企業が見据えるワークフォースの未来

今日のワークフォースは、これまでと全く違う形で変化しています。リーダーは今こそ変化に適応すれば、優秀な人財を惹きつけるチャンスをつかみ、未来に向けて組織を成功に導くことができます。

職場で会話をしている 2 人の社員

このブログでは以下についてご紹介します。

ワークフォースは産業革命以来の最も急激かつ重大な変革期を迎えています。世界的なパンデミックを契機に、リモート ワークとテクノロジーの導入が加速し、人工知能 (AI) と自動化が主流となり、企業の運営方法は大きく変わりました。

一方で、スキルに対するニーズや人員構成、社員の期待が変化する中で、リーダーは社員を管理し支援する方法を見直す必要に迫られています。企業は、モダナイゼーションと人間中心の戦略や文化を維持する取り組みを両立させる必要があります。

ワークフォースを管理するリーダーには、「ワークフォースの未来は実際に、どのようなものになるのか」という切実な問いが、突きつけられています。そして、先手を打つために、今からどのように取り組むべきなのでしょうか。

以下では、未来のワークフォースを再構築する上で知っておくべき 6 つの主要トレンドと優先事項を紹介します。

トレンド 1: 職場ではスキルが重要となる

候補者の能力や社員の適性は、これまで学歴、職務経験、資格など、従来の履歴書に記載された内容をもとに評価されてきました。しかし、今日のワークフォースにおいては、人財の能力をより動的に評価する方向にシフトしつつあります。

中心的な手法となっているのが、スキルベースのアプローチです。Workday のグローバル スキル状況レポート によると、今日組織内で活用されているスキルは、今後の成長に欠かせないスキルであると考えているリーダーは 3 分の 1 未満にとどまっています。新たなスキル ニーズに迅速に適応し、対応するために、55% がすでにスキルを重視したワークフォース管理モデルに移行しており、さらに 23% が来年中には移行するとされています。

さらに多くのリーダー (81%) が、スキルベースのアプローチへ移行することで、組織において今後の経済的成長の可能性が高まると考えています。

社員にとって、スキルアップやスキル再習得への取り組みは、新しいテクノロジーの台頭や職務要件の変化に加え、日常的な事務業務や基本的な単純作業などの特定の業務におけるタスクの自動化に、どれだけ柔軟に適応できるかを測る上で役立つ、最も有効な指標のひとつです。

世界経済フォーラムのレポートは、この取り組みの重要性を強く示唆しています。2030 年までに、既存の仕事の 22% が新しいテクノロジーによって変化し、34% のタスクが完全に自動化され、現在のワークフォースの 60% がスキル再習得を強いられると予測しています。

スキル開発を、ワークフォース管理戦略と企業文化の中心に据えることで、リーダーは人財とビジネスニーズの足並みをうまくそろえることができ、社員はより明確にキャリア成長の道筋を描けるようになります。また、社員が意欲を高め、長期にわたり会社に定着する可能性も向上します。

2030 年までに、現在のワークフォースの 60% がスキル再習得を必要とするでしょう。

トレンド 2: AI エージェントが日常業務を支えるチーム メンバーに

今日 AI エージェントは、各業界で日常業務を支援するパートナーとして機能しています。 

たとえば、ヘルスケア業界の AI エージェントは、構造化データと非構造化データを統合して治療計画の立案を加速させ、人財配置やスケジュール管理などの大規模なオペレーションを自動化しています。小売業界のエージェントは、マーケティング キャンペーンを自動化し、バーチャル ショッピング アシスタントとして顧客を支援しています。また、人事部門のエージェントは、候補者との面接を行い、社員の福利厚生の支援を自動化しています。

導入率は急速に伸びています。Workday の調査によると、82% の組織がすでに AI エージェントを導入しており、作業負荷の軽減やイノベーション水準の向上など、測定可能な成果が得られています。つまり、事務員、経理担当者、現場スタッフに至るまで、従来は定型的な業務や時間のかかる作業に集中していた社員が、戦略や重要度の高い貢献に、より多くの時間を費やせるようになったということです。

