2025 年版として最適化した採用戦略テンプレート

最近の人財採用では、競争の激化と採用の複雑化が進んでいるだけでなく、人財補充の切迫度も高まる一方です。したがって、人事部門のリーダーに求められるのは、明確で柔軟性の高い戦略的な採用計画です。これを活用してスマートに採用を行い、変化に強いワークフォースを構築する必要があります。

カメラをまっすぐ見て笑っている男性

2025 年現在、人財採用市場は明らかに、企業優位の状況に戻っています。Workday のグローバル ワークフォース レポートによると、応募数が採用需要を上回っており、テクノロジーや通信などの競争が激しい求人市場では、1 件の求人につき 30 件以上の応募が集まっています。つまり、採用に関する決断が企業の業績に響く例が増えており、しかもその影響はより直接的になっています。

これに対し、人事部門のリーダーは一歩引いた観点から、より戦略的な計画を構築しています。そのためリーダーは、自らに求められる能力、これまでに習得したスキル、ビジネスに合わせて柔軟に対応できる採用計画の策定方法など、より厳しい問いを自問するようになっています。

人事部門のリーダーと採用チームは、明確な目標を立てたうえで戦略を策定する責任、さらには今後何年にもわたって企業を成功に導くことができる人財を採用する責任を負っているためです。そこで以下のセクションでは、次のような採用計画を策定するための実用的なフレームワークについて説明します。ビジネス界が進化を続ける中、変化に対して機敏に反応し、スキル重視で、変化に強い組織を築くための計画です。

2025 年は、応募数が求人数を上回っている企業優位の市場です。採用チームにとって、目的に沿った人財採用、戦略的な人財採用に取り組むべきときが来ています。

戦略的採用計画とは

戦略的採用計画とは、企業にとって最も重要な目標を達成するために必要なワークフォースを育成するための、将来を見据えたロードマップを文書にまとめたものです。人財に関する意思決定は、ビジネス上の優先事項に直結します。そのためには、役割の要件やスキルギャップを特定し、新規採用・スキル向上・社内人財の活用などにより、潜在力の高い候補者にどうアプローチするかを見極める必要があります。 

離職率に一喜一憂し、ヘッドカウントのトラッキングに終始するよりは、適切な採用戦略計画を策定すれば、組織は目標に基づいて行動し、変化にもうまく対応できるようになります。強固な戦略的採用計画では、次のような質問に答える必要があります。

  • 今後 6 ~ 12 か月間で最も重要となるビジネス上の優先事項とは? 
  • 長期的な目標とは?
  • 短期的、長期的な目標をサポートするために、どのようなスキルや能力が必要なのか?
  • すでにどのような人財が社内におり、どこにギャップがあるのか?
  • 外部から採用する前に、社内の人財をどこで活用できるのか?
  • よりアジャイルかつ包括的に、データに基づいて採用する方法とは?

適切に実行された戦略的採用計画は、人財データやビジネス戦略のほか、経営幹部、人事部門、財務部門、オペレーション部門から得られた部門横断的な意見を統合し、スマートで体系的な採用決定を導きます。

2025 年の採用戦略を形作るトレンド

採用に対する考え方は変化しています。職務名に基づいて役割を補充したり、厳格な組織図に固執したりする従来の方法は、もはや通用しません。今日において最も効果的な採用戦略は、アジリティやインサイト、業務を実際にどのように進めるかについてのより深い理解を通して、具体化されます。以下に示す 5 つのトレンドは、人財採用の未来を方向づけるものであり、戦略的な計画を構築する際の指針となります。

トレンド 1: 固定化された役割よりもスキルを重視

肩書よりも、持っているスキルが重視される時代になりつつあります。企業が求めているのは、募集要件を形式的に満たしている履歴書というよりも、むしろビジネス目標に沿った実質的な能力です。人事担当者も同意しており、Workday のグローバル スキル状況レポートにより、86% がスキル プロファイルに基づいて、候補者を採用することに抵抗がないことがわかりました。

スキルベースの採用では、肩書を重視するのではなく、チームの目的に応じて業務を再編成します。こうすると時間の経過とともに、変化に対するチームの順応性が向上するとともに、組織再編やイノベーションに臨むための柔軟性が向上します。また、従来の資格は持っていなくても、大きな価値をもたらす、より幅広い多様な候補者を獲得できる可能性もあります。

トレンド 2: 最初の選択肢としての社内人財の流動性

社内で役割を埋めることは、士気を高めるだけでなく、ビジネスにも良い影響をもたらします。時間とコストを削減し、オンボーディングを加速させ、組織内の知識を高めます。Workday の調査によると、人事部門のリーダーの 67% が社内人財の流動性が組織にプラスの影響を与えており、社内採用者は優秀な人財として評価される可能性が 80% 高いと回答しています。このことは、イノベーションや組織の成長などの取り組みを加速させる上で、非常に大きな意味を持ちます。 

