多世代型ワークフォースの管理に役立つ 7 つのヒント

5 世代が同じ職場で働く―進化を遂げる現代のワークフォースを構成するあらゆる年齢層の社員の意欲を引き出すことは可能です。それ以上に、永続するパフォーマンスや企業文化に欠かせないことでもあります。

同僚に微笑みかける男性と眼鏡をかけた女性

現代のワークフォースは、伝統主義者世代 (サイレント世代) から、ベビーブーマー世代、X 世代、ミレニアル世代、Z 世代まで 5 世代にまたがっています。アルファ世代がワークフォースに加わるのも時間の問題であり、世代の幅広さは広がるばかりです。年齢、経験、視点の幅広さは、各世代特有の属性を豊富にもたらします。これらの属性がうまく育まれれば、多世代型ワークフォースは企業の最大の強みのひとつになる可能性があります。

一方で、ビジネスリーダーと人事部門には、大きく異なる価値観やコミュニケーションのスタイル、仕事に対する期待にうまく対応していくことが求められます。それは一筋縄ではいかないかもしれませんが、世代を超えたクリエイティビティの拡大、知識の共有、コラボレーションにつながる扉を開くことにもなります。

この複雑な状況を前向きに受け入れる企業は、年齢や経験に関わらず社員同士が支え合い、成長し合い、学び合う企業文化を育むことができます。

現代の多世代型ワークフォースの現状

幅広い世代で構成される多世代型ワークフォースは今後も続くでしょう。EY の調査「Work Reimagined」では、世代の広がりを促進する 3 つの大きな要因として、平均寿命が延びていることによるキャリアの長期化、出生率低下による新入社員数の減少、日常業務で好んで使用される多様なテクノロジーの普及が挙げられています。 

この幅広い世代において、業務での好みは大きく異なる可能性があります。たとえば、Z 世代はベビーブーマー世代の同僚よりも業務で生成 AI を使用する可能性が 3 倍高くなっています。一方で、ベビーブーマー世代は若い世代に比べ自主的に業務に取り組む傾向 (内発的動機づけ) が高くなっています。また、ミレニアル世代と Z 世代は、自分の価値観および目的を仕事と一致させることを一層重視するようになっていますが、X 世代とベビーブーマー世代は、自分の信念と仕事をまったく異なるものと考える傾向が高くなっています。

ただし、後続のセクションで詳述するとおり、あらゆる年齢層の社員に共通する優先事項があり、たとえば新型コロナウイルス感染症のパンデミックや日常業務への AI の導入拡大など、特に世界的な出来事やトレンドによって大きな影響を受けます。

では、世代による仕事の好ましいやり方が多様化し、年齢差の拡大が予測され、新たな優先事項が絶えず出現する状況の中で、リーダーはいかにして、共通の価値観と企業のミッションを中心に、あらゆる年齢層の社員の足並みを揃えることができるのでしょうか?そして、エンプロイー エクスペリエンスと企業の両方の向上につながる方法で、あらゆる世代の社員を互いに関わらせ、学び合えるよう支援する方法をいかに見出せばいいのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

多世代社員の意欲を引き出すための 7 つの戦術

まずは、世代間の違いを理解するというアプローチから脱却し、各世代がいかにして価値ある何かをもたらすかを認識することからはじめ、違いに基づいて行動するというアプローチへ移行します。重要なのは、世代別に切り離すのではなく、あらゆる年齢層の人をつなぐ共通の体験を構築することです。

ここでは、コラボレーション、信頼、長期的成功を育む方法で、多世代型ワークフォースの意欲を引き出し、あらゆる世代の社員が足並みを揃えて働ける環境づくりを徹底するために役立つ実証された 7 つの戦術をご紹介します。

1.柔軟な働き方のモデルを導入する

職場の柔軟性は、全社員から同意が得られる項目です。だれもがハイブリッドな働き方を望んでいるからです。一方で、Robert Half の調査では、すべての世代がリモート ワークのオプションを同じようにとらえているわけではないことが明らかとなっています。

ベビーブーマー世代 (56%)、X 世代 (49%)、ミレニアル世代 (46%)、Z 世代 (50%) はいずれもワークライフ バランスを最優先事項として挙げていますが、若い世代では、働く時間や場所を選択できる自律性を重視する人の割合がより高くなっています。反対に、ベビーブーマー世代の多くは、目的のある対面での業務を望んでいます。