未来のワークフォースにおいては、社員が自らの役割に関連する業務を担う AI エージェントのパートナーおよび監督者として、新たな形で働く機会を得ることになります。その結果、社員がワークフローの実行に追われることなく、高いレベルでワークフローを管理し最適化できる新しいリーダーシップの形が誕生しつつあります。

トレンド 3: エンプロイー エクスペリエンスが鍵となる

かつて「エンプロイー エクスペリエンス」の提供の定義は、カジュアル デーや無料ランチ、休憩スペースなど、あったら嬉しい程度の制度を設けることでした。その定義は大きく進化し、現在では個々に合わせてあらゆる角度から社員を支援することにまで及んでいます。社員は、ワークライフ バランス、能力開発プランのパーソナライズ、健康とウェルネス、そして業務と自身の目的意識や価値観を結びつけられる機会を支援する、柔軟な働き方のモデルを求めています。

今日、社員が退職を決断する主な理由として、組織やマネージャとの関係において、自分の価値を感じられない (54%) または帰属意識を感じられない (51%) ことが挙げられます。一方、会社の柔軟性とワークライフ バランスの支援に満足していると感じた社員は、その企業で働くことに対する満足度が 2.6 倍高く、他の候補者にその企業で働くことを勧める可能性が 2.1 倍高くなる傾向にあります。

今後、企業は大規模にワークフォースの管理と支援をパーソナライズするための、適切なプログラムや人財戦略を導入することが求められます。たとえば、統合型 HRIS システムでは、ワークフォース プランニングとサポート戦略を会社全体のオペレーション プランニングに組み込むことができます。予測ツールは、社員の燃え尽き症候群のリスクが深刻化する前に察知し、障害となっている要因を軽減するとともに、データを活用したオンボーディングや能力開発プランのパーソナライズを可能にします。 

未来のワークフォースにおいては、エンプロイー エクスペリエンスが十分に支援され、それが企業文化の一部として定着し、高いパフォーマンスと長期的な取り組みを促進する原動力となる環境が基準となります。

会社のワークライフ バランスの支援に満足している社員は、その会社で働くことに対する満足度が 2 倍高く、他の候補者にその企業で働くことを勧める可能性も 2 倍高くなる傾向にあります。

トレンド 4: 人材育成計画で不確実な世界を乗り越える

今日の変化の速さにより、年に一度策定されるワークフォース計画ではもはや対応できなくなっています。その代わりとして新たに求められているのが、より戦略的な人材育成計画です。これは、人財に関する意思決定とビジネス戦略を直接結びつける、継続的な運用プロセスです。 

ワークフォースの未来は、スキル ニーズを予測し、さまざまなシナリオを検証するとともに、リアルタイムで調整できる組織の能力にかかっています。

つまり、リーダーは、AI 導入の進展度、新規市場への参入、サプライチェーンの混乱など、複数の可能性を予測し、それらが人財配置、スキル、コストに及ぼす影響を把握しなければなりません。プランニング サイクルはより短く、そしてより反復的になり、財務モデルや運用モデルと統合されていくことになります。

その結果、職務の構造、責任、組織の体制はより柔軟で流動的なものへと変化していきます。人材育成計画は、もはや年に一度の静的な取り組みではなく、継続的に社員とビジネス目標の足並みをそろえるプロセスへと進化しています。これにより、企業は混乱に直面しても勢いを失うことなく対応できるようになります。

注目すべきは、人材育成計画は、経営幹部においてその重要性が高まっているにもかかわらず、多くの組織で対応が遅れている領域のひとつであるということです。Gartner 社のレポートによると、人事部門の経営幹部にとって人材育成計画は、上位 5 つの優先事項のひとつとされていますが、実際に人材育成計画を積極的に進めている企業は、わずか 15% にとどまっています。

