を高め、高いパフォーマンスを維持するために、当社は社員の定着化を新たな採用活動につなげる 3 つのことを推奨しています。

  • 社内人財の流動性の調整を行う。 社内人財の流動性を受け入れる文化を上層部が先導するべきです。  社員のスキル セットと機会を一致させる際の摩擦をなくし、社員とそのマネージャに明確な情報を提供する自動化ツールを使用することが重要です。
  • 耳を傾けることで、再度意欲を引き出す。 パンデミックの際には、多くの組織が従業員のニーズに耳を傾けることに尽力しましたが、最近ではそのことを忘れたかのような企業も目立ち始めています。  社員の懸念を把握し、その懸念に対処するための具体的な施策を示しましょう。
  • AIや自動化の機会を踏まえて、自社のツールやプロセスを見直す。 人財は最も重要な資産ですが、人財を管理し育成するためのプロセスやツールをしっかり見直しましょう。仕事の進め方、社員の採用方法、社員のエンゲージメント、社員の懸念事項の共有方法などから摩擦を取り除くことができれば、組織はより望ましいものになるはずです。

Workday のお客様は、米国で月平均約 2,216,000 件の求人情報を処理しており、これは米国の全求人情報の約 24% に相当します。

機会: 社員を育成するか、社員を失うか

企業は現在、長年経験を備えた人財の宝庫であり、状況は変化しようとしています。今こそ、より高いパフォーマンスを発揮し、より意欲的な人財を育成するチャンスです。そこで当社のレポートでは、採用が低迷する中、Workday が人財と業績を伸ばしてきた事例を紹介しています。 

当社がお客様にとって望ましい影響をもたらした事例を、以下にいくつか紹介します。

  • ワークフォースについて人財とパフォーマンスの理念を見直すことで、従業員の生産性と意欲が向上。仕事のキャリアアップに不満を持つ社員が 35% 減少しました。エグゼクティブ コミッティのメンバーとそのチームを集めた徹底的なプロセスを実施し、パフォーマンス、差別化、透明性、説明責任、能力開発、行動という 6 つの次元から人財強化に取り組みました。この事例では、個人の成長に対する認識の改善など、当社の取り組みとその結果を紹介しています。

  • 社員のキャリアと能力開発の機会をビジネス戦略に反映。社内採用者は、社外採用者に比べて、新しい職務で「最優秀社員」と評価される確率が 82% 高くなりました。監視機能に支えられた一連の改革を実施し、社内人財の流動性プログラムを拡大しました。

  • フレックス勤務を導入。社員の 4 分の 3 がフレックス勤務に関する同社の目標に賛同しており、毎日さらに多くの社員がフレックス勤務に移行しています。また、柔軟性、意欲、リモート勤務の選択肢に関する社員のセンチメントは、社員の声を聞くツールである Workday Peakon Employee Voice で改善されました。Workday では、全社員がセルフサービスのダッシュボードにアクセスできるようにし、オフィスでの勤務時間を簡単に測定したり、オフィスの利用状況の変化を時系列で確認したりできるようにしました。

今こそ行動を起こす時です。当社の指標は、求人市場に変化が訪れる可能性を示唆しています。この環境で成功するためには、企業は迅速かつ決断力を持って行動しなければなりません。企業は互いに学び合い、人財の能力を最大限に引き出す新たな戦略を採用することで、すべての社員に明るい職場環境をもたらす絶好のチャンスです。

さらに詳しく: Workday の顧客指標から示唆される採用と昇進の動向

アメリカ合衆国労働省労働統計局のデータによると、2023 年の求人件数は月平均 9,351,000 件でした。Workday のお客様は、米国で月平均約 2,216,000 件の求人情報を処理しており、これは米国の全求人情報の約 24% に相当します。Workday のデータセットは、その規模と品質の高さによって、現在のグローバルな採用トレンドをより正確にリアルタイムに理解する上で役立ちます。

全体的な採用動向: 採用は依然として 2022 年の水準を下回っています。 

2023 年、Workday リクルーティングのお客様は次のような処理を行いました。

  • 3,600 万件の職務補充依頼 (2022 年比 13% 減) 
  • 2 億 8,400 万件の応募 (2022 年比 32% 増)
  • 2,500 万件の内定と雇用契約 (EA) (2022 年比 9% 減)

ポイント: Workday リクルーティングで処理された職務補充依頼の件数の減少率は、2023 年上半期から下半期にかけてわずか 2% でした。これは、2024 年に採用が安定する可能性を示唆しています。

業界全体の採用動向: 2023 年の業界全体の採用は引き続き減少しているものの、減少率は減速しており、採用の停滞も終息の時が近づいていることを示しています。

小売業界は回復基調にあり、ヘルスケア業界は求人数を伸ばしています。

  • 小売業界は、2022 年との比較では求人数の減少はわずか 7% にとどまり、最も早い回復軌道にあります。
  • ヘルスケア業界では引き続き、労働市場全体の採用情勢とは逆行した傾向が見られます。2022 年と比較して求人数が増加したのは、求人数上位 5 業種の中でヘルスケア業界のみでした。 

業界別インサイト、グローバル採用動向の概要、採用環境の停滞がワークフォースの多様性に与える影響については、レポート全文をご覧ください。

当社の事例に関する詳細や業界・地域別の詳細な指標については、最新レポート「Workday の採用と人財のトレンド: 人材定着が新たな採用活動」をダウンロードしてご確認ください。または、HR リーダー向けの「リーダーシップの見解ハブ」をご覧ください。

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