社内人財の流動性を促し、実現するために、組織は現在のワークフォースのスキルを把握し、チーム内の既存人財の異動、開発、信頼を促進する文化を築く必要があります。

社内採用者は優秀な人財として評価される可能性が 80% 高く、人財を活用したビジネス成長を促進する上で重要な役割を果たします。

トレンド 3: AI を活用した Workday リクルーティング

人事部門における AI は、採用担当者や採用マネージャがより迅速かつスマートに行動するのに役立ちます。最も適した候補者の発掘から初期段階のスクリーニングの自動化まで、 AI により採用までの時間を短縮し、採用プロセスにおけるバイアスを排除できます。人間の知見と組み合わせることで、候補者と採用チームにとってより合理的でパーソナライズされたエクスペリエンスが生まれます。

人事部門の AI パイオニアの半数以上 (54%) が、特にパフォーマンスやスキルの管理、人財採用などの主要領域において、AI は人事部門チームの戦略的価値の向上に役立つと考えていると、Workday に語っています。

トレンド 4: 柔軟なチーム設計

固定的な役割分担は、もはや実際の仕事の進め方に合わなくなっています。優先順位が変わると、チームはそのたびに組織図を作成し直すことなく、迅速に再構成する必要があります。そのため、従来の職務機能だけでなく、業務そのものを中心に、役割を立案している組織が増加しています。

採用の場合においては、役割の定義方法と範囲を再考する必要があります。離職した社員の後任を探すよりも、リーダーは「チームが今すぐ実現すべきことは何か?」と問いかけるようになっています。これにより、ハイブリッド型の役割、短期間の任務、または職務機能間で柔軟に対応できる幅広いスキルベースを持つ人財の採用が可能になります。

トレンド 5: リアルタイムのワークフォース インサイト

古いデータを使用したワークフォース プランニングでは、機会を見逃す可能性があります。今日の採用戦略は、人、パフォーマンス、ビジネスニーズに関する、最新かつ一本化された情報にアクセスできるかどうかで、大きく左右されます。リアルタイムのインサイトは、 ワークフォース管理、予算調整、候補者の優先順位付けなど、チームがより適切な意思決定を行うのに役立ちます。

2025 年の採用戦略フレームワーク

今こそ戦略を実行するときです。このセクションでは、採用戦略フレームワークについて説明します。6 つの重要な要素を中心に構成されているので、ステップごとに説明していきます。柔軟性とスキルを重視し、ビジネス目標に沿った計画を策定する上で、各構成要素が具体的な役割を果たします。

以下に示すセクションに従ってアプローチを定義し、採用プランニング プロセスの柱となる決定事項を文書にまとめて行きましょう。向こう 1 年間の計画を策定する場合でも、サイクルの途中で見直す場合でも、以下の構成要素を盛り込むことで、明確で一貫性のある計画を策定できます。

    1.ビジネス目標

企業が達成しようとしている成果に焦点を合わせて、採用戦略に着手します。明確な目標を設定することで、最も重要な役割を優先させ、人財プランニングと成長の足並みをそろえることができます。

  • 今後 6 ~ 12 か月間の上位 3 つのビジネス目標とは?
  • どの役割やチームが目標に直接結び付けられているのか?
  • 採用により、それぞれの目標がどのように促進、サポートされるのか?

効果的な採用は、調整から始まります。ビジネス目標と優秀な人財の優先事項とのつながりを明確に定義することで、事後的な意思決定を回避し、成長をどこでどのように実現するのかに、焦点を当てることができます。このステップでは、補充予定の各役割の背後にある「理由」を具体化します。

      2. 人財インベントリとギャップ分析

目標が明確になったら、現在の状況を評価します。このステップは、すでにあるスキルと、ギャップを埋める必要があるスキルをマッピングするのに役立ちます。

  • 現在、チームにはどのような能力があるのか?
  • 実行を遅らせかねないギャップはどこにあるのか?
  • まだ活用できていない強みが隠れていないか?

これをスキルの基準として考えます。網羅的である必要はありませんが、何が機能していて、何が欠けているのか、開発することで何が可能になるのかに、焦点を当てる必要があります。スキルの棚卸を正直に実施することで、柔軟な戦略が立てられるようになります。また、スキルの向上や社内人財の流動性によってギャップを埋められる場合は、外部からの過剰な採用を回避できます。

    3.社内人財の流動性に関する戦略

社内の人財を昇進させると、業績が上がることに加えて離職率も下がるという、両面での効果が期待できます。そこで、社内人財の流動性戦略を明確化することで、ワークフォースを最高の人財パイプラインに変えることができます。

  • 社内昇進や異動の有力候補となる役職とは?
  • 社員はどのように募集している役職を見つけ、興味を示すのか?
  • 流動性をサポートする上でのマネージャの役割とは?