トレンド 5: 世代を超えたワークフォースを管理する

未来のワークフォースは、ベビー ブーマー世代から Z 世代、そして最終的にはアルファ世代まで、これまで以上に多くの世代で構成されることになります。EY 社の調査によると、平均寿命の延伸によるキャリアの長期化と、出生率の低下に伴う若年層の縮小により、ワークフォースの多世代化が進んでいるとされています。

各世代グループは、職場の柔軟性、テクノロジーの活用、キャリア開発に対して、異なる期待を寄せています。生まれた年に基づいて、ワークフォースのニーズを推測することはもはや安全とは言えません。リーダーが取り組むべき課題は、多様なニーズや価値観を支援しつつ、世代間の固定観念を回避できる仕組みを構築することです。 

しかし、企業が社員同士で学び合えるような取り組みを導入すれば、世代間の多様性はむしろ強みとなります。 

体系に沿ったメンタリングやリバース メンタリング、世代を超えたプロジェクト チームの導入により、知識が双方向に共有されるようになります。シニア社員は組織での経験を共有し、若手社員は新たな視点とデジタル スキルをもたらします。

世代間の多様性を強みとして活かすことで、未来のワークフォースはより成長していくことになります。このトレンドに関する Forbes 社の最新レポートによると、職場における相互メンタリングは、デジタル スキルの向上や優秀な人財の定着につながる、よりインクルーシブな職場環境の実現など、組織に大きなメリットをもたらしています。

トレンド 6: 人間中心の戦略が成功を導く

組織が業務と企業文化の中心に人財を据えたまま、職場における新たなニーズと高度なテクノロジーをいかに効果的に受け入れることができるかが、最終的に仕事の未来を決定づけます。

Workday の調査では、AI の導入率が高まり、日常業務で AI が活用されるようになる中、社員のスキルと貢献は、ますます不可欠かつ代替不可能なものとして認識されつつあることが明確に示されています。AI とワークフォースが効果的に連携するには、関係の構築力、リーダーシップ、倫理的な意思決定力といったスキルの育成が、極めて重要になります。

これまで技術的スキルや事務作業、単純作業に支えられてきた職場環境では、より人間中心のスキルを重視した新たな取り組みを推進することは、それ自体が大きな挑戦であると同時に、社員が能力を最大限に発揮できるように支援するために、リーダーが取り組むべき課題でもあります。

しかし、人財に投資することで、生産性の向上、ロイヤリティの強化、イノベーションの促進といった、メリットが生まれることは間違いありません。社員が、自身の成長と組織の成功が結びついていると実感したとき、人財の可能性は具体的な成果へとつながります。

将来にわたって成功する組織とは、人間中心の戦略を組織の根幹に据えながら、動的なワークフォース管理に取り組む組織のことです。

将来に目を向ける

AI の本格的な導入、求められるスキルの変化、人員構成の変化、そして職場における公平性や充実感への期待の高まりを背景に、未来のワークフォースは、テクノロジーと人財の融合によって形成されつつあります。これらの要因が重なり合い、組織がチームを構築し、社員を支援する方法が、再定義されています。

リーダーに求められるのは、モダナイゼーションと人財のニーズを両立させながら、これらの要因を統合することです。つまり、人財戦略、テクノロジーへの投資、ビジネスニーズの足並みをそろえ、適応力が根付いた企業文化を創造することです。

最終的に成功する組織とは、人間中心の戦略を組織の根幹に据えながら、動的なワークフォース管理に取り組み、変化する状況に柔軟に対応できる組織のことです。

急速な市場の変化が人財戦略を困難にしていますか?この Workday バイヤーズ ガイドでプランを策定する方法をご覧ください。目標を定義し、さまざまなベンダーの評価を行い、ワークフォースの能力を引き出しましょう。

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