COVID-19 以前のデジタル化のプロセスと、感染拡大が始まった時期の状況についてお話しいただけますか?
危機によって何もかも変わりました。まさに一夜にして状況が一変したのです。3 月初旬からは買い占めが発生していました。店舗では商品の補充がまったく追いつかない状態でした。オンライン ショッピングの隆盛は、弊社のデジタル面でのビジネスを飛躍的に拡大させることになりました。非食料品と食料品の両方について、オンライン ショッピングのキャパシティを拡大しました。今後もオンライン取引の好調は続くと思われます。特に机、ノートパソコン、部屋着、ガーデン家具などの需要は続くでしょう。
感染拡大以前からすでに弊社はかなりデジタル化が進んでいました。オフィスは 2 つの敷地に 8 棟のオフィス ビルが分散した環境です。そのオフィスで働く 8,000 人とコンタクト センターの社員数百人が、突如として在宅勤務をすることになりました。そのようなわけで、デジタルへの移行はあっという間でした。すでにオンラインでの業務は導入されていましたが、デジタル対応はさらに加速しました。ほんの一部のオフィスはとりあえず開けてはいましたが、出社している社員は僅かです。そんな最中、思い切った決断をして Workday の稼働を開始することにしました。このデジタル トランスフォーメーションは困難ではありましたが、それだけの価値のあるものでした。在宅で働くチーム全員と協力しながら、すべてを完全にバーチャルで行いました。
危機の最中に Workday ヒューマン キャピタル マネジメントと Workday 給与計算を導入しました。これらを導入したことで社員の管理方法はどのように変わりましたか?
真っ先にあげたいのは、Workday によってモバイル環境が最適化されたことです。弊社では、18,000 人のパートナーを一時帰休とし、8,000 人のパートナーを在宅勤務にしました。また、普段とは別の店舗で働いてもらったパートナーが数千人おり、Waitrose のチームには国民に食料品を提供するために全力で働いてもらいました。どこからでも給与明細が見られ、どこにいてもタイムシートを確認でき、銀行口座の変更ができるなど、本当に役立った実例がいくつもあります。従来使用していたテクノロジーではこれほどまでに柔軟でアジャイルな方法で対処することはできなかったでしょう。
すべてが簡単に運んだわけではありませんでした。事務手続きのサポートチームは平常時の倍以上のリクエストを処理する必要がありました。これはコロナ危機のためもありますが、働き方の変更のためでもありました。多少の紆余曲折はありましたが、デジタル化によるメリットを実感しています。
COVID-19 の影響により、ビジネス、さらには私たちの働き方も大きく変化しようとしています。この点についての見解をお聞かせください。また、御社の働き方は今後どう変わっていくと思われますか?
ロンドンの本社で働く 2,200 人が戻ってくるまでには、まだだいぶ時間がかかるでしょう。働き方や働く場所と時間などについては、今後さらに選択肢を増やして行くことになると思います。今回の危機を経験して、柔軟な職場環境にいかに多くのメリットがあるかということを企業はようやく理解しました。オフィス空間は、新たな発想でコラボレーションに適した場所に生まれ変わり、そのときにはソーシャル ディスタンスの考え方が取り入れられるはずです。またデパートのビジネス モデルについても引き続き考え直す必要があります。お客様がニューノーマルに慣れた後にデパートがどのようになっているかについて語るのは時期尚早ですが。製品自体に組み込まれた優れたアジリティとイノベーションによって、Workday は今後も私たちを支えてくれるでしょう。
これは今回の危機ですでに実感しています。危機の間、働き方がさまざまに異なる従業員たちの給与計算や勤務時間の変更に何度も迅速に対応する必要がありましたが、Workday のアジリティによってそれが可能になりました。この秋には、リクルーティング、タレントとパフォーマンス、ラーニングについても稼働を開始する予定です。これは人事チームをまるごと手に入れるのにも匹敵します。リソーシング モジュールによってさらに柔軟な採用が可能になるでしょう。このような不確実な時代にこそ、これが必要であることを認識しています。また、人々がさまざまな地域に分散して働いている今、タレント モジュールを使うことで、人財の潜在能力を発見して育てることができるようになるでしょう。
おそらくは最も困難な時期に Workday を導入されたわけですが、もう少し事態が落ち着いてから人事部門の変革をしようと考えている企業に対して何かアドバイスがありますか?
大勢の従業員が分散して働いている状況であれば、Workday のトレーニングにどれぐらいの労力を割くのか、それにどれぐらいのリソースが必要になるかをよく考えた上で、その 2 倍を確保してください。というのも、従業員が早く Workday を使えるようになるための投資がいかに大切かを実感することになるからです。 不確実な時代におけるプログラムの推進という観点では、なにか意思決定をする際にはできるだけ広い視野を持つことが必要になります。どんなにささいなアドバイスやインサイトでもできる限り取り入れ、最善の決断を下してください。未来に備えるには過去に学ぶしかありません。確かアーサー・コナン・ドイルの言葉に「事が済んでから悟るのはたやすい」というのがあります。リーダーとして最善の決断を下し、その時点で手に入るデータを最大限活用するようにしてください。