社内人財の流動性計画が確立されていると、社員は組織内で新たな機会を見つけ、追求し、準備できるようになります。まずは、社内の募集情報を誰でも簡単に見つけて応募できるよう、透明性のある仕組みを整えましょう。次に、イネーブルメント、つまりリーダーが人財を早期に特定して、異動をサポートし、チーム全体を調整する方法に焦点を当てます。

人事部門の AI パイオニアの半数以上 (54%) が、 AI は人事部門チームの戦略的価値の向上に役立つと考えていると、Workday に語っています。

    4.ソーシング戦略

すべての役割に同じアプローチが必要になるわけではありません。このセクションでは、大量採用からニッチな人財の発掘まで、適切な人財をどこでどのように見つけるかについて説明します。

  • 外部ソーシングが必要なのはどの役割で、その際どのチャネルを利用すべきなのか?
  • これまで優秀な人財をどこから採用してきたのか?
  • 目の前の人員補充で完結するのではなく、長期的な人財パイプラインをどのように構築するのか?

効果的なソーシング戦略とは、多くの場合、常時有効なパイプライン、社員紹介プログラム、求人サイトや LinkedIn のようなプラットフォームでのターゲットを絞ったアウトリーチを組み合わせたものです。重要な役割や補充するのが難しい役割については、積極的にソーシングを検討し、ゼロから始める前に過去の候補者も再検討してみます。 

企業ブランドはここでも重要です。アウトリーチには、どのような企業であるのか、候補者がなぜ関心を持つべきなのかを反映させる必要があります。ソーシャル メディアでの露出により、どのような価値がもたらされるのかを考慮し、一貫したトーンが反映されるように職務内容を更新します。

    5.テクノロジーと AI

適切なツールを使用することで、人間味を失うことなく、より効果的に人財を獲得できるようになります。このステップは、AI を活用した採用ツールでスマートな人財採用に置き換えるものではなく、テクノロジーを活用して強化するための計画です。

  • どの手動ステップを自動化で簡素化できるのか?
  • AI はどのようにより良い意思決定をサポートできるのか?
  • 現在の応募者トラッキング システムとうまく統合できるツールとは?

候補者の発掘からオファーの承諾まで、採用ライフサイクル全体に対応できるツールを探します。AI は、最適なプロファイルの優先やスケジュールの自動化に役立つほか、大規模なタレント プール全体にわたってインサイトを明らかにします。さらに最近では、 AI エージェントがワークフォースのモニタリングなどのプロセスを自律的に実行するため、チームは候補者や社員のエンゲージメントに集中できます。

しかし、人間の判断が依然として中心的な役割を果たしています。チーム能力の強化、プロセスにおけるパーソナライズや公平さの維持を可能にするテクノロジーを選択する必要があります。

    6.指標と評価

戦略的計画は、その効果をトラッキングする能力が備わっている場合にのみ強力なものとなります。このステップにより、採用の成果が可視化され、アクションにつなげることができます。

  • 速度と質の両方を反映する指標とは?
  • どのくらいの頻度で戦略を見直し、再調整するのか?
  • 6 か月後や 1 年後の成功はどのようなものか?

強固な評価システムの確立は、補充までの期間、採用の質、定着率など、効率性と有効性の両方を反映する重要業績評価指標 (KPI) を選択することから始まります。しかし、指標だけでは不十分です。ルーチンを構築して、何がうまくいっているのか、どこに摩擦が生じているのか、目標の変化に応じてどのように順応するのかについて、確認する必要があります。これは、時間の経過とともに採用をよりスマートにする方法です。

2025 年の採用戦略の実行

採用戦略は、意思決定を具体化し、優先順位を明確にして、実行を改善するときに価値をもたらします。独立した文書としてではなく、ビジネスの一部として扱われる場合にのみ価値を発揮します。

ここで説明したアプローチにより、組織は体系的に計画を立て、目的を持って人財を採用し、人財における決定事項をビジネス成果に結び付けることができます。これにより、チームは推測ややり直しを排除しながら、能力、タイミング、順応性といった重要事項に集中できるようになります。

戦略を適切に実行すれば、役割の範囲設定、候補者の評価方法、採用効果の測定方法に一貫性が生まれます。また人財採用を、目標の達成や成長の促進を実現するための安定した手段に変えることができます。

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