幸いこの場合は柔軟な働き方を導入することで、全社員の希望を叶えることができます。さまざまな業界において多くの大手企業が、対面、リモート、ハイブリッドな業務環境が組み込まれた柔軟な働き方モデルを導入しており、社員とマネージャには、自分の業務に最適な方法で働くオプションが提供されています。

ベビーブーマー世代、Z 世代、ミレニアル世代、Z 世代はいずれもワークライフバランスを最優先事項として挙げていますが、全員が同じようにとらえているわけではありません。

2.包括的なラーニングと能力開発のプログラムを設計する

全社員のキャリアを同じように成長させることができる万能なプログラムはありません。スキルを身につけることに意欲的なキャリア初期の社員から、スキルの再習得を求めていたり他の社員のメンターを目指しているキャリア後期の専門職社員まで、ラーニングと能力開発は、キャリアの段階に合わせる必要があります。

そういった機会を提供し、優秀な人財を定着させるため、リーダーはスキルアップ、スキル再習得、社内人財の流動性を重視し、企業内での社員の異動しやすさを推進しています。メリットは明らかです。最近実施された Workday の調査では、外部の候補者よりも社内採用者の方が、企業文化を理解しており、社内組織について知識があり、業務を早く習得できるため、高いパフォーマンスを発揮できる可能性が 80% 高いことが明らかとなっています。

さまざまな年齢層の社員を企業に定着させ続けることで、ワークフォースによってもたらされる価値が時間の経過と共に増えていきます。Workday は、この理由から、大多数の企業が社内人財の流動性とそれを支援するプロセスに、これまで以上に力を入れていることに気付きました。

3.ビロンギングの文化を構築する

企業文化と包括的なエンプロイー エクスペリエンスの重要性が高まっています。若い世代は、揺るぎない企業文化を持つ企業で働きたいと考えているだけでなく、多くの場合、明確な企業文化のない企業で働くことは検討しません。さらに、揺るぎない企業文化を持つ企業は、収益率が高いため、さらなる成長と全社的な成功につながります。

多世代型ワークフォースは、言うまでもなく、企業文化の創造に関するあらゆる点で意見が割れるでしょう。何より重要なのは、全社員が帰属意識を持てるようにし、心理的安全性を育み、すべての社員が支えられていると感じられるようにすることです。

4.全員に役立つテクノロジーを活用する

テクノロジーは世代間の境界線とみなされることが多いですが、必ずしもそうである必要はありません。若い世代にとっては、新しいテクノロジーの方が直感的に理解できる可能性はありますが、テクノロジーが付加価値をもたらす場合には、年齢を問わずすべての社員がテクノロジーを活用したいと回答しています。調査によると、ベビーブーマー世代でさえ、生活の中で新しいテクノロジーを学んで活用することについて、できる限り早期に導入するという姿勢を示しており、高齢の社員は業務にテクノロジーを導入することに抵抗があるという固定観念を覆す結果が認められています。

これは、企業にとって、職場での従来のメンターシップ プログラムを根本から変える唯一無二の機会となります。これまでは上の世代が若い世代の社員に知恵や組織に関する知識を伝授するのが常でしたが、若い世代が簡単に使えるようになった新しいテクノロジーの習得と導入を推進できる時代に突入しているのです。

さらに、企業はユーザーフレンドリーなユーザー エクスペリエンスを提供する直感的なツールを導入することで、世代間のテクノロジー スキルのギャップを埋めることができ、あらゆるスキル レベルの社員が自信を持って新しいテクノロジーを使いこなせるようになります。

5.コミュニケーションとフィードバックをカスタマイズする

フィードバックとパフォーマンス測定の基準は長年にわたって大きく進化してきました。X 世代とベビーブーマー世代の社員は、標準化されたパフォーマンス レビューや直接的なフィードバックに慣れている (またはそれらを好む) かもしれませんが、若い社員の多くは、より透明性が高く、継続的でオープンなコミュニケーションを求めています。

ただし、形式を問わず、フィードバックによってパフォーマンスが向上することは間違いありません。Gallup の調査では、適宜有意義なフィードバックを受けている社員の 80% が、最大限に能力を発揮していることが明らかとなりました。

これを多世代型ワークフォースに提供するためには、多くの場合、マルチチャネルのアプローチが必要となります。たとえば、四半期レビューに加え、マネージャと直属の部下で率直な対話を行う機会をこれまでより頻繁に設ければ、正式な面談の際に未知の事実に驚かされることはなくなります。

適宜有意義なフィードバックを受けている社員の 80% が、最大限に能力を発揮していることが明らかとなりました。

6.ライフステージに合わせた福利厚生を提供する

あらゆる世代の社員の意欲を引き出す方法として見落としがちなのが、幅広い多様な経験を考慮した福利厚生設計を通して社員の意欲を引き出す方法です。学生ローンの返済や不妊治療の費用を補助する福利厚生から、退職後の生活設計や高齢者介護のリソースまで、年齢層によって優先するサポートの種類は異なります。

社員が選択できる柔軟な福利厚生制度は、多くの場合、雇用主のコストを抑えながら、人生のさまざまな段階にいる社員が最も必要とするサポートを提供できるように設計されます。TIAA による調査では、オランダで使用されている Employee Personal Choice Budget (社員個人の選択予算) と呼ばれるモデルについて言及されています。これは、総報酬パッケージの一部である事前設定された予算に基づいて社員がいくつかの福利厚生を選択できるモデルです。

全社員にとってウェルネスの優先度が高まっている労働環境において、この種のパーソナライズされた福利厚生オプションは、優秀な人財を引き付け、定着させるための実質的な競争上の強みとなる可能性があります。

7.目的主導の業務をサポートする

現代の社員は、業務に目的意識を持つことを優先しています。デロイトは、ミレニアル世代と Z 世代の 10 人中 9 人が、職務の満足度と自分のウェルビーイングのために、目的は重要であると回答したことを明らかにしています。

また、2020 年のパンデミック以降、それまで私生活と仕事を分けてきたであろう世代 (すなわちベビーブーマー世代と伝統主義者世代) でさえ、目的を持つことについて考えるようになっています。マッキンゼーのレポートでは、米国の社員の 3 分の 2 がパンデミック後に自分の目的意識について考え、半数がパンデミックをきっかけに自分の仕事の性質を改めて見つめ直したことが報告されています。

マッキンゼーはさらに、目的主導の仕事には、社員エンゲージメントの向上や忠誠心の強化、社員が企業を他の人にすすめる可能性が高くなるなど、実質的なメリットがあると指摘しています。

企業の使命と価値観を透明化し、それらを事業運営の中で見える化し、積極的に取り入れている雇用主は、社員自身の価値観が企業の価値観に合うよう支援できます。さらに、個人やチームの業務がより大きな目標にどのように貢献しているかを明確に伝え、目標が達成された場合には成功を讃えることで、あらゆる年齢の社員が自分の役割の中で目的意識を持つことができます。

目的主導の業務には、社員エンゲージメントの向上や忠誠心の強化、社員が企業を他の人にすすめる可能性が高くなるなど、実質的なメリットがあります。

将来を見据えて: 多世代にわたる人財パイプラインの構築

今の時代に存在する世代の多様性は短期的な現象ではなく、今後何年にもわたって存続するワークフォースの形です。Z 世代が急速に頭角を現し、ミレニアル世代が経営幹部へと昇進し、ベビーブーマー世代がキャリアを延長する中、企業はあらゆる世代の人財のキャリア全体が反映された長期的な戦略を構築する必要があります。

つまり、事後対応型のエンゲージメント戦術から脱却し、前向きな、将来への備えが整った総合的なワークフォース マネジメントへと移行する必要があります。そのためには、リーダーが全社員のスキル、興味、キャリアの目標を可視化できる、データが充実したシステムが必要となります。さらに、あらゆる世代の人が進むべき道を把握できるように、柔軟性、公平さ、インクルージョンを土台とする人財戦略も求められます。

Workday は、ワークフォース データを統合し、スキルベースの能力開発を強化し、インクルーシブな人財施策を支援することで、これを可能にします。企業が自社の人財を理解し、リアルタイムに対応できれば、適応し、成長し、意欲を高める態勢をより的確に整えることができます。

組織変更に対する社員からのサポートは大幅に減少しています。こちらの Workday のレポートにまとめられている調査結果を活用して、マネージャが決断力のあるアクションを取り、事業のあらゆるレベルで変革を主導できるよう支援しましょう。

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